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竜の島

月光族の街の観察をしている間に和人族の城下町の方で変化があった。


信者の二人がめでたく夫婦になるようで、神社で厳かに式を挙げている。


そして親族や友人達と祝宴。


うんうん、みんな嬉しそうでなによりだ。


そう思って眺めていたら翌日に港に武具を持った新郎新婦、式参加者、更に有志の街の戦士や世話人達の姿。


まるでこれから戦に行くような状況だ。


そして船に乗って航海に出た。


「サチ、この先に何があるかわかるか?」


「過去の情報ですとドラゴンが生息する島があるはずです」


「ドラゴン?・・・ドラゴン!?」


ドラゴンと言えば生物の中ではトップに君臨する事でおなじみのあのドラゴンか?


まて、落ち着け、まずはドラゴンの位置付けを確認したほうがいい。


「サチ、下界でのドラゴンってどんなのだ?」


「どんなのと言われましても、大きいトカゲでブレスを吐いたり空を飛んだりしますね。和人の人達は竜と呼んでいるらしいです」


「強さは?」


「まちまちですね。過去の情報ですが一覧を出します」


「頼む」


サチが竜種の一覧をこっちにくれる。


色々いるな。大きく分けて陸竜種と飛竜種の二つ。基準は飛べるか飛べないかだけのようだ。


結構種類がいると言う事は大きい島なのかな。


・・・ん?文字色が灰色から白にポツポツと変わってきた。


視線を画面に戻すと竜のいる島が見えてきたので、こっちもそれに応じて生存が確認された表示に変わってきたのか。


「・・・ん?んん!?」


その見えてきた島が妙だ。


妙。いや、変というべきか。とにかくおかしい。


「・・・なんですか?これ・・・」


「いや、俺に言われても。ここドラゴンの島だよな。なんで外周が柵で囲まれてるんだ?意味ないだろうこんなの」


「過去にはこんなものは無かったはずですが。情報収集急ぎます」


「よろしく」


島に到着した和人族御一行は柵が途切れてる入り口の方に向かっていく。


「・・・」


そしてその入り口の門があり、そこに書かれてたことに俺は絶句するしかなかった。


ようこそ、ドラゴンランド。竜園地へ!!


入り口の門にはデカデカとこんな歓迎挨拶が書いてあった。




「なんだよ竜園地って!」


冷静を取り戻して、はないな。頭の思考が動き始めた俺は叫ぶしかなかった。


和人達は切符を買って入場口にいる小型の陸竜に渡してる。


あぁ、そういうこと。


ここは竜が運営している遊園地なんだね。


竜と遊園地で竜園地か。誰だよこんな名前付けた奴。


どうせ勇者だろ、わかってるよ。こんな発想する奴異世界人しかいないよ。まったく。


「また勇者関連だろ、ここ」


「正解です。情報が集まってきましたのでこの場の説明をします」


「あいよー」


説明の間は時間を止める。さすがに俺の頭のクールダウン時間も欲しい。


元々ここは下界で唯一ドラゴン、竜種の生息する島らしい。


なんでもここにしか生えないドラゴンフルーツという果実を一定期間毎に摂取しないと竜種は生きていけないようだ。


そしてこのドラゴンフルーツは実を木から取ると一日で腐るので必然的に竜種はこの島から出なくなる。


「これが竜の島の基本概要です」


「うん」


ある時この島に一人の人が訪れた。


和人族という一大勢力を作り上げた勇者だ。


和人族は今の城下町より数倍の勢力を持っていたが、それが故に魔族から圧力を掛けられて今の地に追いやられた。


その責任を問われ、流刑に処されたらしい。


「・・・むぅ」


「ソウが何か言いたいのもわかりますが、追われた人達のやるせない気持ちを収めるにはこうするしかなかったそうです」


うん、わかる、わかってはいるがそれでも何ともいえない残念な気持ちになる。


人というのは思ってる程強い生き物じゃないからな。肉体も精神も。


「それでここに流れ着いたわけか」


「はい。普通の人ならこの島に着いた時点で死んだも同然なのですが、勇者だったのでそれなりに立ち回れたようです」


和人族というのを確立させたような人ならば竜相手でも上手くやれるだろうな。


「それでしばらく島で活動していると上の者の耳にも入るようになって」


「上の者?」


「所謂統括者という上位階級の竜ですね。六名の統括竜がそれぞれ自分の属性に準じた管轄地を持っています」


「六名?」


「島の四方にそれぞれ火と氷、風と地が対極位置に、その間を十字に水と雷の竜がそれぞれ管轄地を持っています」


「あ、いや、そっちじゃなくて六匹じゃないのか?」


「あぁ、彼女らは人の姿になれるみたいです。竜の姿でいるより便利なようで、亜人種に似た容姿になるみたいですね」


「へー」


それで六名か。


そして彼女らと言ったことで何となくこの後の話が予想できる。


「それで争奪戦でも起きたわけか」


「良く分かりましたね。その通りです」


良くある話だからなぁ。


「どうやって解決したんだ?」


正直そっちの方が気になる。


「島全土を巻き込む争いに発展しそうだったのですが、勇者が島の中央に位置する山で自決をしようとしたところ、六名が全力で止めに入り、そのまま和解となりました」


「おぉ・・・」


思い切ったな勇者。


「その後六名の統括竜を娶り、島の中央に御殿を設けて今は平和に暮らしているそうです」


「へー・・・ん?今は?え?生きてるの?」


「はい。竜の血を飲んだ事で竜人となったようで、長命になったみたいですね」


あー本当だ、一覧に竜人が書いてある。


元人間の勇者が六竜の血を取り込んだ姿。女難の運命を背負う宿命にある。


後半の説明に思わず吹きそうになった。いらないだろこれ。


本題が逸れるところだった。


「で、何で竜園地なんだ?」


「なんでも暇をもてあました六竜に仕事を与えるべく作り出したら面白くなってしまって今のようになってしまったとか」


「そ、そうか」


最近風呂作りに夢中になってる若作りの爺さんが頭に浮かぶ。あんな感じか。


「では時間を大幅に過ぎてるですので、続きは明日にでも」


「えー・・・凄く気になるんだけど」


「ダメです」


むぅ、かなり気になる。


何か色々建物もあるし、普通に見ても面白そうなんだよね。


武装してた理由も知りたいし、早く明日にならないかなぁ。

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