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ショタっ子現る




 開いたページから放射状に撒かれる光は徐々に消えていき、しばらくすると普通の本へと戻った。


「……何これ。仕込み?」


 茶目っ気のある穂乃花のサプライズかと思い、それなら反応しないほうが正解だと、再び文字を追い始める。

 国立魔法修学院に初等部から通っており、あまり動じない性質も相まって、この程度では驚かない。

 光が収まってから視界の端にちらちらと映りこむものがあるが、気にせず読み続けた。


 数分後。


「無視はひどいんじゃないの? お姉さん」


 先に音を上げたのは、相手のほうだった。


「不法侵入なら、お帰りはあちらですよ」


 あえて丁寧語を使い、ベランダの窓を手で指す。


「不法侵入じゃないし、帰るつもりもないよ」

「ここはあなたの家ではないですよね?」

「うん」

住居者(わたし)の許可なく家に踏みこんだ時点で、不法侵入です」

「うっ……」


 なぜか、今読んでいた本の主人公の弟(6歳児)の姿をした少年がたじろいだ。挿絵が動いてる……と妙なところを感心する詩鶴。


「でっ、でもっ、これがボクの仕事だし!」

「不法侵入がですか?」

「ち、違うよ! ていうか、繰り返すのやめてよ!」


 ……ボクだって、急にだったから、どうしたらいいかわからないんだもん……


 伏し目がちに呟くしゅんとした姿に、詩鶴は小さく息を吐いた。


「……ちょっと待っててくださいね」

「えっ?」

「靴下ですから座れますね。こちらへどうぞ。クッションを置きましたから」


 事務作業のように手と口を動かし、立ち上がってドアへと向かう。

 背後からの「どこへ──」と焦った声を聞き流して部屋から出た。


お読みいただきありがとうございます。

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