寝る前の日課
「はい、いいですよ」
サチの声に目を開く。
うん、全身すっきり。
こっちに来てから寝る前に必ずサチに綺麗にしてもらっている。
綺麗にと言っても拭いてもらうとかそういった次元ではなく、念じると現れる光の輪が立っている体を上から下に往復するだけで綺麗にしてくれる。
体の表面は勿論のこと、内臓の不純物や老廃物まで除去してくれる。
非常に便利である。
「なあ、サチ。俺もそういう魔法みたいな能力使えないのか?」
興味本位で使ってみたいというのもあるが、事あるごとにサチに頼るのも悪いなと思ってる。
「使えますよ」
マジか!
「ですが、今は使わない方がいいと思います」
「ん?なんで?」
「神様の場合、神力と言って我々の使う力の源が違います」
「ほう」
「私達は体内エネルギーやマナを使って力を使いますが、神様は信仰力を使います」
信仰力、下界の人達の信じる力か。
つまり俺がむやみに使うと下界の人達のために使う力が減ってしまう、もしくは有事の際に使える力の蓄えが減る。
「それは困る」
「はい。ですので生活面においては私が何とかします」
「でもそれだと四六時中一緒に居ないといけなくないか?大丈夫か?」
「大丈夫ですよ?ソウと一緒にいると色々と新しい刺激があって楽しいですし」
「そ、そうか」
一人になりたいときとかあるんじゃないかと思ったがサチはそうではないらしい。
俺は俺でサチの事を邪魔と思ったことは無い。
彼女はいい距離感を保ってくれている。
仕事の時、二人の時、多数の人達と居る時、それぞれでちゃんと立ち位置を弁えている。
「じゃあ今後ともよろしく頼む」
「はい。遠慮せずに頼ってください」
遠慮せずにと来たか。
そうか、じゃあ今日も夜のお誘いしますかね。




