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4人の彼氏候補  作者: 和藤ユヒリ
14/20

11話 林間学校2日目 事故キス⁉︎

 夜風と炎は唇が当たったあと、勢い余って、顔全部が当たった。そして、夜風を下にして2人は床に倒れた。

 2人とも顔を押さえて、悶絶している。


「痛っ!」

 ……おーい‼︎ ちょっと待てよー‼︎ これが私のファーストキス? てか、めっちゃ顔痛い。


「痛すぎだろ」

 夜風の唇柔らか! ヤッベェ、あの約束破ったことになる。3人に殺されるぞ。顔痛え。


 夜風は体を起こした。


「えーと、これは事故だから!」

「わざとではない!」


「そうそう! 事故!」


 光輝、紫音、氷から殺気を感じる。


「一旦、みんな、落ち着こう」

「氷が投げた枕が炎の背中に当たった。その枕がだいぶ強かったから、炎は前に倒れた。その前にいたのがちょうど私だった。それでたまたま唇が当たっただけだよ」


「ボクが投げた枕が強すぎた」

 氷は少し反省しているみたい。


「事故だとは認める。けど、炎!約束、破ったことになるな」


「夜風に告白するときに決めたことだろ」


 光輝と紫音は怒っている。

 


 小6の春休みにイケメン4人は話をしていた。彼らは始業式の日、一斉に1人ずつ告白しようと決めた。そして、4人のうち誰か1人が選ばれたら、その人が夜風を絶対に幸せにする、ということも決めた。しかし、夜風は1人も選ばない可能性もあると考えていた。その場合、これからも夜風とは今までと同じ関係になる。それでも4人は夜風が好きということは変わらないだろう。だから、抜け駆けはなしというルールを決めた。例えば、夜風にキスをするなどだ。過度なスキンシップはやってはいけない。そういうことをすると、夜風との関係が崩れると考えたからだ。4人は忠実にルールを守った。しかし、今! 炎だけがルールを破った!


 そんなこと決めてたんだ。てか、なんでこんなに4人は団結力があるんだ?


「本当にこれは事故だから、許してくれ!」


「まぁ今回は仕方ないからいいよ」

「僕も事故って夜風とキスしたいなぁ」


「許すってそれ3人が決めることかよ! 私にとってこれがファーストキスなんだけど!」


『え⁈ 何言ってんの』


「3歳ぐらいのときにオレらの中でキスゲームみたいの流行って、遊んでたじゃん!」


「……あ〜‼︎ そんなこともあったね! 忘れてた!」

「じゃあ、ファーストキスは誰だか分かんないね」


『まぁ、そうだな』


 おもむろに紫音が私に近づいてきた。この流れだとキスされそうだったから私は逃げた!その前を氷が立ち塞いだ!私は逃げる!また、光輝が目の前に!!


 私は氷、紫音、光輝に追いかけられていた。



 その頃、ひよりとレイカは炎が夜風にキスしたところだけを見て、驚愕していた。レイカはキスしているところだけを見て、なんとなく状況が分かった。ひよりは普通にキスしたと勘違いしている。


「炎くんは優しくてひよりのことを助けてくれてて、ものすごくいい人って思ってたのに……裏切られたー!」


(別に裏切ってはないと思うよ。だって初めから4人と夜風は彼氏と彼女のような関係だったんだからあり得るでしょ)

「ひよりは炎のことが好きになったの?」


「ちょっと! レイカ! そんなにストレートに言わないでよ!」

「……好きになっちゃった」

「だって昨日、色々と炎くんにお世話になって、カッコよかったんだもん!」


「そうなんだー」

「とにかく炎は裏切ってはいないと思うよ」


「それならよかった!」


(私が少し言うだけで信じるけど、大丈夫かな? 詐欺とか引っかかりそう)


「まだ諦めない! 夜風に勝ってやる!」


「チャンスはあると思うよ。頑張って!」

   

(多分ないと思う。だって4人は本気で夜風のことが好きみたいだから、ひよりが入り込めるところはないだろうね。でも、ひよりをわざわざ応援しているふりをしているのは、見てて面白そうだから! レイカって最低でしょ。フッ!)


 仲居さんが入ってきた。


「クラスの皆さんが乗った、バスが到着したみたいです!」


『分かりました!』


「昨日、今日と、本当にお世話になりました。ありがとうございました!」


「林間学校、楽しんでくださいね!」


『ありがとうございます!』


 こうして私たちはやっとクラスのみんなと合流した。バスに乗って、ペンションへ向かう。



***

夜風が今回の話で惚れたのは……炎‼︎ やっぱりキスされたのがデカいね! でも、本当に顔面が痛かった。

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