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今日の仕事も終わってこの後どうするかなと考えてたらパネルを見ていたサチが慌て始めた。


「ソウ、大変です」


「どうした?」


「今来た情報によると本日生活空間で雨が降るそうです」


「え?うん、そうなんだ?」


雨ぐらい別になんてことないだろう。


「急いで帰りましょう」


サチが腕を掴んでくる。


「え?ちょ」


「転移!」


最近問答無用で転移するようになってないか?


そもそもここにいれば雨に遭わないと思うんだが。


焦っててそこまで考えがまわらなかったんかな。




生活空間に戻ったら珍しく空がどんよりとしている。


うん、降りそうな雲だね。


ぼんやり外で空を眺めてたらサチに引っ張られて家に入れられた。


「どうしたんよ、雨ぐらいでそんな慌てて」


「ソウは雨が怖くないのですか?」


凄く驚かれた。


聞けば天使にとって雨は脅威らしい。


「羽が濡れて飛べなくなり、音で念の精度は落ち、服も張り付いて気持ち悪いですし」


今の空と同じぐらいどんよりした顔してるな。


「でも雨は必要だろ?」


「えぇ、わかっています。わかっていますがどうしても・・・」


そういうものか。


俺は結構雨好きなんだけどな。


「あぁ、でもルミナテースは雨の中畑の中に飛び出して舞い踊っていると言っていました」


あいつ何やってんだ。


「狂気の沙汰です」


酷い言われようだ。


農家からすれば恵みの雨だから気持ちはわからなくもないが、見たら俺も引くかもしれない。


ルミナの物好き具合は置いておくとして、天使の中でもサチは特に雨が苦手のように感じる。


話を聞いてると外では雨が降り始め、あっという間に辺りがザーという音に包まれる。


「うー・・・」


サチが俺の服の袖を掴んで俯いてる。


この怖がり具合は昔何かあったのかな。


こういう仕草は愛らしいっちゃ愛らしいんだが、本人は辛いからな。


「よいせっと」


「あっちょっと?」


サチを抱き上げてベッドに連れて行き、掛け布団を頭ごと掛けてやる。


「少しはそれで音が聞こえなくなるだろ。止むまで居るから」


「うん、ありがとうございます・・・」


先日とは逆の構図で俺が枕になることになった。


今後も雨の日はこういう風になりそうだな。


何か暇つぶしを考えておく必要がありそうだ。


うん、サチ、足を抱え込むのはいいが、暇だからって毛を引っ張るのやめようか。地味に痛いから。




「んー!」


翌朝、俺は外で晴れ上がった空に向かって伸びをする。


結局雨は夜通し降り、止んだのは明け方だった。


その間サチはずっと俺にしがみ付いたままで、寝てる間もくっついてたせいか体が凝り固まってしまった。


今はそれをほぐしている最中。


神の身となったとはいえ、やはり人らしいところは残っている。


健康のために何か運動とかした方がいいのだろうか。


運動か。そういえば夜のアレも運動のうちに入るのだろうか。


あの爺さんはずっと仕事場の空間に居たらしいから健康とか考える必要ないのかな。


今のところ体に不調は感じないし、大丈夫としよう。


「お待たせしました」


家から朝食の片付けを終えたサチが出てくる。


うん、顔色も良くなった。


「では行きましょう」


「ん」


さて、今日も一日頑張りますかね。

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