アーラット村にて①
はい!やっと場面が移り変わりますよ!!
「おっせーよ」って思うだろ?我も思う。
だって、妄想が爆発してるもん。妄想が過ぎると筆が進み過ぎるんです!
まあ、こんな拙作を面白いと思ってくれる人がいたらいいな。
本編まで3・2・1!!
「は?」
思わず間抜けな声がエルの口から漏れた。何を言っているのだこいつは。自分に理由価値があるだの、取引をしようだの勝手に話を進めて行く。しかもその話についても説明は全くないためエルは話に置いてけぼりだ。
「君の僕と出会った直後の発言を聞くと僕に、または僕に近い人物に強い殺意を抱いているようだね」
「なら君の目的は僕を含めての復讐ということになる」
エルの疑問を無視して持論を並べる彼の発言はエルの目的をほとんど捉えていた。
「否定しないということはそうなんだね。なら僕の目的とも合致すら」
「お前の目的?」
エルの頭の中に疑問がまた一つ増えて行く。疑問だらけになったエルの頭はパンク寸前だった。
「そう。僕の目的。君の目的がもし『魔女への復讐』だとすると僕も復讐を誓った相手がいるんだ」
この発言でエルは確信した。彼は魔女なのだ。先程、彼は『僕を含めての復讐』と発言した。そこから『魔女への復讐』に結論付けるということは彼自身が魔女だと言っているのと同意で、しかも彼がエルを助けた魔術は風魔法の中級魔法、しかしそれでエルだけを狙いから外し、柱を吹き飛ばすというのは精度の問題ではなく魔術の応用にあたる。それを短時間でしかもあんなに正確に行えるのは王都にいる宮殿魔術師か膨大な魔力を誇り、魔術において他の誰も寄せ付けないほどの実力を持つあの忌々しき魔女くらいだろう。それに多忙な宮殿魔術師があんな辺鄙な村に来るはずがない。だからエルは助けられた直後から彼を魔女だと疑っていたのだ。
「お前の相手は誰なんだ?」
エルの口からついて出た言葉にエル自身が唖然とする。別にこの疑問は特別気になっていた訳でなく、頭の隅に置いてあった疑問だったはずだった。
「僕の相手かい?それに僕が答える義務はないはずだが」
それに答える義務はないと彼は主張する。確かにその意見は筋が通っているが、彼に言われるとなかなか癪に障る。こいつは取引を提案している立場でなんて生意気な口を聞くのだろう。
「とにかくだ。俺はお前の取引に応じるつもりはないからな」
魔女に恨みを持っているエルにわざわざ魔女である彼が取引を提案するのだ。幾ら何でも怪しすぎる。
「ほう。君は取引を蹴るのか。まあ、それはそれでいいのだが」
あっさりと受け入れた彼の態度に違和感を覚えながら強制的に取引を終わらせるためにエルはその場から立ち去るために腰を沈めていたベッドから腰を浮かす。その行動に意思を汲み取った少年はまた冷ややかな笑みを浮かべながら案内をする。
「もし館を出るというのなら部屋を出てすぐの階段を降りたら正面に出口がある。そこから真っ直ぐに山を下ると村があるからそこで生計を立てるのも悪くないだろう」
正直認めたくはなかったが、この情報は今エルが最も欲していた情報だった。いきなり正直認めたくはなかったが、この情報は今エルが最も欲していた情報だった。いきなりここがどこかもわからない状況で飛び出したら最悪、死のリスクを伴う。そのために最初に行くべき目標を提示してくれたのが悔しくも有り難かった。
エルは少年に目を合わせず横切り、ドアを開こうとする。
「そうだな。少し君に忠告をしておくことにするよ」
アルはドアノブに手をかけながら彼の声に耳を傾ける。彼の話は悔しいが有益な情報源になる。
「魔女を殺せるのは魔女だけだ」
なるほど俺には魔女を殺せないと言いたいのか。少年の発言に気分を害したエルは今度こそ手をかけたドアノブを捻り、客室を出て行く。部屋を出てすぐの階段を降りると正面に出口が見つかった。どうやら彼の情報は嘘ではないようだ。
館を出てすぐにここが人里離れた場所に存在することが確認できた。周りは生い茂った木々に囲まれ他の民家を確認できなかった。館を出ると管理の行き届いていない草が好き放題に伸びている庭を抜け、門へと手を掛ける。あまり使われていないのだろうその門はすっかり錆びつき、門を開けると甲高い軋んだ音を響かせる。その不協和音に顔を歪めながらエルは門をくぐった。確かにこの館は山の中に存在しているらしい。山の急斜面を慎重に下りながらそのことを改めて確認する。
山を下り、森を真っ直ぐに抜ける。山と森には丁寧にも標識が整備されており、エルが道に迷うということがなかった。どうやらあの冷徹皮肉少年以外にもこの山を通り道に使用している人がいるようだ。しばらくすると森を抜け、小規模な集落を見つける。そこを通り抜けるとやがて「アーラット村へようこそ」と観光地ばりに存在感を放つ門が嫌でも目に入った。少し高ぶった高揚感を抑えつつ、門をくぐる。ここからエルの第二の人生が始まるのだ。
「そう思っていたのに・・・どうしてこうなったかな」
エルはうんざりしながら自分の両手を握る童女を交互に見た。今のエルはまさに両手に華状態だった。
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