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もう一度高校時代をやり直したい  作者: 上条 勇斗
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第三章 過去と未来

 私は目を覚ますとまたもや高校生になっていた。なぜまたすぐにわかったかというと起きた時の体のだるさが全くいつもと違うからである。私はこの間と同じように顔を洗い制服に着替えてからリビングでお母さんの作った朝食を食べていると、家のインターフォンが鳴った。お母さんはインターフォンが鳴ったので玄関に向かい誰かと話している。私はその間にご飯を食べ終え歯を磨き学校に行く準備を済ませると

「ゆり、早く来なさい、美紀ちゃんが来ているわよ」

私は返事を返して、玄関に向かい顔も名前も初めての人と一緒に学校に行くことになった。

 家を出て私は最初何を話していいかわからなかった。今までこの人と二十歳の私は何も関係がなかった。でも私は知っているこれが夢であることを、だから私は最初いかにも前から仲が良かったかのように話しかけると

「あなたこの世界の住人ではないでしょ」

と言われた。私はえっといって

「なんであなたにそれがわかるの」

と聞くと

「私はこの世界の案内者、別名田中美紀永遠の十七歳です」

彼女は律義に挨拶をしてきた。私も自己紹介をしたほうがいいと思い

「私は佐藤ゆり現実の世界では二十歳です」

といった。彼女はタブレット端末を見ながらそのようですねと言ってまずこの世界について話を始めた。

「まずはあなたにこの世界について話をしなければなりません。ここにいる限りあなたには知ってもらう必要があるからです。まずこの世界はもう間もなくあの世に行ってしまう方が、この世界で自分の願い通り過ごせる場所です。あなたは今週あの神社で高校時代に戻りたいと願った。その願いが叶うときはもうすぐあの世に行く時が近づいたものにその願いが優先的にかなえられる力が働きます。また例外もあります、例えば今まで不幸が続いたり、人生が波乱万丈だったりと今まれ頑張ってこられた方も願いが叶いますが、あなたはその例外もありません。私は神から言われた通りのことしか言えませんが、あなたは後残り一週間で現実の世界を離れます。今ここで言ったことは、現実世界に行っても変わりませんし、どうあがいても変わることはありません。なのであとあなたの一週間はどう過ごしても構いませんがくれぐれも自分のやりたかったことだけは生きている間にやっておいてくださいね」

彼女の長い説明が終わると私は自分があの世に行くことが決まっていることに恐怖があり歩けない状態になってしまった。でも彼女は私をみて

「あなたのようにここまで治療に耐えられて来た方がこのようにあと一週間で現実世界を終えて、あの世に行かれるなんて私としても本当に悲しく思えます。でも安心してください、この世界で普通の高校生活を過ごして現実でもしたいことをすればあなたは幸せにあの世に行けるのです。だから私に全てお任せください」

彼女はそう私に告げてから先に歩いて行った。

 私は目を覚ました。起きた時刻はまだお昼前の午前十一時だったので私はお母さんと一緒にお昼ご飯を作ろうと誘った。お母さんは珍しいわねと言いながら私もたまにはねと言って、和気あいあいと

しながらお昼ご飯の準備をしているとピーンポーンと家のインターフォンが鳴った。お母さんははーいと言いながら玄関に向かって歩いていく。その間に私はご飯を炊くためにお米を洗っていると

「ゆり、あなたにお客さんよ」

と言ってお母さんは私に玄関に行くように言った。私は一体誰なんだろうと思いながら玄関にいる一人の女性を見るとどこかで見たことのある面影だった。

「こんにちはゆりさん、私は今先ほどあなたの夢に出てきました田中美紀と申します」

と言って私は夢のことは本当だったんだと思い知らされた。私はひとまず玄関で話すのも何だったんで、自分の部屋に案内し自分の部屋で話した。

「いったい何の用なんですか田中さん」

「そんなに怖い顔をしないでくださいよ、ゆりさん。私はあなたの残り僅かな人生を楽しくするためにリアル世界に来てまでお世話してあげるんです」

彼女は夢の時よりも少しだけ暗く話した。

「あれは本当だったんですね」

私は再度確認するように聞くと

「はい」

と短く答え彼女は私に謝った。

「夢の中では大変申し訳ありませんでした。勝手に知らなくてもいい情報まで話してしまい本当に申し訳なく思っています。そして今私はあなたの記憶から余命の部分だけを消しに来ました。なので死の恐怖と闘わなくて済みますよ」

