第七章起きてよ
私の娘は結局昨日から目が覚めてはいない。だから私はゆりが起きてもいいようにと一睡もしないまま今もいる。夫は体を休めろというが私はそんなにものんきにも寝てはいられない。だから私は今日も起きてゆりの目覚めを私が見守る。
でもそんな中私と夫が夕方ゆりを見守っているとゆりが目覚めた。私はゆりに
「おはよう」
とちょっと泣きそうになりながらも、朝のように言葉をかけるが夫はゆりに謝っていた。私はゆりと少しでも話をしたいと思いながらいると、急にゆりがありがとうと感謝のことばをかけてきた。私はこの時にわかった、ゆりは自分の寿命がもうわかっているのだと、だから私と夫は何も話さずにゆりの話ことをじっくりと聞いた後にゆりはしばらく目を覚ましていたので、私はゆりと今度はどこの水族館に行こうかなどと話しているとまたゆりは眠りについた。
私はもしかしたら今さっきのゆりの最後の言葉ではないのかと思いながらも寝てしまったゆりの手をそっと優しく包み込んでまた起きるのを待つことにした。
ゆりが寝てから約十分後急に心臓の鼓動の数値が低下し始め私はナースコールを押して病院の人を呼ぶと、そこからは先生たちが一斉に病室に駆け込み緊急処置をとっていたが、五分後ゆりは私たちよりも早くさきに旅立った。
私たちはゆりが亡くなったことをまだちゃんと受け入れれないまま色々と準備をしてお葬式の日になった。お葬式には身内だけで執り行うことにして、私たち夫婦はとても暗い闇へと落ちていった。
ゆりが亡くなって三日が過ぎ私たちはゆりの部屋に入りゆりの言っていたUSBメモリーを探しパソコンにさして中のフォルダーを見ると【お父さんへ】【お母さんへ】と書いてある二つのWordで作成してあるファイルがあった。私たちは一つずつ開いて読むとゆりが亡くなる前に書いた感謝の手紙がびっしりと書かれていた。私たちは泣きながら最後まで読むと、ゆりのためにも楽しく明るく生きていかないといけないねとお互い泣きながらゆりの手紙を糧に生きていくことになった。