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種のシステム

一通り片付け終わった後にサチが聞いて来る。


「それで、種のシステムとはなんですか?」


「俺が前の世界で聞きかじった程度の知識だからこっちで通用するかわからないが一応教えておくな」


「はい、お願いします」


椅子だけ残して俺と向かい合うようにサチが座り聞く体勢を取ってきた。興味津々だね。


「人に限らず生き物ってのは外敵生物がいると種を存続させようと増える」


俺にはアリス達みたいにパネルを使って説明できないので身振り手振りで出来るだけわかるように説明する。


「そして安全になって一定数を越えた時、今度は同じ生物で潰し合いが発生する」


「それって・・・」


「あぁ、今の下界がそっくりな状況になっているよな。しかも今回が初ではない」


「どうしてそんなことが?」


少し青ざめた様子でサチが聞いて来る。無理もない、これに気付ける人はそう多くない。


「種の中でも優秀なものを残そうとする種の選別だな。そしてある程度数が減るとそれも落ち着く」


「種の選別ですか」


「うん。基準はまちまち。子孫を残す能力が優れているとか環境変化に耐えられるとかから偶然生き残れたというのまであるな」


「勉強になります」


このことを念頭に下界について考えると、魔族は自然とある程度まで減るだろう。


オアシスの街に落ち延びた元魔族達に対して刺客が送られてこないところを見ると、減るといっても殺し合いで減るとかではなく、大きくなりすぎた勢力が集束してより魔神信仰の密度の濃い魔族になるのではないかと。


そしてオアシスの街も若干心配している。


今はまだ収容限界にはなっていないが、今後も難民が増えればいつか同じように内部崩壊が起こる。


出来ればそれが起こる前にノウハウを学んだ一部住民が別の場所に移って生活するようになってくれると嬉しい。


ま、草原の街やオアシスの街を見ている限りだと上手く動くんじゃないかと思ってる。


魔族の内部崩壊が進んだ時各地で同様な新勢力の出現が起こるだろうからそれに乗じるんじゃないかなと。


「俺はそんな風に考えてる」


「なるほど」


「希望的観測な部分もあるし、変化するにしてもかなりの時間が必要だろうから気は抜かずに取り組まないといけないけどな」


そもそもこれは仮の話だしな。そう思ったようにはいかないだろう。


「そうですね。頑張りましょう」




「しかし栄枯盛衰か。今後何度もこういうのを見る事を考えると若干気が滅入るな」


普段はあまり考えないようにはしているが、ふとした時にこういう後ろ向きな考えが出てしまう。


「神様の仕事の辛いところですね。すみません」


サチが申し訳なさそうに言う。


「いいよ、もう腹くくったし。それ以上に良い思いもさせてもらってるから気にするな」


しょげるサチの頭をポンポンと叩いて安心させる。


「はい、ありがとうございます」


「うん」


ほっとした表情になったのを見て俺も安心する。


「さて、そろそろ帰ろう」


「はい。そういえば何やら荷物が届く連絡が来てました」


「お、なんだろう。楽しみだな」


「そうですね、では帰りましょうか」


すっかりしがみついた状態での転移に慣れたな。


最近じゃこれじゃないと物足りなくなってしまった気もする。

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