涙雨
雨音がしている
まだ夜明け前
手を伸ばしてあなたをさがす
感じるのはあなたの残り香
あなたはいない
雨音がわたしをつつむ
思い出が走馬灯のように私を襲う
忘れたい雨の思い出
初めてのキスも雨がふっていた
ふたりはじめて身体を重ねた日も雨がふっていた
ケンカをした日も大雨がふっていた
仲直りした日も雨がふっていた
ふたりすれ違いが多くなり
別れの日
軒下で空を眺めて
「今日も雨がふっている」
雨ではじまり 雨でおわる
わたしの恋
傘をささずに
雨の中
空をながめ
涙を隠した
ひとりでは広すぎるベッド