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「うんめええええぇぇぇぇ!!」


案の定声の衝撃波が走った。


俺もサチも耳を塞いで耐えたが、塞いだ上からでもうるさかった。


ちなみにミリクリエは全く気にせず二切目を食べてた。さすが奥さんだな。


「あんだごれ!どんでもなぐうめぇぞ!」


「いやーびっくりしたね、止まらなくなっちゃうよ」


サチ、お前は後でな。食べたそうに見るんじゃありません。


あっという間に皿は空になり、夫婦揃って口と手がビシャビシャになってる。


うーん、楊枝や串も作ってもらう必要があるなこれは。


「いやー馳走になっだ。おっと、話の途中だったな」


「ははは、喜んで貰えたようでなによりだよ」


「それで、あそこの酒を入れる容器だったか」


「うん。すぐ揮発するのは知っている。凍らせても防げそうだが試してないし、怒られそうだからな」


「そうだな、警備隊が目を光らせてやがる」


「そこで密閉容器だ。こんな感じに瓶を用意して、栓をする」


事前にサチが察知して手書きパネルを出してくれる。ホント気が利いて助かる。


「瓶は分かるが、ただ栓をするだけじゃ抜けてくだろ」


「そうだな。なので栓を工夫する。樹脂とかの柔らかい素材で栓を作るんだ」


前の世界で言うところのゴムパッキンを図に描いて細かく説明する。


「ほほう!これは面白い!少し試行錯誤に時間を要するかもしれないが、やらせてくれ」


「あぁ、頼む。他にも作って欲しいものがコレだけあるんだが」


先ほど書いた一覧を見ながら一つ一つ説明していく。


「ふんふん。面白いがこれだけの量を作るとなると結構時間かかるぞ」


「だろうな。いいよ、急いでないから」


「そこでこっちから提案だ。俺の知り合いの職人衆にも声をかけて分担させたい」


「いいのか?」


「おう、どうせあいつら暇してるだろうからな!」


「じゃあ是非とも頼む」


「任せてくれ!」


ふう、これで当面の道具不足は解消できるかな。


いや、天界は細かい作業向けの道具が極端に少ないから、また不足を感じることがあるだろうな。


その都度メモして徐々に増やしていこう。


「そうだ。今後も付き合いありそうだから神様じゃなくてソウと呼んでくれないか?」


「いいげんど呼び捨でば失礼になるが。ソウ様にざぜでぐれ」


「そっか、じゃあそれで頼む。二人の事も愛称で呼びたいんだが何かある?」


「アストで呼んでぐれ。ごいづばクリエでよが」


ミリクリエもそれでいいらしく頷いてる。


「アストとクリエね。わかった、二人とも改めてよろしくな」


「ごぢらごぞ!」




「まだ来でなー!」


アストのでかい声に見送られながら家を後にする。


「そういえばなんでミリクリエはクリエだったんだろ?」


ふとさっきのやり取りで気になった事を口にする。


「あぁ、若い頃ミリクリエさんはミリィって呼ばれてたそうですよ」


「へー。というか何で知ってるんだ?」


「先ほどソウが長々と説明している間に教えていただきました」


そんな長く話してたっけ。


話してたかも。


アストが真面目に聞いてくれるから話に勢いが付いてしまってたかもしれない。


その間にサチはクリエと談笑してたわけか。


「そうか。仲良さそうでいいな」


「はい、良くしていただいています。ちなみにミリクリエさんはアストレウスさんの事をあっちゃんって呼んでいたそうですよ」


「あっちゃん!?」


ミリィ、あっちゃんと呼び合うあの二人か。


うん、ダメだ、想像しちゃいけない。し、失礼だからな、うん。


「えぇもう私も最初に聞いたときは笑うのを我慢するので精一杯でした」


思い出したのか小刻みに震えて笑っているのが抱えられた腕から伝わってくる。


ダメだ、釣られて俺も口が笑ってしまう。


「そういうわけで若かりし頃の呼び方を思い出すので関連の無い呼び方を指定したのだと思います」


「なるほど、この事は黙っておいた方がいいな」


「そう思います」


依頼を請けてもらえなくなったら困るしな。

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