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-新緑の天機人 出立編-

「それではワカバさん、モミジさん、よろしくお願いします」


情報館の前でアリスさんとシンディさんに見送られて私とモミジちゃんは情報館を後にしました。


「楽しみだね!モミジちゃん!」


「ん」


口数の少ない妹のモミジちゃんの手を繋いでルミナテース様の農園へいざ!




その日、私と妹はご主人様から名前を頂きに二人で向かいました。


「あの、私達姉妹なので出来れば一緒にお願いします!」


「します」


皆さんに無理を言って一緒にご主人様の前に立たせて頂きました。


「へー天機人にも姉妹とかあるのか」


「は、はい!私と妹は製造番号が一番違いなんです!」


「です」


私のパーソナルナンバーはANGE-T-E000016。


妹のパーソナルナンバーはANGE-T-E000017。


普通天機人のパーソナルナンバーは飛び飛びになるのですが、稀に近似する時があります。


そういう子達は性能も近くなるので兄弟姉妹と認識されます。


「姉妹でも色の好みは違うんだな。へー、なるほど・・・」


私はライトグリーン、妹はクリムゾンレッドを基調にした外見を見てうんうんと頷いています。


「よし、姉の君はワカバ。妹の君はモミジだな」


こうして私達の名前が決まりました。




ふんふんー、新しい名前ー、ワカバー、それが私ー、妹はモミジー。


「姉さん、踊り」


「え!?また出てた!?」


「うん」


モミジちゃんの指摘ではっと動きが止まります。


「あ、あはは。嬉しい事があるとつい踊っちゃうのはなんでだろうね、モミジちゃん」


「さぁ?」


どうも私は感情が表に出易いようで、奇怪な行動をしている事があるみたいです。


おっかしいなぁ、そんなつもりは全然ないのだけど。


そんな私をモミジちゃんはいつも止めて正してくれるいい妹なんです!


ちょっと口数が少ないけど、そこが逆に可愛いのです!


「姉さん、頭」


「はっ!?」


つい妹愛が強くなりすぎてモミジちゃんの頭を一杯撫でてました。


あーあー、髪がぐしゃぐしゃに。


「モミジちゃんごめんね、今梳かすから」


櫛を出して妹の赤い髪を梳かしてあげます。


いつも思うけど撫でてないところも髪が絡まってるのはなんでかな?


モミジちゃん、もうちょっと自分を綺麗にしようとした方がいいとお姉ちゃんは思うなー。




その日の夜、私とモミジちゃんはアリスさんに呼び出されました。


隣にはシンディさんも居ます。


うぅ、私また何かしでかしてしまったのでしょうか。


「ワカバさん、モミジさん」


「は、はい!」


アリスさんの言葉に背筋が伸びてしまいます。


「二人には明日より特別任務に当たってもらう事になりました」


「え?特別任務、ですか?」


怒られるのかと思ってたので素っ頓狂な声が出てしまいました。


「何をすれば?」


モミジちゃんは冷静に内容を聞いてる。頼れる妹!


私の手を握ってきた。あっ不安なんだね!私の妹可愛い!


「では任務の説明をします。二人はルミナテース様の農園にて料理を習得してもらいます」


農園で料理?どういうこと?


「詳しく説明します」


シンディさんが詳しい説明をしてくれます。


「ルミナテース様の農園で旦那様が料理を教えていらっしゃるので貴女達も一緒に学び、その技術を持ち帰って来るのが今回の任務の概要です」


「料理というのはそんなに重要なのですか?」


私の素朴な質問にシンディさんは視線を鋭くしてこっちを見てきます。ちょっと怖いです。


「重要です。情報館に不足な情報です。また、当館内の天機人のためにも必要なことです」


「そ、そんな重要な任務を私達二人で行うのですか?」


ちょっと怖くなってきました。


「その事なのですが、人選基準を広げると一気に増えてしまうので、一先ず貴女達を先遣隊として派遣し、状況に応じて増員していこうかと思っています」


「ほっ。それなら何とかなるかな」


「場合によっては長期的に貴女達二人で任務を行ってもらうかもしれませんが、やれますか?」


う・・・応援が来ない場合もあるのかー。うーん、大丈夫かなぁ。


「姉さん、大丈夫」


モミジちゃんがぎゅっと私の手を握ってくれます。


そうね、モミジちゃんが居ればなんだってやってみせる!みせるんだから!


「やれます!私とモミジちゃんならどんとこいです!」


「・・・」


私の気迫にシンディさんが呆気に取られた顔しています。珍しいものを見ました。


「そうですか。それを聞いて安心しました。ではよろしくお願いしますね」


「はい!」


「はい」


こうして私達はルミナテース様の農園へ料理を学びに行く事になりました。




「私とーモミジちゃんならーいかなる困難ー粉砕玉砕ー」


「姉さん、玉砕はダメ」


「あ、そっか。あれ?今日は止めないの?」


農園へ飛んで向かいながら私はまた変な歌を歌ってたみたい。


いつもなら止められるんだけど、今日は訂正だけ。


「うん」


「なんで?」


「そこが姉さんのいいところだから」


あぁっ!久しぶりにモミジちゃんの殺し文句来た!


あーもー飛んでなければしこたま頭撫でちゃうのにー。


よーし、お姉ちゃん頑張っちゃうぞー!

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