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ソーマジック・サーガ ~異世界と地球を紡ぐ物語~  作者: 渡邊渡
第一章:はじまりの物語
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第19話 戦士の願い

10年ほど前から構想していた物語をまとめました。ぜひお読みいただければと思います。


 東京で生まれ育ち、高校では甲子園を目指して野球に打ち込んだ。大学では経済を勉強し、卒業後は都内の大手広告代理店に就職。


 そのセンスと行動力は同期も先輩も圧倒し、初年度から様々な案件をまとめ、次期エースとまで呼ばれる。マッキーこと槇原貴臣は順風満帆のエリート街道を突っ走っていた。


 そして東京オリンピックの開催決定を受け独立を決意。広告プランナーとして日本だけでなく世界を駆け巡り、その名は業界でも知られることになる。


 テレビ業界、スポーツ業界、IT業界、各メーカーなどに人脈とクライアントは広がり、数億円単位の契約を次々と獲得、まさに成功を勝ち取ったのである。


 起業して順調な3年が過ぎたころ、イベント会場で知り合った女性とも結婚。翌年には子供も誕生し幸せの絶頂にいたが、そんな状況がすべて吹き飛ぶ最悪の出来事が起こる。それが新型ウイルスによる世界的なパンデミックだ。


 世界中に蔓延したウイルスの影響で東京オリンピックが来年へ延期となり、決定していたオリンピック絡みの広告やイベント、さらにタイアップグッズは、すべてクライアントが撤退してキャンセル。すでに支払っていた巨額の費用は回収できず、時代の寵児から犠牲者へ転落。


 政府の援助は雀の涙ほどであり、とても全ての損失を補うほどには至らなかった。


 妻はあっさり自分を切り捨て子供を連れて出ていき、残ったのは返し切れない借金だけ。財産はゼロどころかマイナスになり、天国から地獄を経験する。


 あの絶頂からたった半年、この世の春を謳歌していたその矢先の出来事なのである。


 そんな槇原にとって、心の安らぎは広告の仕事で知った「ソーマジック・サーガ」だった。


 現実世界から飛び出したこの世界だけが、槇原にとって唯一の安らぎであり、逃避できる場所。


 広告の仕事がなくなってコンビニバイトで日々を食つなぐ中、「伝説の宝玉イベント」には真っ先に飛びついた。


 たとえそれがゲームの中の世界であっても、この現実と日本を離れることができるのは、槇原がもっとも熱望していたこと。


 そしてイベントをクリア。先着20名だけに与えられるアイテム「リアル・ソーマジック・ギア」を手にしたのである。


 このギアを装着する時、槇原は家にあるわずかな持ち物をすべて処分した。それはまるで日本に、そしてこの世に何の未練もないことを意味するかのように。


 そして惑星エヌに旅立ち、スカーレット王女の説明を聞いた時、槇原は歓喜した。


 あの地獄のような日本を離れ、まったく新しい人生を始められるのである。


 現実なのか夢なのか、そんなことはどうでもいい。


 それよりもあの日々から脱却することに大きな意味があるんだと。


 そして槇原に日本へ戻るという選択はない。ただこの世界で最強になるために100レベルに到達し、他を圧倒する力を手に入れたいと考えた。


 表向きは日本へ戻るため、みんなに協力するためのパーティーである。


 アニメやゲームが好きなのは事実だが、それだけを目標に日本へ戻ろうなんて考えていない。


 ただ自分が強くなるだけに、仲間を利用していたのである。


 もちろん槇原はその本音を誰にも明かしていない。


 そもそも誰もが何かしらの思惑を持っているのだろうと考える。


 エリが娘のために日本に帰りたいという気持ちもよくわかる。ワカナの本音はわからないが、強くなろうという気持ちがあることはわかる。そしておそらくサトルは自分に近いところがある。


 日本へ戻るためにレベル100を目指すのではなく、ただ強くなるため、自分の限界を知るためのレベル100なのであろうと。


 正直に言えばサトルがこのパーティーのリーダーであることは面白くない。しかし自分のレベルを上げるためには、間違いなく有能なパートナーである。


 この世界でレベル100を目指すのは自分一人だけでは不可能だ。そういった意味でサトルの存在は、まさにうってつけ。サトルを利用し、サトルを超える強さを手に入れること。そして、いずれはこの世界で自らが王となる国を作ること。そのために、サトルもエリもワカナも利用して成り上がってやる。それがマッキーこと槇原達也の本音だ。


 確かにサトルは強い。そしてそのおかげで自分たちも強くなった。


 今日から11階層への挑戦が始まるが、最初はサトルに頼りきりになるだろう。


 しかしいずれはサトルを超えて自分が最強になる。今日からの挑戦は、自分にとって新たな一歩となるはず。


 強い信念のもとマッキーは皆が待つ扉に手をかけた。



「サトルの評価」へつづく


最後までお読みいただきありがとうございました。誤字脱字、拙い文章かと思いますが、今後もお読みいただければ幸いです。

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