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考察・随筆・エッセイ集

セルDVD・ブルーレイのパッケージ仕様に纏わるアレコレ

作者: 大浜 英彰

【はじめに】


 公式チャンネルの動画配信やサブスクサービスのように、昨今ではインターネットを活用する形で映像コンテンツを享受する機会も増えましたね。

 期間限定動画なら無料で配信されている物も多いですし、何よりネット環境と端末さえあればディスクを買ったり借りたりしなくてもコンテンツを楽しめるという最大の利点は無視できませんよ。

 しかしながら、こうしたネット上の映像コンテンツも決して万能という訳ではないのですね。

 権利者の意向などで配信されていない作品も少なくありませんし、何より公式側や運営側の都合で見られなくなる可能性を抱えている事を忘れてはなりません。


−好きな映像コンテンツを、いつでも好きなタイミングで安心して鑑賞したい。


 そうした根強いニーズがあるからこそ、たとえどんなに時代が進んで公式動画配信やサブスクサービスが普及したとしても、DVDやブルーレイといった映像ソフトはリリースされるのですね。

 お気に入りの映像コンテンツのソフトがズラッと棚に並ぶ光景を眺めるのはコレクターの至福の一時ですし、そこへ出演者や制作スタッフといった関係者の方々にサインを入れて頂けたら、もう最高ですよ。

 斯くいう私も御多分に漏れずと申しますか、アニメや特撮を中心に映像ソフトを色々と集めているのですね。

 そうして購入したブルーレイやDVDの中には、令和の現在の目から見たら思わず二度見してしまうイレギュラーなパッケージングが施されたソフトも少なからずあるんですよ。

 本エッセイでは、私が実際に目の当たりにしたイレギュラーなパッケージ仕様について語っていきたいと思います。


【ケース1】 映像ソフトなのに、ディスクがジュエルケースに収納されている


 ジャケット収納部であるフタとディスクトレイ、そして背面ケースがそれぞれ一枚のプラスチックで構成されているジュエルケースは、今日では音楽CDのパッケージとして用いられる事が多いですね。

 大きさとしては、縦124ミリ×横142ミリ×幅10ミリが一般的でしょうか。

 しかしながらセルDVDが出始めた1990年代末期からゼロ年代初頭にかけての時期には、ジュエルケースにディスクを収めたセルDVDが販売されていました。

 やがてDVD規格を用いたソニーのゲーム機であるPS2のソフトにアマレー社のトールケースが用いられた事で、「DVDにはトールケースを使う」という不文律が何となく出来ていったんです。

 そしてセルDVD黎明期にジュエルケース仕様でリリースされたDVDも、その後の再販等の機会にトールケース仕様に改められていったという訳ですね。

 だから中古ショップでジュエルケース仕様のセルDVDが並んでいるのを見かけますと、思わず「懐かしいなぁ…」と感じてしまうんですよ。


【ケース2】 パッケージはトールケースだけど、中のブックレットがジュエルケース仕様のサイズだった


 ある意味、これはケース1の派生形ですね。

 皆様、想像して下さい。

 開封したトールケースの左側のスペースに収まっているブックレットが、CDのジャケット等と同じサイズだった場合の光景を。

 これはなかなかにインパクトがありますよね。

 私と致しましては、上下の余剰スペースが何とも落ち着かなかったです。

 それにトールケースの内側にはブックレットを固定するツメが二つあるのですが、ブックレットがCDサイズだと片方のツメだけで固定する羽目になって頼りなくなっちゃうんですよ。

 これは前述したジュエルケース仕様のDVDをトールケース仕様に改めて再販した時に起こり得る状況で、トールケース仕様のジャケットは新規で印刷したけどブックレットとディスクは既存の物をそのまま使った結果なのでしょうね。

