24.レガメ街へ
次の日の朝。
今日はネッドさんと共にレガメ街へと戻る。門のところで待ち合わせをしているので、昨日と同じく2人を起こして、動きやすい服装に着替えて朝ご飯を食べたら冒険者ギルドを出た。
アンドリューさんとローズさんには色々とお世話になったので、昨日のうちに今日レガメ街へ戻ることは伝えた。
今日も朝早いのに会ってくれて、別れ際にノワールとルーチェが2人に手を振ったら2人とも泣きそうになっていた。いや、アンドリューさんに関しては本当に泣いてたように見えた……。
まあ、それは置いておいて。
ノワールとルーチェと一緒にいる時間はまだ短いけど、俺が親しくしている人に限るが少しずつ人と接することには慣れてきたみたいだ。大勢の人がいる所はまだ少し怖いみたいだけど、それでも周りをキョロキョロと見る余裕はあるみたい。
そんな変化を嬉しく思いながらネッドさんと待ち合わせ場所である門へ向かった。
「ネッドさん、おはようございます!」
「おう!ノワールとルーチェもおはよう」
「おはようごじゃ…ざいます」
「おはよ…ます」
2人とも俺の後ろから顔を出しながら、ネッドさんに挨拶を返していた。
「早速出発するか」
「そうですね」
ネッドさんから荷台に乗って構わないと言われたので、ノワールとルーチェを抱き上げて荷台へ乗せてから自分も乗り、リエゾン街を出発した。
行きと同じく、門からしばらく出た後に魔法で結界を張った。
荷馬車が出発して暫くはじっとしていた2人だったけど、慣れてくると外に興味津々のようで荷馬車の後ろから外を眺め始めた。
「ユヅにい、あれなに?」
「ん?どれ?」
「あのきにいっぱいあるの」
ノワールが道脇に隣接する森に生えている木を指さして聞いてきた。
「あぁ、あの赤い実のことかな?あれはレッドアップルっていう果物だよ」
「ふーん…たべれるの?」
「うん。甘酸っぱくて美味しいんだよ」
「へぇ~!たべてみたいなぁ~」
「ふふ、じゃあ今日のデザートにしようか」
「いいの?」
「うん。ちょうど街で買ったものがあるからね。皆で食べよう」
嬉しかったみたいで、「やったー!」と言いながらルーチェの両手を掴んで揺らしながら喜んでいる。
因みに俺の呼び方についてだが、2人にはユヅルでもお兄ちゃんでも好きなように呼んでいいと話してある。家族になるという話をした時に、ノワールにママになるの?と聞かれたことがあった。確かに保護者になるという意味では母親でもおかしくはない。俺としてはママでもパパでも呼び方は特に気にしないが、ノワール自身で考えて、最初にお兄ちゃんと呼んでいたこともあり、最終的には名前と合わせて#ユヅにい__・__#に落ち着いたみたいだ。ルーチェはノワールとは違い、普通にユヅルと名前で呼んでいる。
そして、ノワールとルーチェはお互いのことを"ノア"、"ルー"と呼んでいる。その方が呼びやすいみたいだ。
その後もノワールやルーチェが外を見てて気になったことを質問してきたり、お昼を食べた後は2人で仲良くお昼寝をしたりと和やかな雰囲気が続き、今日の夜営場所まで魔獣や盗賊が出ることもなかった。
それでも油断したりはせず、周囲を警戒することは怠らない。
夜営場所にも結界を張って、魔物避けの香を焚いておく。こうすればほとんどの魔物が寄ってくることはない。ノワールとルーチェにも危ないから俺からあまり離れないようにと言ってはあるが、念の為に魔物避けの香を染み込ませたポプリが入った小さな袋を持たせてある。だから、余程のことがない限りは大丈夫だ。
枝を集めて火をつけ、今日の夕食を簡単に作る。夕食といっても街中にいる時に作るような凝った物などは作れないので、子ども達でも食べやすい甘さのある野菜を使用したシチューを作った。それに、街で買ったパンが今日の夕食だ。
火の周りを皆で囲み、夕食をとった。もちろん、昼間にノワールと約束したレッドアップルもデザートとして出し、ノワールとルーチェは喜んで食べていた。
夕食を食べ終わると段々とウトウトしてきている2人だったので、ネッドさんに断りを入れて先に2人のことを寝かせてもらった。
夜は冷えるので毛布を取り出して2人にかける。俺は木を背もたれにして座っていたが、2人は俺の足を枕にして寝てしまった。2人が寝た後暫くはネッドさんと会話したりしていたが、ネッドさんも早めに就寝し、俺が動いたら2人とも起きてしまいそうだったので、俺は木に寄りかかったままの体勢で朝まで過ごした。勿論、座ったままの姿勢ではあったが俺もきちんと睡眠はとった。
次の日も前日と変わらない時間を過ごし、たまに出てくる魔物を倒したりしながらも順調に進み、リエゾンを出発して3日目の昼頃には無事にレガメへと到着した。




