調理道具の性能確認
調理器具をキッチンに並べて確認しながら調理開始。
とりあえず試しに使う食材は四角い玉ねぎ。
まな板の上に置いて包丁を入れてみる。
「お、おぉ・・・」
前の世界でもここまでスパッと切れるのを触ったことは無いぐらい良く切れる。
まな板も傷が付かないし、何より玉ねぎを切っても目にしみないのはいい刃物の証。
同じように鶏の腿肉の実、白いパプリカなどを千切りにする。
硬いものも切れるか試すために台形のかぼちゃを切ってみる。
こっちのかぼちゃは台形で安定してていいな。
うん、あっさり両断。
いかんな、切るのが楽しくなってしまう。
よし、コンロをつけてみよう。
「これゆっくり動かせばいいの?」
「はい、そのほうがいいみたいです」
一度最大にして下げていくタイプもあるが、これはゆっくり上げていけばいいタイプのようだ。
火力調節の棒を進めていくと精霊石が赤く輝き始め、一定の位置で火が点いた。
そのまま試しにずらしていくと結構な火力が出るようだ。
ある程度の火力に戻してフライパンを置く。
既に中には先ほど千切りしたものを投入済み。
本当は温まってから入れたほうがいいのだが、今回はフライパンの性能実験のため最初から入れてある。
程なくすると中の素材から焼ける音がしてくる。
菜箸でつつくと素材が結構張り付いてる。
あー油入れてないからな。焦げそうだ。
しょうがないので油の代わりに絞っておいた調味料の実の汁を入れて焦げ防止。
そのまま水気が飛ぶまで炒めて完成。
後は鍋か。
かぼちゃと水、そして絞った調味料の実と果物を細かく刻んで入れて蓋をして様子見。
うん、どれも問題なさそうだな。
ん?千切り炒めの量が減ってる。
横を見るとサチがもぐもぐしてる。
「なにしてるのかな?」
「ろくみれす」
毒見ならそんな口一杯に頬張ったりしないだろうが。
テーブルの上には野菜と肉の千切り炒めとかぼちゃの甘辛煮。
それに前から作ってた肉のペーストクリーム乗せ。
ま、こんなもんかな。
サチが目をきらきらさせて早く食べたそうにしてる。
お前さっきつまみ食いしてただろうに。
「では頂だこうか」
「いただきます」
俺が食事の際にやってる作法をサチも一緒にやってくれる。
そもそも神がこの作法やるのはどうなんだろうと思ったこともあったが、習慣みたいなものだし気にしない事にした。
箸で煮物をつまんで食べる。
うん、うーん・・・こんなもんかなぁ。
砂糖や醤油に相当するものが無かったから代用して作ったからしょうがないかな。
千切り炒めも食べてみる。
うん、こっちはなかなか。
米やパンが欲しくなるなと思ってたらサチがじっとこっちを見てる。
「どうした?」
「いえ、調理中も思っていましたが、それを器用に使っているので」
「箸のこと?」
「はい」
サチは自分で用意した二股のフォークで食べている。
「使ってみる?何組か作ってもらったからあるぞ」
「やってみます」
箸を用意して持ち方を教えてあげる。
煮物を摘んでは落としを繰り返してる。
何か見ているこっちまでへんな力が入ってしまう。
お、いけそうだ。おー、食えた。
「むつかひいれす」
「最初のうちはな。直ぐに慣れるよ」
「がんばりまふ」
その後、飯が冷めるまでサチの箸訓練は続いた。頑張るなぁ。




