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キミがユメみたいばしょ  作者: ユメハ シンシヤ
3/10

チャット会議?


本編の始まりです。



 幼き子どもの頃はよくテレビの前でヒーロー番組を見ていた。

 世界征服をたくらむ悪い敵を倒し街や人を救うまさに正義、自分の秘めたるパワーで人々を守るそのかっこよさに男の子なら誰しもが一度は憧れたと思う。

 学校で友達とヒーローごっこしたり将来の夢は戦隊ヒーローのレッドになりたいとか。しかしそんなことをなぜ今思ったのか。それは、


『グエハハハハッ、この地球の全ては我々ダークマインド軍が頂く。地球人よ、この悪しき邪悪な力に恐怖し脅えるといい』

『そうはさせるかダークネスキング!!!! この地球は俺達のものだ、決してお前なんか絶対に渡さない!!!、行くぞみんな。最終決戦でも”超フルパワー全開”』


「”超フルパワー全開”セリフキタ、キタ、キタ、キターーーーーーーー!!!! よし、これで勝つる。コーヒー入れてくるか」


 そう、俺は今でもヒーロー系番組を見るのが好きなのだ。

 それでリアルタイムで見ていたら何となく幼い過去の自分を思い出していた。

 好きと言っても今でもヒーローごっこや将来の夢に戦隊レッドになりたいとかは当然しない。ただ幼い頃見ていたときの熱い情熱が現在十六歳で未だ覚めていないということ。子どもっぽいとか思うけどその信念で困っている人とかを助けるのが俺の人生の一環となった。

 

 現在高校二年。部活は入ってなく帰宅部だったがそれは今週までの話。来週から晴れて部活に入部した。いや入部したというか自分で部活動の申請し先生にようやく許可を得て作った。


「ああ、そうだ。来週から開始するなら初の活動は何をするか決めないとな」


 コーヒーを入れたマグカップを置き椅子に座り、テレビを見ながら考える。

 テレビの画面に映る忌々しい悪の親玉、ダークネスキング。キングの名は伊達じゃなく戦ってきた中で一番強い。最終回であってこの上なく強いオーラを身にまとう。

 リーダーのレッド率いる仲間がダークネスキングに一斉攻撃、全ての攻撃を正面からまともに喰らい、煙が立ち上る。


『クックック… お前達の渾身はそんなものか、まったく効かないなあ』 


 広がった煙がゆっくりまくと、そこに見えたのは笑いながら腕を組む、無傷のダークネスキング。

 倒されると思っていたが、究極の技を使っても倒せない急展開になり、目も離せず一旦活動の事を考えるのを止めテレビの画面に集中する。


 時計を見て放送終了まで後十分。残りの時間でどう親玉を倒す。


『諦めろ正義のヒーロー、すでに我々の勝ちは決まっていた。もうすぐここ一帯滅ぶ、今なら逃げても間に合うぞ』

『俺達は全員の命を背負っている、どんなことでも逃げたりあきらめたりしないぞ!!!』

『強気なところは褒めてやるがそれでお前達五人に何ができるとでも言う』

『…違うぞダークネスキング、お前を倒すのは五人じゃない。……俺達含めた地球上のみんなでお前に勝つ!!!』

『なんだと!??』

『テレビの前のみんなも力を貸してくれ』


 気合の入ったセリフを言った瞬間に絶望に満ち溢れたBGMが途絶え、勝利確定の演出が画面いっぱいに広がるクライマックス。

 レッド達が手をかざし、今までで一番大きいエネルギーを一点にかき集め、ダークネスキングに向かって一気に波動する。


『これでお終いさ、”超絶フルパワー全開マックス”!!! みんなとド派手に決めるぜ!!!』

『ウオオォォオオオォオオオオ!! 我が負けるなどありえん! あってはならんのだアアアアアア!!! グぼォあぁあアアアアアアアア!!!!!!!!!!』


 ヒーローだけで倒すのではなく守られていた人々と一緒に悪を倒す、なんという鳥肌展開! マジ神回! 俺のテンションも”超絶フルパワー全開マックス”!!!

