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詩集01  作者: 透坂雨音
23/29

23 遥かな時の中で



(思い出せない)


(私はどうしてこんな所にいるのだろう)


 時が止まった世界で生きていく

 永遠と続く同じ時間

 立ち止まったまま どこへも進めない


 振り返って過去は

 真っすぐに見つめた未来は


 そんなに良い物なのだろうか


 遥かな時を生き続ける

 いつしか理由を忘れて

 ただ生きるために生きて

 死なないために生きてきて


 愛おしい物も 大切な物も

 全て忘れてしまった


 記憶欠けていく

 思い零れ落ちていく


(思い出せない)


(私はどうしてこんな所にいるのだろう)


(どうしてこんな所で、膝を抱えて一人で居続けるのだろう)


(もう思い出せない)



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