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猫を被って、捨てるまで

作者:夢暮 求
 夢を持って高校に進学したわけじゃない。夢を持って、大学受験をしようとしているわけじゃない。
 ただ、周りがそうであることが当たり前みたいな雰囲気を出すから。親がそうしろって言っているように思うから。

 高校三年生。ひたむきに勉強や部活に打ち込むでも無く、人生において最後の一年間を味わうかの如く大切に過ごすわけでもなく、ただなんとなく過ごしていたはずなのに。
 どういうわけか卒業生の残したノートを参考に、演劇部の脚本を書かされている。それもこれも母さんに勝手に部屋を掃除されてポエムノートを発見され、三者面談で声高に「ウチの子には凄い才能があるんですよ」と担任の先生に語ったせいだ。この事実は一部のみが知り、けれど噂という形で流布された。
 なので、「白瀬君は物語を書くのが上手」とか「執筆能力がある」と、意味の分からない持ち上げ方をされて、半ば強引に、押し付けられた。

 別にそれがキッカケになったわけではない。ただ、これのせいで授業が終わればその足で家に帰り、ゲームをしていたはずの俺は放課後まで居残ることが増えた。
 だから、部活動中の彼女と鉢合わせになることさえも、増えてしまった。

 彼女は俺の前ではいつも偽りの表情を作る。傍目から見て可愛らしく、愛らしく見えるように。俺だって友達と話す時は大体、口が悪いから友達未満の前では猫を被るから、彼女も素の表情を見せまいと努めているのだろう。
 ただ、俺は中学の頃から知っている顔を向けて欲しい。一生懸命に打ち込み、努力し、裏も表も無い、普通の表情を……なんて、そんなのはワガママだ。

 考えない方が良い。気付いていないように努力した方が良い。
 そうすれば、世界は一気に覆りはしないのだから。

 想うなんて馬鹿らしい。心を向けてもらいたいなんて願望だ。そして、言葉にしなくとも伝わるだろうと考えている自分自身が気持ち悪い。
 だから、 不思議に思うくらいが丁度良い。秘めているのが、俺にはお似合いなのだ。
プロローグ
2018/07/17 17:26
どうでも良い
2018/07/17 17:31
忘れ物
2018/07/18 18:04
虫騒動
2018/07/22 17:01
文化祭
2018/07/27 21:23
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