ダブルブッキング
今日は来客があるとのことなので仕事が終わったら早々に帰宅した。
帰宅すると家の前に数人の天使がいた。
「こ、こんにちは」
ユキだ。相変わらず目が見えない位置まで前髪が来ている。
「やあ。今日はどうしたんだ?」
「えっと、以前分からないことがあったら聞きに来ていいと仰ってたので、それで」
あぁ、そういえばそんな事言ったね。
「わかった。じゃあ中で聞こう」
「はい、ありがとうございます」
目の表情はわからないが不安な口元が嬉しそうな口元に変わったので喜びを理解する。
「ソウ、待ってください。本日の来客は彼女達ではありませんよ」
「え、そうなの?」
「はい。造島師の方々が来る予定になっています」
「そうか。んー、まだ来てないし彼女達には上がって貰って教えてもいいか?」
「しかし・・・」
相変わらず家に上げるのは渋るね。気持ちは分からなくはないが、ルミナと違ってこの子達は大人しいから問題はないだろうよ。
「あの、ご迷惑しょうから日を改めて来ます、すみません」
俺らのやり取りを見てユキが少ししょんぼりした様子で帰ろうとする。
「いや、待って待って。ちょっと待って。サチ、ちょっと」
慌てて引き止めてサチだけ連れてユキ達から離れる。
「なんですか?」
「いやさ、折角だから彼女達に造島師達に出す何か軽く食べられるものを作ってもらおうって思ってるんだよ」
元々造島師が来た時はお茶菓子でも出そうと思っていたので、折角の機会だしユキたちにその役目をやってもらうことにしよう。
「そうなのですか?彼女達に可能なのですか?」
「出来ると思う。彼女達はルミナのところでも料理の上手い子達だから」
「うーん・・・」
「それにルミナのところは女子ばかりで、逆に造島師のところは男子が多いだろ?これを機に交流が出来ればいいと思わないか?」
「!それは面白そうですね」
お、食いついた。
その場でぱっと思いついた事だったが我ながら悪く無い話だと思う。
「だろ。だから頼む、協力してくれよ」
「わかりました、そこまで考えていたのでしたら反対する理由がありません」
よし、やった。
「サチの了承も取れたから中入っていいよ」
「え、でも・・・」
「ここで貴女達を帰すと後でルミナテースに何を言われるか分かりませんので、ソウの言うとおり入っていいですよ」
一度渋った手前なのかルミナを引き合いに出し、言い訳気味に許可してるサチがちょっとかわいい。
「という感じでやればいいと思う」
「なるほど・・・」
サチは家の前で造島師を待ってくれるらしいので任せて俺達はキッチンに移動してユキたちの質問に答えている。
うーむ、成長が早いな。
近いうちに追い抜かれるんじゃないかな。嬉しいことだ。
一通り質疑応答が終わったところで俺から提案する。
「それで一つお願いがあるんだけどさ」
「なんでしょうか?」
「折角だからここで何かデザートを農園の人数分ぐらい作ってくれないか?」
「え?は、はぁ」
よく理解できてないという返答だが気にせず続ける。
「食材はここにあるのを使って良いから。自信のあるもので頼む」
「わ、分かりました。やってみます」
「うん。出来たら造島師の人達にも食べてもらうからそのつもりで頼んだよ」
「え!?」
ちょっとずるい方法ではあるが受けてもらえたのでこれで任せられるな。
大丈夫、失敗したらしたで俺が何とかするから。しないと思うけどね。
「ソウー、見えましたよー」
「わかったー。それじゃ頼んだよ」
「え?あのちょっと、ソウ様!?」
急なことで明らかに動揺しているのがわかったが、ここは任せて俺は迎えに行く事にした。