彼女は申し訳なさそうに深々と頭を下げながら私に言う。私は彼女にそんなのは記憶から消しても死ぬことは決まっていますし、今はもう自分で覚悟を決めました。なので大丈夫です。あとは夢の中の高校時代とこのリアルな世界で楽しく過ごしたいと思っているので後はサポートよろしくお願いします。私は彼女にお辞儀をすると

「わかりました、でもこのリアル世界も残り三日しかいられません、あとは夢の中の世界になってしまします、どうかこの三日間をお楽しみください」

彼女は言いにくそうな顔をしながら私に言って帰ろうとしたので

「今から一緒にお昼を食べてから出かけませんか、これも何かの縁ですし」

私は明るく話伝えると彼女は控えめに断りながらも私が最終的に無理やり一緒に過ごすように彼女に言うと

「仕方ないですね、あなたのために夢でもこのリアル世界でも仲良くしましょうね」

そう言って今日一日夢の中の案内人別田中美紀と過ごすことになった。

 私と彼女の関係は高校時代に少し仲が良くて連絡をちょくちょくしている関係という設定で母と話ながらお昼を三人で作りご飯を食べた後に彼女と今度は想い出を振り返るために出かけた。

 最初は幼いころに両親と一緒に遊んだ公園や動物園、水族館などとまわり午後からは伸びていた髪を切るために美容室に行って今日一日を満喫した。私は彼女にまた明日お昼に家に迎えに来てねと言って明日も想い出をめぐるお出かけの予定を作った。

 家に着いた時間は二十時を過ぎていた。いろんなところに一日で移動して疲れてしまった。私が家に帰った時にはすでにお父さんも帰っており、私が髪を切った姿を見てかわいいぞとおだててくれた。お母さんはかわいくなったねと言って私はありがとう、をたくさん両親に伝えた。

 翌朝高校時代の夢は見なかった。多分あと二日後にはまた高校時代の夢を見るのだろうと私は思った。

ベッドから起き上がり私は洗面所で顔を洗い朝食を三人で食べ、そのあとはお父さんにいってらっしゃいを伝えると自分の部屋の掃除を始めた。自分が死んだ後に両親を困らせないようにと思い使わないものや窓のふき掃除、そしてパソコンのフォルダーも必要最低限にまとめ最後にメッセージをWordでお父さんとお母さん二人に今までの感謝の気持ちを打ち込みながらひと段落すると私は時計を見た。なんともうすっかり十二時近くになっていた。私はリビングに行くために階段を降り、その後お母さんが作ったお手製オムライスを食べ終えるといいタイミングで田中美紀が家に来た。私はお母さんにいってきますと言い今日も思い出巡りのお出かけに出た。

 最初は小学校と中学校をまわり、町の景色を見るために少し小高い丘を登りながら西山公園へと向かった。

 公園へ着くとそこには町一面が見渡せる展望台があり私は町の景色をみて涙があふれ出てしまった。この景色もあと今日を含めて二日しかなく、この景色ともさよならかと思うと涙が止まらなくなった。少しして私は彼女に言った。

「やっぱり死ぬの怖いよ、まだ両親と一緒に家で過ごしたいよと変わらない運命をどうしようもないとわかりながらも私はしばらくの間彼女に泣きながら駄々をこねた。彼女は何も言わなかったが優しく私の頭をなでてくれた。その手はなんだか暖かくて優しい感じが私に伝わった。

