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プロローグ

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 いつからだろう。

 いつから、目で追い掛けるようになったんだろう。

 俺は彼女をいつも探している。

 探そうとしている。

 高校に向かう通学路でも、朝のチャイムが鳴る前の時間も、休み時間や昼休みに出歩くこともある廊下であっても、探している。

 友達と話していても、どこからか彼女がやって来ないだろうかと、頭の隅で考えている。

 いつからなのだろうか。

 いつから、俺はこうなってしまったのだろうか。


 いや、でもきっとそれは、分からないままの方が、楽なのだろうと。

 知らないフリをしていた方が、良いのではないか、と。

 だって気付いてしまったら、もうあとには戻れない。引き返せない。

 曖昧なままにしておいた方が、誰も苦しまない。俺ですら苦しまない。

 そう、密やかに、不思議に思っているくらいが丁度良い。


 それを、そうだと感じてしまったら、その日から全てが覆る。


 けれど、一体、いつからだろう。


 彼女の瞳が、俺を捉えるようになったのは。

 彼女の視線が、俺に向けられるようになったのは。


 遠くを見ていた。ここより遥か彼方。どことも知れない世界の端の端。

 そんなところを見ている高嶺の花。お嬢様でもないのに決め込んで、決め付けていた彼女のその眼差しが、俺が自然と向けるようになっていた視線と重なるようになったのは――


 一体、いつからだったのだろうか。

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