天使のお料理会
調理場に移動したが前の世界と比べるとやっぱり殺風景。
サチの家のキッチンと比べると皿や器などは置いてあるが、調理器具が見当たらない。
あの空間収納で各自持っているのだろうけど、先ほどの試食ではナイフで切るところしか見なかった。
「こっちの器具の使い方を見たいから先に何か作ってくれないか?」
「え?あ、はい、わかりました」
ルミナテースにそういうと一瞬意外そうな顔をしたが、直ぐに自分の空間収納からナイフを出して作物を刻み始めた。
うん、刻んだね。その後は?え?それを皿に盛るの?
「できました」
出来ましたって切っただけなんだが。
「ソウ、早く召し上がってください」
サチが急かすので口に運ぶがさっき試食で食べた時と同じ味しかしない。
「うん、美味しいが、まさか料理って切るだけなのか?」
「そうですが何かおかしいですか?」
ルミナテースが不安そうな顔でこっちを見てくる。
「あ、いや、うん、美味しい美味しい」
「そうですか!よかったです!」
慌てて次を口にに運ぶと周りの天使達も嬉しそうに手を合わせて喜んでる。
「サチ、ちょっと確認したいことがある」
小声でサチを呼ぶ。
「まさか彼女達の料理というのは」
「そうです」
「やはりそうか」
「言いたい事はわかりますが今言うとショックを与えかねないので、ひとまず切るだけの調理で何とかしてください」
そういうとナイフを貸してくれた。
さすがサポート上手というべきか、サチのこういう察しの良い所は美点だと思う。
ひとまず俺は適当な相性の良さそうな果物系の作物を二種類手に取りスライス。
それを二つ一組に合わせて皿に盛ってルミナテースの前に出す。
「ほい、できたぞ」
「ソウ様、これは?」
「俺の料理かな。こんな感じに一緒に食ってみてくれ」
赤と黄色の果肉を同時に食べてみせる。
「はい、それでは・・・っ!?」
俺と同じように口に含んだルミナテースの目が見開かれる。
「美味しい!」
その後は大混乱だった。
ルミナテースは他の天使達に皿を勧めると瞬く間に皿の上が綺麗になり、同時に黄色い歓声が上がった。
そして俺はおかわりを求められ同じものを数皿、更に別の組み合わせも作る事になった。
美味しいって喜んでくれるのは嬉しいが、今後俺の理想の生活の事を考えると素直に喜べなくて苦笑いしか出来なかった。




