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異世界で子育てはじめます。  作者: 夜涙時雨
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32.ゆづにいはあったかい。 sideノワール

みたことないかみがながいおとこ?のひとは、ぼくたちをみたあとおんなのひととおとこのひととなにかをはなしてた。

そしたら、おんなのひととおとこのひとはどこかにいって、かみがながいおとこのひとはのこった。

ぼくたちにちかづこうとはしてこなくて、たってたところにそのまますわった。それから、ぼくたちにいろいろはなしかけてきた。


「いきなりでびっくりしたよね。俺はユヅルっていうんだ。君たちは冒険者って知ってるかな?俺は冒険者をしていて、怖い魔物とか悪い人をやっつけたりしながら旅をしているんだ」


ながいかみのひとはゆづにいだった。ゆづにいはぼくたちになにかをしてこようとはしなくて、すわったままいろんなくにをぼうけんしてきたこと、まちのこと、さっきまでいたおとこのひととおんなのひとのこととかいろんなはなしをいっぱいしてくれた。

さいしょはなにかしてくるんじゃないかって、こわくて、にらんでたけど、なにもしてこない。だから、だんだんこわいのがちいさくなっていった。

ゆづにいもぼくたちがかわったことにきづいたんだとおもう。

ずっとはなしてたのをやめて、ゆっくり、やさしく、ぼくたちにきいてきた。


「ごめんね。ちょっとだけ近くに行ってもいいかな?」

「「⋯⋯⋯⋯」」

「2人の首についてるやつを取りたいんだ。ダメかな?」


ぼくたちのくびにはおもくてかたいくびわがついてた。

ぼくたちがにげないようにつけてるってぼくをたたいてけってたおじさんがいってた。

はずしたかったけど、ぼくにははずせなくて……。

おじさんもむりやりはずすとしんじゃうっていってたからはずすことはできなかった。

でも、それをはずしてくれる。

まだこのときは、ゆづにいがやさしいってしらなかったけど、ずっとぼくたちをしんぱいしてくれてるのははなしをきいててなんとなくわかってた。

それは、るーもおなじみたいだった。

こえにはださなかったけど、るーとめをあわせて、このひとならだいじょうぶっておもった。

だから、ゆづにいにむかってうなずいた。

そしたら、ゆづにいはぼくたちをこわがらせないようにしずかにちかづいてきて、くびわをさわった。

どうするのかわからなかったから、じっとしてたらくびがあったかくなって、ひかったとおもったらくびがかるくなった。

びっくりした。

くびをさわってみるけど、もうつめたくてかたいくびわはなくて、したをみるとくびわがおちてた。

るーをみると、るーのくびにはなにもなかった。

くびわがない。

いたくもくるしくもなかった。

びっくりして、るーのくびとしたにおちたくびわをなんかいもみちゃった。

そうしていると、ちかくにいたゆづにいがぼくたちからはなれようとしたのがわかって、おもわずゆづにいのふくをつかんだ。

なんとなく、はなれてほしくなかった。


「怖くない?」

「⋯⋯⋯⋯うん」

「そばにいてもいい?」

「⋯⋯⋯いいよ」


ちいさなこえになっちゃったけど、ぼくがそうこたえるとゆづにいはすごくうれしそうにわらった。


「おにいちゃんなら⋯だいじょぶ」

「そっか。ありがとう」

「うん」


きづいたらふるえはとまってた。

ゆづにいになまえをきかれたけど、ぼくたちになまえなんてない。

ぼくにはパパもママもいない。

るーにはいたみたいだけど、うられたっていってた。

るーがないたのをみて、ぼくもかなしくなってないた。

それを見たゆづにいは、そっとぼくたちのあたまをなでてくれた。

すごくやさしくてあったかかった。


「辛かったね。怖かったね。⋯もう大丈夫だよ」


ゆづにいがあたまをなでてくれて、だんだんかなしいのがなくなった。


「2人はこれからどうしたい?」

「「⋯⋯⋯?」」

「えーとね、もう2人に辛い思いをさせるようなことはしない。それは約束する。でもね、2人はまだ小さいから2人だけでは生きていくのは難しい。だから、大きくなるまでは誰か大人の人と一緒にいなきゃいけない。新しいパパとママを探して一緒に暮らしたり、後は2人と同じ子ども達がたくさんいる所で皆と一緒に暮らしていくか。⋯⋯2人はどうしたいかな?」


そうゆづにいがきいてきた。

おとなといっしょにいなきゃいけない。

おとな……。

おとなはこわい。

いたくてくるしいことをしてくるし、たすけてほしくてもたすけてくれない。

あたらしいパパとママも、やだ。

おとなじゃなきゃだめ。それなら……


「おにいちゃんは?」

「うん?俺?」

「うん。ぼく、おにいちゃんといっしょがいい⋯」

「⋯⋯ぇ?」


ぼくがそういうと、ゆづにいはびっくりしたかおをした。

ゆづにいといっしょがいいといったけど、ゆづにいはびっくりしたかおのままかたまってて、すぐにへんじをしてくれなかった。

ぼくはだめなのかなって、こわくなってまたないちゃいそうになったけど、がんばってがまんして、ゆづにいのめをみながら、「だめ?」ときいた。


「俺と一緒に暮らしたいの?」

「うん⋯」


るーもうなずいてた。

るーもぼくといっしょでゆづにいならいいとおもったんだとおもう。


「わかった。2人とも俺と一緒に暮らそう」


ゆづにいはぼくたちがうなずいたのをみると、やさしいかおでそういってくれた。

ぼくは、それをきいてすごくうれしかった。







それから、ゆづにいとさっきいっしょにおへやにはいってきたあかいかみのおんなのひと、ろーずさんとすごくおおきくてこわいかおをしたあんどりゅーさんのところにいって、ぼくたちのことをいろいろきいて、はなして、いっしょにくらすことになった。

そして、ゆづにいはぼくとるーになまえをつけてくれた。

ゆづにいはぼくたちがこわがってるとてをつないだり、だっこしてくれる。なにかをするときはぼくたちにもきいてくれて、いやなことはなにもしてこない。

まだこわいことはたくさんあるけど、ゆづにいといればだいじょうぶ。

ゆづにいのてと、うでのなかはすごくあったかいんだ。

ぼく、ゆづにいとあえてよかった。

ずっとゆづにいといっしょにいれたらいいな。

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