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22話THE GIRL FOUND THE ANSWER

夕日は沈み、街灯によって夜の影はかき消されていた。

バーゲンス先生宅のドアを開ける。

桑は、腹を痛める先生を支えながら、家の中へ。

先生はお腹を強く抑える。

病院でもらった処方箋を桑に突きつけるように渡し、トイレへ駆け込む。


「うわぁぉぉぁ!」



そう叫ぶ先生、相当痛いようだ。

先生に何があったのかと言うと、先生はたこ焼きを焼く時、十分に焼いていなかったのだ。

生焼け状態でタコを食べ、食中毒によりお腹を壊した。つまり、そういうことだ。


桑はコップを取り出して水を汲み、薬を用量の二つ物取り出す。黒い塊のような薬だ。


トイレからバーゲンス先生が帰ってくると、薬を飲む。飲むと、ソファに転がり込んだ。

お腹を抱えるように横になると、涙目で桑に言う。


「うぅ…助けろ桑ぁ…」


「はいはい、お腹温めて寝ましょうね。」


桑はため息を吐きながら、布団をバーゲンス先生の体にかぶせる。さながら母のようだった。

バーゲンス先生はお腹を痛めながらも、なんとか眠りにつくことができたようだ。

寝室で寝てほしいが、この際は目を瞑ろう。


桑は処理できなかった洗濯物を干し、新たに洗濯を回す。そして、皿洗いに手をつけようとしたその時だった。

玄関でインターホンがなる。


桑は、先生が目覚めないように素早く、静かに客人の元へ向かう。


「あら、桑。先生は大丈夫かしら?」


「寝てるよ、上がって。」


桑は彼女を家に上げ粗茶ですがと、お茶を出した。彼女は、先生を心配そうに見つめながらお茶を一口で飲み切り、息を吐く。

一方桑は、朝食分の台所へ行き食器を洗っていた。


「バーゲンス先生は、貴方には何も話していないようだけれど、私は先生から貴方の事たくさん聞いているのよ。」


「そうなんだ、初めて知ったよ。」


彼女は、机にもたれかかる。

青髪混じりの白髪が、机にだらんと垂れる。

彼女もまた、随分と眠たそうに、桑に話していた。


「貴方、家族がいないんですってね。

お姉さんも、この前のロマの襲撃で亡くなったとか。」


「…それが、どうかしたの?」


桑は、その事実に若干の苛つきを感じた。

姉さんが本当は生きているんじゃないかと、桑はどこか確信していた。

どれだけ探し回っても、あの家族写真は見つからない。見つかることは無い。


「…別に、おちょくろうなんて不謹慎な真似は考えていない。

私ね、どこか親近感を貴方に感じているのよ。」


ヴァミリタスは昔、死徒によって家族も、友人も、新たに生まれるはずだった弟も奪われた。

彼女は彼女の持つ全てを死徒に奪われていった。桑もまた、記憶と思い出、家族、友人、最愛の姉すらも死徒によって奪われてきた。


「…つまり、君はなにがいいたいの?」


桑がそう聞いた時には、ヴァミリタスは深い眠りについていた。




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