8.酒場は情報収集に最適
部屋を出て、1階へと続く階段を下りていくとまたガヤガヤと賑やかな声が聞こえてきた。
1階にはたくさんの人がいたが、空いている席を探して座る。
テーブルの上に置いてあったメニュー表を手に取り、どんな料理があるのか見てみる。
メニューの文字は問題なく読める……が、問題は読めてもどんな料理なのか想像がつかないことだ。聞いたことない生き物?の名前ばかりで美味しいのかどうなのかよく分からない。
とりあえず、1番上のおすすめメニューにしてみようかな。おすすめなら間違いないだろうし。
さっき案内してくれたアイラさんとは別の店員さんが近くを通りかかったので声をかけて、料理と飲み物を頼んだ。
料理が来るまでは特にやることもないので、何となく周りの声に耳を傾ける。
「なあ、聞いたか?あいつまたやらかしたらしいぜ?」
「俺はもうダメだ……いつも上手くいかねぇ」
「明日も早いしそろそろ帰るかー」
「すみませーん!酒追加で~!」
「あの国はもうダメだな」
色々な人がいるなぁ……。
なんか、普通に日本の居酒屋みたいだ。
視線だけを動かして変に思われない程度に周りを見る。
皆様々な服装をしているけど、その中でも多いのは剣や杖を持っていたり、ローブや鎧のようなものを着ている人達が多い。まるで、冒険者みたいだ。
なんてことを考えていると、後ろの席にいる男女数人グループの話し声が聞こえてきた。
「あー!また剣買い直さねーといけねー!金欠だってのによ~」
「そりゃ、どうしようもねぇよ。冒険者に危険は付き物だし、命には変えられねーって」
「そうだけどよぉ~……。なあ、フィア~お金貸してくれ!必ず返すから!この通り!!!」
「嫌よ。あんたいっつもそう言って返した試しがないじゃない。それに金欠なのは娼館に通いすぎだからでしょ?自業自得じゃないの」
「そんな~…」
「フィアの言う通りね。それより、この後どうする?冒険者ギルドに行くの?」
「そうだな。今日の討伐依頼の報告もしなきゃならんし、そうしよう」
「そうね。…そしたら、報酬も貰えるだろうからジェンも剣が買えるんじゃないかしら?」
「そうだな!うん!そうしよう!!!」
「全く……女遊びはほどほどにしなさいよね!」
冒険者ギルド?ということは、この世界には冒険者がいるのか!だから、色々装備している人達が多かったんだな。
俺も一応剣と魔法は使えるし。これからどうしようかと思ってたけど、冒険者になって依頼をこなしながら旅をするのも悪くないな。
冒険者については日本にいた頃のアニメとか漫画での知識はあるし、何となくどんなことをするのかは理解できる。
うん。明日からどうしようか迷ってたけど、冒険者ギルドに行ってみよう!それで、可能なら冒険者登録もしてみよう。
一応神様から貰ったお金はたくさんあるけど、それとは別に冒険をして自分で稼ぎながら色んな国を見て旅するのも良いかもしれない。
名前も知らない冒険者さん情報をありがとう!
心の中で感謝していると、頼んだ料理が運ばれてきたので早速いただいて、明日に備えて早めに部屋へと戻った。
ちなみに、料理は少し固めのパンと何かの肉がたくさん入ったシチューだった。とても美味しくいただきました。
ボリュームがあるのにとても美味しくて値段も手頃だった。
色々な意味でこの宿屋にして正解だったな。