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孝行の日

「今日の予定はサチに任せようかな」


「私が決めていいのですか?」


「うん、たまにはそういうのもいいかなと」


さっき心配させてしまったお詫びもあるが、その時感じたのがありがたさだ。


いつも傍にいてくれるし、何気なく補助してくれるし、さっきみたいに心配もしてくれる。


そんなことで今日はサチ孝行しようと思ってる。


「うーん、そうですね・・・」


「今後もこういう日が出来ると思うから、余り考えなくていいぞ」


「そうなのですか?」


顔を上げてぱっと表情が明るくなる。嬉しそうだ。


「うん。俺の気持ちが変わらないうちにぱぱっと決めな」


「わかりました。では今日は直帰でお願いします」


「あいよ」


またデザート作りでも頼まれるかな?




「んー!」


サチがスプーンを咥えたまま頬に手を当てて満面の笑みを浮かべている。


案の定デザートを所望された。


今回作ったのはプリン。


砂糖が手に入ったので試作がてら作ってみたらこの反応である。


以前から牛乳と卵に代わるものはあったのだが、砂糖のようなストレートな甘さの作物が無かったので試作段階止まりだった。


塩も若干手間ではあるが作り方は確立できたし、少しずつだが充実してきている気がする。


「ソウ、もう一個食べてもいいですか?」


「あぁ、いいぞ」


既に自分の前に持ってきてから許可を求める辺り無意味な質問な気もするが。


ま、ここまで喜んでもらえるなら作り甲斐があるというもんだな。


今度レパートリーを増やすべく、前に貰ってきた異世界の情報でも見せてもらおうかなぁ。




腹がこなれたところで布団に移動してサチの衣服コレクションを見せてもらっている。


見るといってもパネルに表示された映像で、サチを前に座らせて後ろから密着状態で覗き込んでいる。


「オアシスの街で一気に増えてほくほくです」


今日のサチはプリンを食べて満足したのか、好きにしていい日だからなのか終始ご機嫌だ。


「結構あるな。いつから集めだしたんだ?」


「比較的最近ですよ。ソウから許可を頂いたので視野範囲内の服装は大体網羅してます」


「おぉ・・・」


地区別、常用率順に並んでて非常に見易い。


「これ、この前着ましたね」


「うん」


サチがセーラー服を選ぶと一覧から拡大されて表示される。


何が凄いってこの一覧は全て着用可能と言うところだ。


簡単に言えばカタログを見てコレがいいと思って念じると実際着られるという便利具合。


「今日はどれを着ましょうか」


最近数日に一回ぐらいの頻度でサチはコレクションから適当に選んで着ている。


この前は草原の街の町娘が着るような服装だったな。


今日はオアシスの街から選びたいようで他の街の一覧を見る気配がない。


別にいいんだけどさ、オアシスの街の服装はどうにも刺激が強くて我慢が出来なくなって困る。


「じゃあこれで」


え、ちょ、えぇ、いや、着たのを見てみたいけど、マズいよそれは。


止めるまもなく立ち上がってサチはあっという間に着替える。


「ちょっときついですね」


そりゃそうだろ、そんなショートスカートのピンクのナース服とか。本職用じゃないもん。


「どうです?似合ってますか?」


「あ、うん、似合ってる似合ってる」


似合ってはいる。でもヒーラーっぽいかどうかと言えばそうは思わない。


なんでだろうね、下界とか見てると割と露出の多い人とか見かけるけど、この服のように体の線がしっかり見える服の方がいやらしく見える。


後色だな、色がいかんな。


「サチ、ちょっと戻って戻って」


「あ、はい」


さっきと同じように座る。


触ってみるといい生地だ。


撫でて感触を楽しみながら前の世界でのこの服を着る職業を教えてあげる。


「へー。補佐する職業ですか。私みたいですね」


広義的に捉えるとそうともいえるかな。


でもこれ自体は大幅なアレンジを加えられて、用途が変わっていることも説明する。


「前から思っていましたがソウが居た世界はなんというかこだわりの塊みたいな世界ですね」


「あー、確かにそうかもしれない」


こだわりか。


良く言えばそうかもしれないが、悪く言えば変態的といえると思う。


「それで、これはそのごっこ遊び向けの服装なのですね?」


「うん。もう少しまともな白のとかあっただろうに、どうしてこれ選んじゃったかな」


「それはソウが好きそうだからです」


ぐっ・・・、ここ最近サチは俺の好みも把握出来るようになってきてるんだよな。


「折角なのでそれっぽいことしましょう。設定は任せます」


どうもこの前セーラー服で学生っぽい事してからこういう事に乗り気なんだよな。


「任せますって、この服だとただのごっこ遊びじゃ済まされないぞ?」


「全くもって問題ありません」


あ、いつものだ。


さては最初からそのつもりだったな?


いいだろう、そういう事なら遠慮はしない。


「じゃあ俺は先生でサチは研修生ね。俺の事は先生と呼ぶように」


「わかりました先生、よろしくお願いします」


「うむ。では研修を始めるぞ」


ま、なんだかんだで俺も楽しいんだけどね。


聴診器とかの小道具が無いのは残念だな。触診でいいか。


しっかしこんなところ他の人には絶対見せられないし知られたくないな。

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