お見合状態
職人達が休憩している中、俺はヨルハネキシの経過報告を聞いている。
既に必要な空間は確保されており、状況的にはこれから本格的に風呂を作り始めるというところ。
「広さはこのぐらいで良いですかな?」
「うん、十分。このまま進めてくれ」
「わかりました。伐採した木の使い方はこちらで決めてよいですかな?」
「もちろん。よろしく頼む」
今のところ俺が口を出すようなところは見当たらない。
このまま任せていいような気がする。
「しかしソウ様が見に来られないと思ってましたらあのような差し入れを作っておられたのですな」
池の付近では農園の天使達と造島師の若い衆達が一緒にお茶を楽しんでいる。
「作ったのは彼女達だけどね。俺は教えただけ」
「ほうほう。それならワシも頂いてみますかな」
「あぁ、そうしてくれ」
そういうとヨルハネキシは造島師のところに合流していく。
休憩しているところでは男女が入り混じって談笑しているが、どちらも異性に対しての対応がたどたどしくて見ていて微笑ましい。
レオニーナは花より団子か、一気にアイスを食って悶絶してる。天機人でもなるんだな。
「ソウ、ソウ!」
ぼんやり眺めてたらサチが小走りでこっちに来た。何かテンション高いね。
「どうした?」
「こ、これ!なんですかこれ!」
あぁ、彼女達からミルクアイス貰ったのね。
「凄く美味しいのですが、もっとないのですか!?」
落ち着け、スプーンと空になった器を持ってくるんじゃない。
「今は無いな。後で作ってやるよ」
「本当ですか!約束ですよ!」
いつにも増してテンション高いね。
そういえばプリンの時もこんな感じだったっけ。
「それではソウ様、本日はありがとうございました」
家の前で農園の子達を見送る。
造島師達は作業を再開しており背中の方で作業している音が聞こえてくる。
「あぁ、また何かあったら来てくれ」
「出来れば事前に連絡してください。こちらも居ない場合がありますので」
アイスを食べた時の興奮も落ち着いたようでいつものトーンのサチに戻っている。
「わかりました。それでは失礼します」
そういうと彼女達は羽を出して飛んで行った。
「飛んで帰るんだな」
「あぁ、ルミナテースの方針のせいですね。急いでいない場合は飛んで移動するようにしているようです」
「なんでまた?」
「その方が鍛錬になるからと」
「なるほど」
ルミナらしいといえばらしいな。サチは理解できないといった様子だが。
「さて、後は造島師達の様子を見てるかな」
「そうですね。彼らもソウに見て貰っている方が頑張れると思います」




