色々知りたい
「なあサチ」
せっせと片付けをしているサチの背中に聞く。
「なんですか?」
振り向かずにそのまま作業を続行しながら聞き返してくるのが対等な感じで逆にいい。
「こっちの事とかもっと知りたいんだが」
常々思ってはいたがここと前居た世界では違うものが多すぎる。
衣食住をはじめ、思考、常識、文化等々驚くことばかりだ。
のらりくらりと生きていける人なら気にせずともやっていけるかもしれないが、俺には無理だ。
だから色々知りたい。
「ソウは真面目ですねぇ」
片付けを終わったサチがくるっと振り向きながら言う。
金色の長い髪と真っ白な羽がふわりとなびいて美しい。
「そうかな」
「そう思います」
「そうなのか。変かな」
「変という程ではありませんが少し変わった方と思われるかもしれませんね」
「サチはどう思う?」
「私ですか?そうですね、真面目な方は好感持てます」
「そ、そうか」
真正面から言われると何か照れるな。
「では今日はソウの勉強会にしましょうか」
少し思案したサチが提案してくる。
「そうしてくれると助かる。ここでやるのか?」
「いえ、良い場所があります。そちらに移動しましょう」
そういうと俺の腕を抱えてくる。
別に手握るだけでいいはずなんだが、どうもこのやり方で転移する事が多い。
ま、嬉しいからいいけど。
「着きました」
転移した先は森の中だった。
今までの開けた草原や農地とは違って空より木々が視界を埋める空間。
着いた場所からは一本の石畳の道が伸びている。
石畳のも草や苔が生えていて味わいがある。
「こちらです」
サチに促されるまま石畳を進む。
「いいな、ここ」
「そうですか?」
「うん、風情がある」
「フゼイ?・・・すみません、よくわからないです」
あーそうか、こういう趣向も持ち合わせてないのか。
「風情ってのは・・・説明が難しいな。そうだな、自然とか見て何かここいいなって思う心かな」
「随分と漠然としていますね」
「漠然としたものだからな実際。自然の楽しみ方の一つだと思ってくれ」
「釈然としません」
理解できなくてもやもやしてそうだな。
「うーん、わからなくても問題は無いぞ?効率とはかけ離れた考え方だし」
「そうなのですか」
そんな眉間にしわ寄せてまで考えることでもないと思うんだが。
「やっぱりわかりたいです」
何かの考えに行き着いたのか言葉に力を感じる。
「どうしてまた」
「理由は簡単です。私がわからないのにソウが一人で楽しそうにしているのは腹が立ちます」
「えぇー・・・」
つい声が出てしまった。
「ずるいです。ですから私にも教えてください」
出た、上目遣い。ずるいのはどっちだよ。
「わかったよ、俺の感性でいいなら教えるが、理解できるかはわからないぞ」
「それでもいいです。ソウがこっちの事を知りたいように私もソウの感性というのを知りたいです」
どきっとするような事を言ってくれる。
そういう意味じゃないんだろうけど、いい感じに殺し文句だよなコレ。
「わかった、じゃあお互い教え合う感じでな」
「はい、よろしくお願いします」
あーもー、その笑顔も反則だわー。




