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キミがユメみたいばしょ  作者: ユメハ シンシヤ
4/10

噂の転校生

 ピロロロロロ――――――――――――


 スマホからアラームが鳴りはじめそして目覚める。

 月曜日の午前七時、休日明けの学校。


 気だるい身体を無理矢理起こしカーテンを開き外を見れば今日も朝日が昇り、小鳥たちが元気に鳴いていた。


「ふぁあ〜眠い」


 欠伸をしながら階段を降り、洗面所で顔を洗い目は覚めたがやっぱりまだ少し眠い。休み明けは特に眠い。


「おはよ」

「凄く眠たそうな顔してるけどちゃんと顔洗ったの?」


 テーブルには母さんが作った朝食が並べられ、米の一粒一粒キラキラ輝く白いご飯に味噌の香を漂わせる味噌汁。これぞまさに日本の朝食。パンもいいけどやっぱ日本人は米に限る。


「ん~む」


 向かいに座る親父はすでに朝食を済ませ今日も朝刊新聞を読んでいた。


「へえ、新聞読んで悩むなんて珍しい。そんなに悩ませるような記事でも書いてんの?」

「お前はこれを見てどう思う」

「えーと。カーブの緩い高速道路で車が転倒…」

「そこじゃない、左上のだ」


 でかく書かれていた文字の方の記事を読んだのだがそこではなく、親父が指さす左上方向へ視線を移動させると少し小さめで四つの絵が縦に並ぶ珍しい記事だった。


「え? 四コマ?」

「今日のやつはいまいち面白くない。昨日のは面白かったんだけどなあ」

「記事もしっかり読めよ親父」


 もしかして毎日記事じゃなく四コマの方をメインに読んでいるのか親父。なんかどうでもいい秘密を発見したな。



「行ってきます」


 準備を済ませた俺は親父の次に家を出て学校に向かう。

 電車通勤のサラリーマンは朝が早い。

 ゆっくりいられるのも学生まで。再来年には俺も同じ社会人とし貢献して生きていかなければならない。


 ランドセルをかるった元気に走る小学生、友達と仲良く部活の話しをする中学生、イヤホンを付けて音楽を聴きながら歩く高校生。腕時計を見て時間を気にするスーツ姿の大人の人。いつもと大して変わらない光景。至って平凡な日常。今日も平和だ。


 ただ一つ、学園内で少し変化があった。

 俺のクラスの近くで生徒たちが妙に騒がしい気がする。


 何かあったのか?


 生徒を通り過ぎる際に耳を傾けてみる。


「ねえねえ聞いた? 今日ウチらのクラスに転校生が来るって話」

「お前ら朗報、朗報だ。なんと今日転校生が来るらしいぜ。しかも女の子」


 転校生?


 みんなが噂している内容に"転校生"というワードがでている。しかも俺のクラスに入るらしい。

 なるほど、それで騒がしいのか。

 学生ならば突然に起こりうるイベント、確かに話題になる話だ。


 そういえば俺が小学生の時、急に転校が決まって街を離れた子がいたな。今は何処かで元気に学校生活を送っているのだろう。

 出会いがあれは別れがあるのも必然か。寂しいな。


「ちょっとそこ邪魔だからどいてくれる?」

「おっとすまん。て、誰かと思えば委員長か」


 俺に声をかけてきたのは花蓮(かれん) 詩利華(しりか)。クラス委員長もとい活動メンバーの一人。

 昨日の俺の送った活動内容メッセージに一度も返事せず現れなかったヤツ。


 見た目は綺麗で美しくモデルタイプの顔だち。おしとやかで生徒と話すときは上品に振る舞い、同級の間では学園の御姉様と言われるほど。オマケに頭脳明晰ずのうめいせき、スポーツ万能、仕事に関して真面目で成績優秀、非の打ちどころのない完璧天才委員長。

 メンバーに入れれば逸材になると大きな期待をしたのだが、それから花蓮(かれん)詩利華(しりか)という女の本性を知ることになるとは当時は思ってもみなかった。


「コードネーム" 魔 アイス黒魔女ブラックウィッチ"。瞳は冷たい氷のように青く、暗闇さえ吸収する魔女特有のまっ黒髪。性格はお淑やかだが一変して凶暴化するときもあり、このリーダーの俺にさえ牙を向ける危険人物。実は人をからかい見下すのが大好きなのが本当の花蓮詩利華だ」