 

 ――― カラン

 

「あ」

 

 つい興奮して不意に手にマグカップが当たり倒れ、残りのコーヒーがこぼれてしまい慌てて布きんを持ってき台を拭きつつテレビの画面に顔を向けた。

 

 みんなで力を合わせ倒されたダークネスキングは無へと帰り世界に平和が戻った。めでたし、めでたしという事でエンディングが終わり、テンションも落ち着いたところで改めて活動について考えてみる。

 が、パッと思いつかず。


「みんなにも聞いてみるか」


 テレビを消し再び入れたコーヒーを飲みながらスマホを開き、片手でチャットアプリのグループにスラスラ文字を書きこむ。


> おはよう皆の衆 今朝早くすまない

> 週明けにも話したが、来週から開始する部活動について聞きたいことがある

> このたび、第一回目の活動計画に何を行うか、皆から意見を出してほしい


 リーダー口調にしたせいで無駄に長い文章になってしまい、三つに分けて送信。

 普通に書けばいいけど、特撮を見た影響でリーダー口調で文章を書きこんだ。

 気分によって中二病になるのが小さい頃からの癖であり、高校時代になっても抜けていない中二病乙の高校生。


 送信してわずか数秒後に一つ既読が付く。


「おお、以外にも早いな。多分、留未るみか?」


 既読が付いた後、マグカップにコーヒーを入れつつ少々待つと予想した通り、アイコンがお菓子の留未からの返信がくる。


> おはよだよ隊長。私から意見言ってもイイですか?

> 聞かせてもらおう、ゆるふわイエロー


 真っ先に意見を出す心意気は見事だ最上さいじょう留未るみ。コードネームゆるふわイエロー。

 ちなみにコードネームを付けたのはこの俺。


 ここでコードネームの由来について説明しよう。


 ゆるふわとイエローは留未の特徴をとらえたもの。ゆるふわは常にゆるゆるとした優しい性格、動きも活発と言うよりイメージとしては雲みたいにゆったりふわふわと動く様。イエローは髪の色で決めただけ、本当は金髪だけどゴールドというのはあまり合わない気がしてイエローにした。

 留未はゆるふわ女子の完全体。ひっそり男子に人気がある事は知っている。なんせ優しい性格で誰にでも声をかけるフレンドリー質の持ち主、いつも笑顔で明るく相手と接し一部では天使様なんて呼ぶヤツもいる、その気持ちはわかる。俺も留未の素質にれした。是非とも仲間に取り入れたかった。


 地球上にこれほどの癒しの力を持つ熾天使してんしがいるとは。どっかの誰かさんみたいな悪に堕ちた堕天使さんは留未を見習ってほしいものだ。


> お菓子を作るってのはどうですか?

> お菓子? 誰かに配るのか?

> いえ、まずはとことん研究です!


 お、おかしを研究????

 なんだか雲行きが怪しくなってきた…

 さっきは留未のことを褒めたのだが、彼女には一つ、ちょっとした欠点がある。


> みんなで究極の美味しいお菓子を作るんです


 やっぱり。留未の考えている活動の趣旨がずれてるな。

 仲良くお菓子作り自体いいとして。俺達が今までしてきた活動はボランティアであり、部活になっても活動内容は変わらない。

 それと留未がお菓子作りを提案した本当の目的も読めていた。

 

> ひたすらお菓子食べたいだけだろ

> 何でわかったの!? まさか弘充君はエスパー?


