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5話 THE BOY NEEDS A WAY TO SURVIVE

「た、退院!?」


「うるさいぞ白百合。」


桑は思わず大きな声で叫んでしまった。

バーゲンス先生は、それを無慈悲に、無感情に注意する。大体、桑は頭に瓦礫がぶつかった怪我人。すぐに動ける訳などないというのに、なんて無茶を言うのだろう。


「怪我の事か?もう治ってるさ。」


「え?ぇぇ?本当だ!?」


桑は頭をさすってみたり、揺らしたりしてみたがなんともない。本当に治っているようだった。2人は立ち上がり病室を出て行く。


「ナースコールとかって…?」


「しなくていい、直ぐに色々手続きしなくちゃならないから、それだけ先に済ませよう。無茶苦茶時間がかかるのさ。なにより、時間が無い。」


最後の言葉の意味が、桑にはわかりかねたが一先ずは従うことに。何をされるかわからないし。廊下に姉の姿がない、きっとお手洗いか何かだろう。桑はそう思いながらバーゲンスに同行した。


すると廊下の奥から1人の少女が走ってくる。花常さんだ!その背後には死徒と交戦する葬人たちが。

その葬人達は桑のことを取り囲んだあの葬人達だった。

 

「まずいな…」


「押されてる…?」


一進一退の攻防を続けているように見えた、死徒と葬人の交戦。やや、葬人が押されているようだった。理由は明白、死徒は一般人を攻撃に巻き込めるが、葬人は巻き込めないからだ。


「仕方ない。桑、初仕事だ。」


「えぇ?」


そう言い、バーゲンス先生は桑に白装束を渡す。桑が受け取ると、バーゲンス先生はそれと同じものを羽織る。


「着ろ、一般人から見えなくなる。"補修"の始まりか…」



桑は指示通りに白装束を羽織ると、バーゲンス先生に問いかけた。


「その、仕事というのは…?」


「可能な限り一般人を担いで逃げろ、にがしたら、またここへ来て同じことを繰り返せ。

…ったく、また腹が痛くなる。」


「きゅ、救助ですね、わかりました!」


バーゲンス先生はリボルバーに弾を込める。

桑は頷くと、バーゲンスと一緒に走り出した。

バーゲンスが葬人達の間に入り銃で触手を三本撃ち抜く。


桑はその隙に倒れていたお婆さんを担ぎ上げ出口へ走り出した。


お婆さん以外にも死の危機に瀕している者は大勢いる、早く戻らなくては。桑はそんなことを考えながら廊下を走ると、ある女性が目につく。

黒い髪に黒い目の女性。

姉だ。トイレの中に居たようで、現在の状況が認識出来ていないのだろう。


「なにが起きて…血!?」


戸惑った顔で廊下の奥を見る。

すると、頭上から血が舞い落ちてくる。

目の前に叩きつけられたのは、葬人の横半分の体。

背後を振り返ると、すぐそこでバーゲンス先生達は戦っていた。


まずい、姉が巻き込まれてしまう。


「桑!櫟さん連れて早く逃げやがれ!」


「わ、わかってます!」


自分に大人の女性2人を担いで走れるような体力や持久力、筋力はない。はてさて、どうしたものか。考えていられる時間はもはや無いに等しい。決断を自身へ迫った。


(姉さんのために、このお婆さんを…いや、それは絶対にダメだ!クソ、クソ、二つに一つか!)


そこまで来た時、自身の直ぐ横にある物に目が移った。それは、患者を運ぶ2台の車輪付きの担架。桑はすぐさまそれを立て直し、お婆さんを乗せる。


「あとは姉さっぅお!?」


「あきゃっ」


背後から飛んできた、小さな瓦礫を躱す。

戦闘中に死徒の触手が瓦礫にひっかかり、デコピンのように飛んできたのだ。


桑が躱した瓦礫は頭上を通り抜け

その先の、________________



      _____________姉にぶつかった。


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