 私は深呼吸していつもの自分になるころにはすっかりと夕方になっていた。日も沈み始め私たちはもう帰ることにした。帰り際に彼女から私に話をした。

「明日あなたが最後になるこの世界、明日以降の残り四日間は夢の世界になる。起きたくても起きれない、そんな世界。だから明日は家族三人で一緒にいなさい。それ以降また夢の世界で私は会えるから」

彼女はそう言って私から離れていった。私もそうするよと伝え私は自分の家に帰った。

 家にはまだお父さんは帰っていない。多分今日は金曜なので残業があるんだとお母さんは言った。私は明日三人で一緒に水族館に行きたいといった。お母さんはたまには一緒に行きましょうと言ってお父さんにはお母さんから伝えるから早く寝なさいと言われ私は自分の部屋に戻り、パソコンで今日昼間に書いていたデータの手紙の続きを書き、明日は明日の思い出を書いて最後にしようと思い今日の分の手紙を書き終えると私はひとまず寝ることにした。

 翌朝私は目を覚ますと少し体に異変があった。体を起こそうとしても手に力が入りにくく立ち上がるにも足に力が入らない。私は本当に死に近づいているんだなと思いながらまずはリビングに向かった。私はできるだけ普通にするようにと思いまずは、リビングに入る前に大きく深呼吸をしてから部屋にはいった。お父さんもお母さんもいつものように

「ゆり、おはよう」

というので私もいつものように

「おはよう」

という。それからお父さんが水族館に行く話を昨日お母さんから聞いたぞと言って私に話す。私もお父さんに水族館たまには三人で行こうよというと

「仕方ないな、ゆりに言われたら行かないわけにはいれないな」

といいながら十時には家を出ようと言って今から三時間後に出発の予定が立った。そのあと私とお母さん、お父さんはご飯を食べ終わると水族館に行く準備などしているとあっという間に出発の時間になり私はウキウキしながらお父さんが運転する車に乗って目的地の水族館に向かった。

 水族館に着くと土曜日でもあるためたくさんの人で賑わっていた。お父さんは入場チケットを買うためにチケット売り場へ行き私とお母さんは入場口前にあるお土産広場でいろんな商品を見ていると、お父さんが走って私たちの所へ来て一緒に入った。

 入場口から中に入るとそこには壁に小さな丸の水槽が埋っていて、そこにはまず小さな魚たちがたくさん泳いでいるのが見えた。一つ一つの水槽が小さいが横にいくつもあり沢山の魚たちが泳いでいる。

奥に行くにつれてどんどんと水槽の大きさも大きくなり管内の中央あたりには壁一面に大きなガラスが貼ってあり、大きな魚から小さな魚まで色々な模様の魚や知っている魚たちが泳いでいた。途中クラゲのコーナーでは水槽の中に赤やオレンジなど光でクラゲたちがイルミネーション化されてとても綺麗だった。でも水族館に来たらやはりイルカショーは外せないと思い三十分ほどあるイルカショーを最後まで見て私たち家族はとても盛り上がった。

 水族館に来てからどれほど時間が過ぎたであろうか、もう気付は二時間ほど水族館にいる。ご飯も食べないでずっと私は水槽の中で泳いでいる魚を長時間見た後に三時あたりになりお昼ご飯を水族館の中にあるお店でご飯を食べて、四時ぐらいにようやく水族館を出た。

 家に着くと私はお父さんとお母さんにありがとうと伝え、まずは自分の部屋に戻るとパソコンを立ち上げて、今日の思い出を手紙に書いた。そして私は最後に今までの思いをすべて手紙に気持ちを込めてキーボードを打ち、それが終わるとUSBメモリーに入れパソコンを初期化し、初期化が終わると電源を切った。

 私はすべてやることを終わらせるとあとはリビングに向かい、リビングでお父さんとお母さんに今日の楽しかったことを話しまたいつか行けるといいなともう私は行けないことがわかっているのに、どうしてもいつものように私は話してしまう。

 それから私はお母さんの手作りの晩御飯を食べてお風呂に入り後は歯を磨いて自分の部屋で時が来るまでひたすらベッドの上で横になった。


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