「急に変なナレーション入れてくるのやめてくれる。それと人を見下した事なんて一回もないですから」

「いやいや、いつもからかって見下してんじゃん」

「からかいはさておいて、見下してるつもりではないんだけれど、貴方と彼は特別なのよ」

「なんでぇ!? どゆこと!?」

「ンフフ。面白いからかしら」

「俺はお前のオモチャではないぞ」

「でしたら下僕ならいいわね」

「よくねえし! つうかやっぱ見下してんじゃねえか!」


 この清楚を気取った黒魔女ブラックウィッチにいつか制裁を喰らわし猫を被っていると生徒達に証明して清楚お嬢様などという肩書を消してやる。

 俺が本気になれば容易い。今に見てろよ詩利華。


「ところでこの机、貴方の隣に置いてくれる?」


 空き教室から持ってきた状態の良い机と椅子を差し出す。

 俺の席は後列の窓側、隣は一席分のスペースが空いている。


「転校生の机か」

「知ってたの」

「あれだけみんなが噂してるしな」


 あれちょっとまて。そこに席を置くってことは女の子の転校生が隣にくるって話で間違いないよな。となると今日一回はその子から、もしくは俺から声をかけなければならない可能性があると。

 そうか、そうか、なるへそ。すう…


 め っ ち ゃ く ち ゃ 緊 張 す る う う う う うッッ。

 

 初対面の女の子と話すのはどうも慣れねえ! いやその恥ずかしいとかじゃなくてこうハラハラドキドキするっていうか。俺が転校生ってわけじゃないのになんでこんなにも緊張するんだ!


「どうしたのかしら」


 落ち着け、落ち着くんだ。リーダーたる者、新しい仲間を打ち解けさせるのも俺の役目である。


「もしもーし」

 

 やっぱり転校生ってクラスに馴染めるか不安に思っているだろうし、みずから打ち解けようとするのは難しいと考えられる。ここは隣席の俺がリードせねば。


「あのー、聞こえてますかー」


 まずは自然に声をかけそのまま流れで自己紹介をして次に――――――


「(もしかして隣が女の子だからって緊張してます?)」


 ぎクッ。


 脳内思考中の俺に詩利華が耳元で囁き度肝を抜かれ、彼女の顔はジト目でニヤリと悪巧みしている表情だった。


「ソ、ソンナコトナイデショー」


 俺はとっさに顔を(そむ)け慌てて誤魔化す。

 が、あからさまで喋りも片言で当然バレバレである。


「それよりこの机を運べばいいんだな!」


 ささっと机を持ち上げさらに誤魔化し慌てて転校生の席を俺の隣に設置させ、詩利華との距離が離れて緊張の汗を拭い、フゥと息を吐きゆっくり自分の椅子に座り横に鞄を掛ける。


 ここの席は落ち着く。

 最後列の端っこで後ろに誰もいない、隣の人がこちらを見ない限り視線を気にせずまったりできる。

 窓から太陽の光が差し春のポカポカ陽気が心地よく授業中はいつも眠くなりうっかり寝てしまうが大体教師に見つからない。集中力が切れた時たまに空を見上げたりグランドで体育の授業をしている生徒を見たりできて良い。


 席順はくじ引きで決まり一番人気の後ろの端っこ場所を見事当て当分の間ここに座れる地位を手に入れた。

 でも今日からは初対面の女の子が隣に現れる。人見知りってほどじゃないが初めての女の子ってまず何から話せばいいかわからん。無理に話しかけなくてもいいんだけどやっぱ仲良ししたい気持ちがあり、そう簡単に無視できん。もう一度落ち着こう。


「ほらほら席に着け」


 ホームルームのチャイムが鳴ると同時に担任の小山先生が教室に入りホームルームが始まる。

 生徒たちは席に着くがソワソワしてまだ小声で転校生の話題がまなかった。普段なら小山先生が注意するところ今日はわざとらしく一回咳き込むだけだった。


「大方噂は広まってるようだしさっさと紹介しとくか」

「(ついに転校生が来るぞ)」

「(どんな人だろ楽しみ~)」

「(この瞬間、謎の美少女転校生と俺のラブストーリーが今始まろうとしている)」

「(お前の場合始まる前からバッドエンドだよ)」


 みんないろいろ言ってて楽しみにしてるんだな。

 かく言う俺もワクワク感が少々高まっている。


「お前ら知っての通り今日このクラスに転校生が入る。入っていいぞ」


 先生の呼びかけで廊下で待機していた転校生が教室の入口に一歩足を踏み入れると生徒たちはみんな注目し見入っていた。

 そしてもう一歩踏み出した瞬間、転校生の姿が生徒達の瞳に映り込んだ。




上手く書けているか心配…

けど、読んで楽しんでもらえるように、一生懸命書いていきます!!

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