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第100話 スマートフォン

「これは昌子(まさこ)さん――柊翔太の母親から渡されたものだ」

柊は目の前に、板状のデバイスを差し出した。


「何これ?」

「俺が入院したときに、()()()()()を渡されたって言っただろ?」

「そういえば、そんなこと言っていたような……」

「それがこれだ。未来では、スマートフォン、またはスマホと呼ばれている携帯電話だ」


景隆はスマートフォンと呼ばれる端末をしげしげと眺めた。


「ちょっと触ってみていいか?」

「いいぞ」


翔太はロックを解除し、景隆にスマートフォンを手渡した。


「日付は今の時間だけど?」

「未来の時刻だと、ネットに接続したときにエラーが起きるからな」

「無線LANにはつながるのか?」

「ギリギリこの時代の規格に対応していた。

もう少し過去に飛んでいたら、LANに接続するための有線ケーブルを自作する必要があった」

「見たこともない端子ね……電源はここから?」

「データ接続を兼ねている。このスマホに電源を供給するために、電子工作を学んだよ」


柊はスマートフォンに電源を供給するためのケーブルを作るのに、かなりの苦労したようだ。


「もしかして、フィンガーフローって……」

「あぁ、色々とハードウェアを自作する過程で開発したんだ」

「器用だなおぃ」


フィンガーフローは柊がアクシススタッフ在籍時に開発したデバイスだ。

指に装着した状態でコンピューターの操作を行え、プレゼンテーションや講義で利用される。

このデバイスは神代や鷹山に活用されている。


「見たこともないOSね」


新田は興味深そうにスマートフォンを操作した。


***


「結論、あんた未来人」

「新田らしい納得の仕方だな」


柊はざっくりとスマートフォンにインストールされているアプリケーションや、ブラウザの履歴、ダウンロードしてあった論文などを二人に見せたり、説明した。

インターネット接続を必要とするアプリケーションは動作しないため、アプリケーションはスマートフォン単体で動作するものに限られている。


新田はスマートフォンとその内容が明らかにこの時代に存在し得ないことを理解し、柊が未来からきたことに納得したようだ。


「物理法則を完全に無視しているんじゃないの?」

「俺もそう思うし、俺がここにいることも、合理的な解は得られていない」

「新田、これを追求しても永遠に答えがでないと思うぞ?」

「とりあえずは、このスマートフォンとやらね」

「俺のプライバシーに少しは配慮しろよ」

「わかっているけど、この日付って……」


新田は余程気になるのか、延々とスマートフォンを操作している。


「生成AIも動かせるのか?」

「かなりの劣化版になるが、スマホ単体で動作するものは動かせる。

一般的にはGPUを大量に搭載したクラウド上で計算された結果を送受信する仕組みを使う」

「音声入力もできるのね……すごすぎるわ」


新田は早くもスマートフォンを使いこなしていた。


「それで、柊がコレを見せたのは――」

「あぁ、生成AIを作っていきたい」

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