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農園訪問

一度家に戻って調理道具をサチに預かってもらい、農園へ向かう。


「気が進みません」


「まあまあ、そう言わずに」


農園を進みながらサチを嗜める。


確かにルミナのあの距離感は驚くが、悪い奴ではないのは確かだ。


あの過剰なスキンシップさえなければいいんだが。


「今日はお迎えないのな」


「はい。事前に来ないように通知しておきました。来たら帰ると」


「あんまりじゃね?」


「このぐらいでいいのです。引き摺られるのは遠慮したいので」


あー確かにな。


「そういうわけなので、ゆっくり焦らしてあげましょう」


そう言って楽しそうに腕を組んでくる。


通知は建前でただこうやって歩きたかっただけな気もする。


農地に生えてる作物を空いている方の手で指しながら教えてるサチをみてるとそんな気がするな。




「いらっしゃいませ、ソウ様」


以前来た建物の前にはルミナと天使達が並んで待っていた。


結構待たせてしまったんじゃないか?


「そして・・・」


あー何か嫌な予感する。


「サチナリアちゃーーーん!」


やっぱり来た。


サチも察知していたようで迎撃の体勢を取る。


凄い速さで距離を詰めてくるがサチは横に避ける。


え?通り抜けたルミナの姿がぼやけて消えた。


「ふふふ、つかまーえた」


振り向くとサチがルミナにがっちりホールドされていた。


「は、離してください。残像とか本気を出しすぎです」


あれ残像だったのか。


前に走ってきた時の速さ、俺達二人を引っ張る力の強さ、そして今回の残像。


凄くないか?ルミナの身体能力って。


「くっ、離れないっ」


もがくサチを全く気にせず頬ずりしてる。


「待たされた分しっかり払ってもらいますからねー」


うん、待たせて悪い気はしなくなった。


自業自得だサチ。


しばらく天使達と二人のやり取りを生暖かい目で見守ることにした。




「あー酷い目に遭いました」


数分後に解放されたサチは肩で息をしながら身なりを整えている。


「満足です」


ルミナは心なしかツヤツヤしてんな。


「まったく、ヴァルキリー警備隊隊長が本気を出すとか何を考えているのですか」


「あんなの本気のうちに入らないわよー」


文句を言うサチに対してのほほんと答えるルミナ。


そんな事より気になることがある。


「ヴァルキリー警備隊?」


「天界にはそういう組織があるのです。治安維持のために結成された自警団のようなものです」


「ルミナがその隊長?」


「元、ですよ、ソウ様。今はただの農園のお姉さんです」


ふふんと胸を反らしてポーズを取る。


ルミナ的には今の方が誇りある感じなのか。


「隊長にまで登り詰める実力があったのに何を考えているのか私にはさっぱり理解できません」


「あら、だって毎日毎日トレーニングするより農業やった方がいいじゃない」


なるほど、ルミナの身体能力の高さの秘密はそういうことか。


ただ、これについてはどちらかの肩を持つことはしない。どっちの言い分もわかるからな。


「まあいいです。おかげでソウの役に立てるのですから良かったのでしょうね」


「サチナリアちゃん・・・」


サチは認めるときは認めるんだよな。美徳だと思う。


ルミナもサチのそういうところが気に入ってるんだろう、きっと。


「さて、今日は約束通り料理教えに来たぞ」


「本当ですか!」


移動から俺の手を掴んで持ち上げるまでの動作が凄まじく早い。


「あ、ああ、調理道具が手に入ったんでな。ただ俺の分しかないから今日は見て食べてもらう感じで」


「はい!楽しみです!」


ルミナの後ろでサチがやれやれと溜息をついていた。

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