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ソーマジック・サーガ ~異世界と地球を紡ぐ物語~  作者: 渡邊渡
第二章:明らかになっていく真実
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第38話 レンジャー4人の今

10年ほど前から構想していた物語をまとめました。ぜひお読みいただければと思います。


 マサノリが惑星エヌから地球に戻った時、最初に考えたのはいかにしてあの災害から星を守るかということだった。


 しかし当時日本では、単なる一般人でしかなかった自分だけでは何もできないことも理解しており、まずは国を巻き込むことを決めたのである。








 今からおよそ5年前のある日、認識阻害のスキルを使い、総理官邸に正面から堂々と入り込んだマサノリは、総理大臣、官房長官、副首相を連れ その場から富士山の頂上へ転移した。


 3人はいきなりマイナス10度の世界に放り込まれたわけだが、さらに現実とは思えない衝撃が待ち構えていた。


 マサノリはジャンボジェットほどもある巨大な竜を召喚し、3人を乗せて地球を1周したのである。


 眼下に万里の長城、タージマハール、凱旋門、自由の女神、北極などを見渡す、地球一周のフルコースだ。


 日本のトップに立つ3人に圧倒的な力と現実を見せつけたマサノリは、彼が持つ様々な事情とこれからについて3人と話し合い、国家からの協力を取り付けることに成功。


 そして国から莫大な資金と人材の援助を受け、およそ2年をかけてソーマジック・サーガを開発、そしてスタッフを集めて運用し、今に至る。


 ただ、同時に国からは支援の条件の一つとして、自衛隊のレンジャー隊員でもとびきりの腕利きをエヌに派遣すること、そして内閣の特別調査官をエヌに派遣することをマサノリに要求。


 マサノリもそれを受け入れ、選ばれた4人のレンジャーはマサノリとともにエヌに訪れた。


 このレンジャーチームは、初めてマサノリがエヌに連れてきた地球人だったのである。


 ただしこのレンジャーチーム4人は、エヌをもとに作られたソーマジック・サーガをプレイしていない。


 ゆえに地球と惑星エヌのカルチャーショックが大きく、スキルや戦闘を受け入れるまでに相当な時間を要した。


 また内閣から特別な密命も受けていたが、それも含めて日々レベルアップと情報収集に勤しんでいたのである。






「レベルがやっと120になったな。これだけ倒してもなかなかレベルが上がらないっていうのが、やっぱり辛いな」


「俺は学生時代はRPGにはまっていたが、やはりゲームと実戦では全然違う。なんだかんだ言って、現実は命がけなんだよな」


「でもこの魔法ってのはいいよ。地球でも使ってみたい」


「ここは敵地です、集中しましょう。確認しておきますが、日本から持ってきた武器のチェックは大丈夫ですよね」




 彼らはマサノリから自衛隊の装備、つまり地球の武器をエヌに持ち込み、使用することを許されている。


 これは地球の武器があの魔物に通用するかを確認するためだ。


 しかし今のところ大きな効果はない。


 というよりほとんど通用しなかった。




「これも正確に報告しなきゃいけないが、やっぱり頭が痛い話だなぁ」


「20式(20式5.56mm小銃)でも動きを止められないとはな」


「まぁ、それがわかっただけでも良かった。知っていれば、対策もできるしな」


「あいつらは血液がないから、日本の生き物のように出血多量で行動が低下という考え方もない。痛覚があるかも疑問で、腕一本落としたところで効果は乏しい。ただ頭を落とせばあいつらの行動は停止する。それはやはり奴らの感覚が視覚に頼っているからだと判断できる」


「ただ魔物によっては嗅覚や聴覚に特化したい奴もいるので一概には言えないし、頭にダメージを受けても平気で動き回る奴らも多い」


「ほんと厄介だな」


「しかしあのダンジョンシステムはうまくできてたな。階層が進むにつれて敵の攻撃パターンや強さ、そして大きさや数など様々な要素が変化する。そしてそこでの経験が、実際にこの島で活きている」


「この島の魔物はダンジョンの魔物とはまったく違うけど、ダンジョンで身につけたスキルがなければ、多分即死でしょうね」


「そして、これがいつか地球でも役立つということだろう」


「それらを含めてのレベルアップだろうが、何度会ってもあのマスターには驚かされるな」


「あぁ、何をやっても勝てる気がしない」


「今でも最初に会った時のことを思い出すよ。ただ、思い出すたびに震えが止まらないけどな」


「至近距離で撃った弾丸を手で掴むなんて、アニメの世界以上だったしな」




 レンジャーチームのレベルは全員が120になったばかり。


 戦士のミナト、魔法使いのカノヤ、僧侶のコマツ、魔法戦士のオズキ。


 レンジャーの中でも優秀な隊員で、陸上自衛隊では同じ立場にある。マサノリの指示もあり、あえて上下関係を持ち込ませなかった。


 このチームのみ全員男子で構成されているが、自衛隊員が魔法使いというギャップは、最初は本人たちも受け入れられなかったようだ。


 それでも経験を重ねてレベルを上げたことで、ようやくサマになってきたところだろう。



 彼らはすでに鳥の森、狼の谷、熊の山、虫の沼、猿の島と5つのダンジョンをクリアし、今は最後の黒き島で、ある魔物と戦い続けている。


 いつか来るであろう、故郷の存続をかけた戦いへ向けて…





「4対1000」へつづく


最後までお読みいただきありがとうございました。誤字脱字、拙い文章かと思いますが、今後もお読みいただければ幸いです。

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