 トールケース用のジャケットを新規で作るのはそうでもないけど、ブックレットを作り直すのは手間やコストがかかるのかも知れません。

 何しろブックレットは小冊子みたいにホチキス留めされていますし、判型を変える場合はレイアウトを大きく弄らないといけませんからね。


【ケース3】 DVDとブルーレイが同梱されている


 今日では大抵の映像ソフトがDVDとブルーレイの両方でリリースされていますが、同じ映画のDVD版とブルーレイ版の両方が一緒にパッケージングされている映像ソフトが時々御座いますね。

 メジャー洋画系の映画でよく見かけますが、日本の作品でも平成仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズの映画版のソフトがこの仕様になっている事があります。

 DVDにブルーレイと規格こそ違いますが、全く同じ内容の映像ソフトが同梱されているのを奇異に感じられる方も少なくはないでしょうね。

 この仕様はどうも、アメリカでの視聴環境が原因だそうです。

 アメリカの家庭においては、ブルーレイは居間の大画面テレビで見るもので、DVDはドライブ中に車載端末で見るものだそうです。

 どうも車載のブルーレイ端末があまり普及していないので、「ドライブ中に困らないように」というメーカー側の配慮らしいですね。

 確かにブルーレイとDVDの両方がセットになっていれば、ブルーレイは家に置いてDVDを車に常備しておくという事も出来そうです。

 それにブルーレイとDVDとの合計2枚あれば、片方駄目になった時のスペアにも出来ますよ。

何しろDVDプレイヤーでブルーレイは再生出来ませんが、その逆は普通に出来ますからね。

 前述の例はDVDのケースがジュエルケースからトールケースに切り替わる過渡期の徒花的な意味合いが強いですが、本例はDVDとブルーレイの共存期の好例と言えるでしょう。


【ケース4】 トールケースの色が独特


 DVDのトールケースの色と聞いて、皆様は何色を連想されるでしょうか。

 白や黒、或いは透明なトールケースもしばしば見かけますね。

 ところがメーカーや権利者の意向や拘り等で、こうした定番カラー以外のトールケースが用いられる事もあるんですよ。

 例えば「クライマックスストーリーズ」みたいなウルトラマンの再編集系映像ソフトには赤色のトールケースが使われていますし、小学館から書籍扱いで販売されていた大山のぶ代さん時代の「ドラえもん」の廉価版DVDは青いトールケースが用いられていました。

 どちらの例も、キャラクターのイメージカラーに合わせた色合いのトールケースになっていて好感が持てますね。

 珍しい例では、「戦国自衛隊1549」の初回盤に用いられていた迷彩柄のトールケースも忘れられません。

 勿論、ここで挙げた以外にも様々な色のトールケースがあり、メーカーや権利者の意向や拘りといった理由で活用されていると思います。

 こうした拘りには「成る程なぁ…」と唸らされますね。

 そして万一にもケースが破損したら替えが効かないので、自ずと「大事にしよう」と意識するようにもなりますね。


【終わりに】

 調べてみました所、世界で初めてDVDソフトが市販されたのは1996年11月の事だそうですね。

 謂わば、30年近くの歴史を持つメディアという事になります。

 その間には、パッケージングの不文律が定まるまでの試行錯誤の期間やVHSやブルーレイといった他規格のメディアとの共存期間など、色々な事が御座いました。

 今回のエッセイで挙げたイレギュラーなパッケージ仕様は、そんなDVD・ブルーレイ史の生き証人とも言えるでしょうね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あまり円盤を買わないのもあり、色々珍しい物を知る事ができました、ありがとうございます(* .ˬ.)⁾⁾ 買った中で、新しいなと感じた物ですがとある映画のブルーレイディスクをパッケージで買い…
[良い点] 最近はサブスク動画ばかり見るようになって、DVDを見ることは減りました。でも本文にあるように、たしかにサブスクでは観れない映画があったときに困るんですよね。特にジブリ映画。サブスクでもみせ…
[良い点] 興味深く読ませていただきました! ジュエルケースとトールケースの違い、あまり考えたことがなかったのでその点も面白かったです(画像もググってみましたw) サブスクなどでの配信が主流になった…
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