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新年

今日もまったり下界観察、と思っていたんだが。


「何か今日は妙に願いが一杯来てないか?」


普段と比べて尋常じゃない量の願い事が届いている。


しかも比較的純粋な願いが多いので、叶えるために下界の時間を停止して対応にあたっている。


「下界は新年を迎えたようですね」


「新年?」


「えぇ、大体決まった時期に年の区切りを設けているようです」


なるほど、だからこんな一杯来てるのか。


下界は大きな季節変化はないが、多少は気候変化あるからそれで判断しているのだろう。


そしてそういう節目になると人は神を思い出すからな。


よし、そういう事なら頑張るしかないな。


「神力は足りそうなのか?」


「余裕ですね。それどころかソウが神の仕事をするようになって以来最も潤沢になっています」


そうなのか。


それもそうか、これだけ人々が神を認知してくれているもんな。


確かに神の身からすれば今みたいな状態は心地がいい。


あの爺さんも気を良くして信者のためにあれやこれやとしたくなる気持ちもわかる。


だがその結果が今の状況だ。


信者には申し訳なく思うが、これも下界のためだから甘い顔はしてやれない。


してやれないんだ、やれない、やれないんだよ、うーん、でもなぁ。


「ぬぅん!」


「ど、どうしました?急に自分の顔を叩いたりして」


「驚かしてすまん。ちょっと自分を律するためにな」


「あぁなるほど。綺麗に赤い痕がついてますよ」


ぬ、ちょっと強くやりすぎたか。


面白い顔になってる?ふん、なんとでもいえ。


とにかくここはぐっと堪えていつもの基準通りに叶えていこう。


ほら、サチも笑ってないで手伝ってくれ。




「あー・・・」


仕事終わって放心状態。


ちょっと頑張りすぎた。


「何も一日で終わらせなくても」


「いやーなんか頑張っちゃうんだよねぇ」


サチが俺の後ろにまわってさっき叩いた顔をさすってくれてる。


なんだろう、性分なのか頼られてしまうとつい頑張ってしまうんだよなぁ。


うーん、サチに心配させない程度にしないと。


でもこれはこれでいいんだよな、なんとも悩ましい問題だ。


「そういうところがソウのいいところだと思いますが、無理は禁物ですよ」


「うん。サチがいるから大丈夫だ」


「なっ、しょ、しょうがない人ですね」


照れながらまんざらでもない顔してるな。かわいい。


「そういえばこっちは新年とかあるの?」


「ありませんね」


「そうなのか」


「はい。天界に記念日という概念がありませんから」


「ふーむ、そういうものか」


「はい。作り始めると全ての日が何らかの記念日になるでしょうし」


あー、前の世界はそんな感じになってたな。


その記念日に乗じてあれやこれやと盛り上がって経済まわしてたな。


天界には通貨もないしそういう意味でも記念日の必要性が薄いのかもしれない。


「そうですね、しいてそれらしいものといえば会合ぐらいでしょうか」


「会合って神が集まるアレ?」


「そうです。定期的に催されるものなので」


「この前やったばかりじゃ」


「先日はソウの顔見せの臨時会合だったので、近々またあると思います」


「うへぇー・・・」


嫌って程でもないんだが、あの変わり者達のまた顔合わせることを考えると気が滅入る。


少なくとも今日みたいな時には絶対会いたくない。


「とりあえずある時は事前に教えてくれ、身構えておくから」


「はい、そうします」


さて、仕事の疲れも抜けてきたし今日はどうしようかな。

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