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風呂の依頼をしに

「ソウ、今日は何かありますか?」


仕事終わりにサチが聞いてくる。


んー、今日は頑張ったから家でぼーっとしてようかと思ってたぐらいでいつもの思いつきはない。


「特にないかな」


「では造島師のところに行きたいのですが、同行してもらえますか?」


「いいけど、造島師ってなんだ?」


「浮遊島を整備したり住みやすい環境にしてくれる職人の方々の事です」


植木屋とか庭師みたいなものか。


「それで何しに行くんだ?」


「お風呂というものに本格的に興味が沸きまして。私の浮遊島を整備してくれた造島師に頼んでみようかと」


「おぉ、そういう事なら喜んで付いて行くぞ」


「私ではお風呂というものがまだ良く分かっていないので説明して頂けると助かります」


「了解ー」




「何かすごいとこだな」


転移した先は小さい浮遊島が集まっている浮遊島列島のような場所だった。


「どうやらこの島々が造島師の心を掴んだようですね」


島と島の間には橋が掛けられており、島ごとに風景が変わり進むだけで目が楽しい。


なるほど、こうやって小さい島で色々なサンプルモデルを用意しておけば頼む方も頼みやすくなるんだな。


「・・・あれ?」


ふと歩きながらあることに気付く。


「どうしました?」


「いや、この島って歩くのを前提に作ってあるよね」


「そうですね」


「天使って飛べるよね。わざわざ道を作ってあるのはなんでかなって」


「あぁそういうことですか。天使といえど全員が飛ぶのが得意というわけではないのですよ」


「え、そうなの?」


「飛べない事はありませんが、人によって滞空時間や飛行速度など違いがあります」


得意不得意があるってことか。


「それに歩かないと脚が退化して美しくなくなります」


あー、それはわかる。


筋力の無い脚は綺麗じゃない。脚に限らないな、それなりに筋力がある方が美しく見えると俺は思っている。


サチの足もちょっと筋力不足気味だが綺麗な脚してる。


ルミナの脚はむちむちしてたな。どっちかというと俺はむっちりしてる方が好きなのでサチにはもう少し筋力つけてもらいたい。


「ちょっと、ソウ。私の脚に何か用ですか?」


しまった、サチの脚を凝視してた。見上げて顔見たら物凄く不機嫌な顔してる。


「あ、いや、その通りだなって思ってつい」


「他に言う事は?」


「サチの脚は綺麗です。見とれてました」


「・・・よ、よろしい」


照れるならわざわざ聞かなくていいんじゃないか?


「話を戻しますと、天使は羽が生えていますが基本は地面で生活するので、人と同じように歩きやすい道が必要なのです」


「なるほど」


そうなるとますます俺が飛ぶ必要が無くなるな。


最初こっちに来た時は天使の生活に合わせて飛ぶ必要性を強く感じてたが、今はそれほど感じなくなった。


どっちにしろ神力を使うから飛べないんだけどね。




「この島が造島師のいる島になります」


他の小島と比べると少し大きく、島自体も手が込んだつくりをしているのがわかる。


「なんだあれ」


それより中央辺りに塔らしきものが見える。


塔らしきというのはそれがあまりにスカスカで、普通の塔の八割ぐらいを無作為に削り取った残りのようなつくりをしていたからだ。


「あれが飛べる事を前提にしたつくりをしたものですね」


遠くから見ると塔の形状をしているのがぼんやりわかるが、近くで見たら不規則に建材が浮いているようにしか見えない。


塔の麓まで近付いていくと一応普通の建物も建っている。


一応じゃないな、塔の規模が大きすぎて感覚が鈍ってしまってるが、うちの家より数倍大きい。


情報館に入るような手続きをして俺とサチは中に入る。


中は外とは違い無駄な装飾のない天井の無い空間。


元の世界で言えば会社のフロントやデパートの入り口のような広くて無駄が無く、高級感を感じる空間だ。


中央にはそれこそ会社の受付らしき場所とそこに座っている一人の女性。


「いらっしゃいませ、サチナリア様」


「こんにちはレオニーナ。ヨルハネキシさんはいますか?」


「少々お待ちを。・・・チッ」


え?今この人舌打ちしたよ?


「失礼。ヨルハネキシは居ますがこちらからの連絡を気付いてないのか無視してるのか応答がありません」


「またですか」


サチもやれやれと言った感じだ。


ふむ、常習的にこういう現象になるのか。


「すみません、少々お時間を頂けますか。とっつかまえてきます」


なんだろう、さっきからこのレオニーナって人の言動が粗い。


「お願いします」


「では」


一例するとレオニーナが翼を出して凄い速さで上に飛んで行った。


羽じゃなくて翼だった。彼女は天機人か。


上を見上げると塔の破片である岩をすり抜けて上に飛んでいっているが見える。


そういえばここ天井吹き抜けだけど雨降ったら大丈夫なんかな。


「しばらく時間が掛かると思うのでここの説明をしておきます」


「ん?あぁ、よろしく」

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