第六章予定よりも早く
私は今日もいつものように学校に行く準備を朝から行いいつもの時間になると家を出た。今日はいつも私を迎えに来る田中美紀さんが少し浮かない顔で私に声をかけた。
「あのゆりさん、今日は少しより道をしましょう」
彼女の言葉からして多分私は当初予定されていた死期よりも多分今早くなっているのだと私は思った。だから私は何も言わずにそのまま彼女の後ろをついて行くと、見慣れた公園に着いた。私はその公園の名前は少し忘れてしまったがそこには展望台がある。その展望台の上に設置してあるベンチに座り私は彼女の話を聞くことにした。
「すみません、私の予測していた日よりも早く死期が近づいてしましました。私が未熟で本当に申し訳ありません。」
彼女は最初の時のように深く頭を下げていた。私は彼女に話した。
「もういいんですよ、私は。死ぬのがわかっていたんでいつ死んでも悔いはありません」
彼女は頭を上げてもう一度私に謝り、正しい日付を言った。
「佐藤ゆりさん、あなたの本当の死期は今日です。今日の十八時二十七分四十五秒」
私は後十一時間しかないとわかり
「それじゃ田中美紀さん、今から一緒に出掛けましょう。もう青春時代には悔いはありませんしあと最後にするならば、友人と一緒にお買い物やカラオケぐらいなので一緒に付き添ってくださいね。私は無茶苦茶なことを言っていると自分で分かりながらも彼女に言うと
「わかりましたゆりさん、あなたの友人として最後までお付き合いさせていただきます」
と彼女は笑いながら私と一緒にショッピングモールを二店舗まわったりご飯を食べに行ったり、カラオケに行って二人で熱唱したりと気づくとあと一時間ほどしか私に残された時間は無くなった。私は最後に美紀さんにお願いを言うとその前に家族と最後話でもしてください。これは神様のルールなのでそのあとであれば何でも言うことを聞きましょう。と言って私は一回現実の私へと意識を飛ばされた。
目が覚めると部屋には夕日の光が差し込み、お父さとお母さん二人がいた。私はお父さんとお母さんに向けて話さなければと思い一言話すと、二人が私の方を振り向き今にも泣きそうな顔で私に話しかける。
「ゆり、お前大丈夫か。父さんたちが全くゆりのことを見ていなくて悪かったな」
お父さんは泣きそうになりながらも我慢して私に声をかける。私も早く話さなきゃいけないと思い
「お父さん、お母さん、いつもありがとう。私は病気ばかりしていつも心配かけさせてごめんね。昨日も急にベッドで体調崩してしまって本当にごめんなさい。でも水族館楽しかったよ。またいつか一緒に行こうね。最後に私の部屋に白いUSBメモリーに入っているデータ父さんたちにあげるから見てね」
私は目の前がどんどん暗くなりやがて高校時代の私に戻った。私は戻ってから美紀さんにあとどのくらい時間があるかを聞くと
「ゆりさんに残された時間は後十三分でっす」
私は最後のお願いとして私がいなくなったらできるだけお父さんとお母さんから悲しみを消してあげてと伝えると美紀さんは、少し涙目になりながら
「わかりました、できるだけ悲しみを軽くしておきます」
と言って私はあの世へと旅立つ準備をすることへとした。