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第五章現実の私
十二時になっても全く起きてこないわね、私はそう思いながら娘のゆりを起こしに行った。でも私が部屋に入って娘を起こそうとしたときには体からは大量の汗、そして呼吸が荒くなっていた。
私はすぐに救急車を呼びいつもの病院に運んでもらうと、担当の先生からは夜中に体調が急変し今はとても大変な状況だということが突き付けられた。せっかく退院したばかりだったのにと私は思いながらも、自分がしっかりとゆりのことを見ておけばよかったと後悔していてもしきれない。病院にゆりが運ばれて一時間後に夫が病院に来た。夫は私を抱きしめながら
「お前が悪いわけではないから安心しろ、ゆりはこんなところでは絶対に負けないから」
と言いながらも実は私に見えないところで泣き崩れていた。
病院に運ばれてからもう五時間がたっても娘は起きない。私はずっとゆりの手を握っている。少しでも早く起きてほしいと私は願いながら今を過ごしている。