 驚き顔したキャラクターのスタンプと共に、俺をエスパー疑惑を疑う留未。

 お菓子好きなの知ってるし、調理部にお邪魔して作っては食べていたところを見たことある。


 こうやってたまに天然キャラを発動するのが最上留未。

 本人はどうしても天然を直したいそうだが俺が思うに留未の天然はキャラを引き立てる一つのチャームポイント、そこに可愛らしさが出ている。無くしてはならないアビリティ。

 まあこんな感じの留未なんだが性格に不満はない。いつも元気で明るく一生懸命に働いてくれるかけがえのない大切なメンバーなんだ。


> みんなおはようさん


 着信音が鳴り画面を見るとお次の返信主は大誠(たいせい)だ。


> 大誠くんおはよー

> おはよう、ビッグサイドブルー


 こいつとは小学生からの幼馴染で昔からよく遊んでいたダチ公、中身は留未と同じ感じで優しく真面目で漢気のある男である。

 普段は物静かで大人しいがそれとは裏腹に趣味は筋トレと最近は料理をするのが好きらしく、たまに俺はジムや買い物に付き合ったりとかしている。

 ガタイがよく身長は百八十六センチもある大男なのだが目立つ事は苦手で共に行動する時は大体後ろかサイドに立っている。という事で戦隊ヒーローポジション的にブルー、ビッグサイドブルーと名付けた。


> 一つ聞きたいことがあるがいいか?


 早速質問してくるのか。積極的取り組みに感心感心。そういう大誠の真面目なところも好きだぞ俺は。


> わからない事があったら何でも聞いていいぞ

> 今日かーちゃんの誕生日でお祝いに夕飯を振る舞おうと思ってるんだが、初めてで何作ってあげればよいか?


「部活への質問じゃないんかい!! この親孝行め、大事にしろよな!!」


 こいつは俺の書いた文章を読んでいなかったのか? まったく、親友なのだからきちんと読んでほしいぜ。


> 一番はお母さんが好きなメニューでいいと思います

> お祝いするのであれば豪華なものとか派手にしたほうが喜ぶんではなかろうか?

> それもそうだけど無理に盛り上げなくてもいいんじゃないでしょうか。お母さんの為を思って作ってあげればシンプルであっても十分うれしいと思います

> そういうものか?

> そういうものです!

> そうかありがとう。かーちゃん喜んでくれるかな

> 大丈夫! お母さんきっと喜びます!


 母親の誕生日を盛大に祝おうとしたい大誠の気持ちもわかるし留未のひんや金の価値ではなく感謝の思いを込めたプレゼントにこそ価値があると言いたいってのもわかる。

 活動の内容ではなかったがこれはこれでホッコリする話だ。しょうがない良しとする。


> 愛する息子が作る手料理なら母親もさぞ喜ぶだろ。”超絶フルパワー全開マックス”で作ってやれ。

> その超絶何とかとはどういう意味なんだ? 聞いたことがない。もしやそんな凄いやり方があるのか? あるのだったら教えてほしい。

> 特に意味はない。気にしないでくれ。


 ただの特撮ヒーローのセリフに、純粋にツッコんでくる。これが生真面目ボケ殺し。ちょっと羞恥心ダメージを喰らった気がする。

 気を取り直して改めて本題に入らせてもらおうか。


> そのセリフ、今日の特撮ヒーローで言ってたよね


「何ぃ、留未のやつ最終回をリアタイで見ていたのか!?」


 キリよく終わらせ振り出しに戻ろうとしたところ留未の文章に反応し喰いついてしまった自分がいた。

 留未が見ていたとなれば最終回の内容を知っている。話を戻したいが触れずにはいられない。もう少し待ってその後にしておけばいいな。


 と思ったのだが冷めたハートに再び火がつきそれから結局ヒーロートークが続きそのまま解散となってしまったのだった。


「つい盛り上がってしまった… フッ」


 ガクリと肩を下げ両手を床につけ四つん這いの状態で己の浅はかを悔やむ。


「留未や大誠は出てきてくれたからいいけどあと二人は返事も無しに無視か。たく、何やってんだ」


 グループには俺を含め五人のメンバーがいる内の二人が一度も出てこなかった。その二人には少し難癖が有り、俺にとって小さい悩みのタネだ。

 今に始まったことでもないし別にいいけどさ。



引き続き頑張って書きます。

ぐだぐだかもしれませんけど、徐々に物語が動きますのでご安心を。

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