第23話 召喚獣の力
10年ほど前から構想していた物語をまとめました。ぜひお読みいただければと思います。
≪≪室長!E1発生です!
場所は例のクエストを実施した遺跡近くです≫≫
<ハル…、スカーレットは何してる!>
≪≪寝ているようで反応しません≫≫
<俺が行くにも10分はかかる、やつを叩き起こせ!>
圧倒的な一撃を受け、4人は最後の時を迎えようとしている。
以前にも鳥の森ダンジョンでこういったケースはあった。
しかしあの時はサトルが助けてくれたが、そのサトルがやられて誰も助けに来ない。
だが、今回は4人をサポートする目的で派遣された4体の召喚獣が目の前に立っている。3メトルほどの巨大な魔物と1メトルほどの召喚獣たち、その体格差は歴然だ。
「逃げて…」
「ダメよ…」
ワカナとエリは消えゆく意識を前に、つぶやく。
マッキーはすでに呼吸が止まりかけ、とっさにエリをかばったサトルも微動だにしない。
魔物は召喚獣に興味を示さず、歩いてくる。そして口から炎を吐いた。その威力はレベル45クラスの火魔法。レベル15のサトルたちでは一瞬で消し炭になるレベルだ。
「守りなさレ。空断障壁」
その瞬間、その炎をかき消す強力な壁が全員を守った。
「何?これ…」
自身の召喚獣クロミが放った魔法にワカナは驚きを隠せないでいる。
「オレラは無視かヨ!」
マッキーの召喚獣ラックが消えたと思ったその瞬間、目にも止まらぬスピードと威力の飛び蹴りが魔物を襲った。
魔物は吹き飛び、その衝撃で木々をなぎ倒す。
「消えなさいワ。殲滅魔法・灼熱炎獄襲」
エリの召喚獣ミーナが魔法を唱えると、レベル50クラスの火魔法が魔物を襲った。
レベルの違いは歴然、魔物は跡形もなく焼き尽くされた。
「どういうこと…。あなたたちは一体…」
エリは驚きの目で4体の召喚獣を見ている。
「だから反対したのですワ。
ただこの傷、クロミの回復魔法では、すべて回復できないかもしれません。この回復道具も効果が微妙ですし、どうしましょうか。
あ、大丈夫ですワ」
サトルたちが持っている体力回復ポーションBは、通常の怪我は回復できるが、致命傷となるダメージを回復するまでにはいたらない。
サトルの完全回復だけが頼りだったが、そのサトルは瀕死の状態だ。
しかし召喚獣たちに焦りはなかった。
その理由が空から舞い降りてきたからだ。
「スカーレットの力」へつづく
最後までお読みいただきありがとうございました。誤字脱字、拙い文章かと思いますが、今後もお読みいただければ幸いです。




