生死選択の自由
夜に見たマジ夢ネタです。
内容に変更はございません。
せめて決定してたら助かったのにな。(内容的に)
「すみません。ちょっと見ていただきたいんですが」
車内に常駐している測定技士が私に一枚の記録を記した紙を差し出す。
この技士がこんな顔をするなんて、どんな緊急事態でしょう?
差し出されたそれはあるエネルギー値が時間と共に跳ね上がっているグラフでした。
「これは……非戦闘員の中に?」
「元から高めだった子供です。でもこの上がり方だと……」
技士は溜めすぎた力の破裂を危惧している。
私だってそんな事させたくない。でも選択肢は私が選ぶべきではない。
「きっとかなり苦しいはずです。戦闘で発散させる事で落ち着かせる事は可能でしょうが……案内をお願い出来ますか?」
案内されながら現実の戦闘員達の戦いを思い浮かべる。
体を部分的に変化させ、強化して戦う姿は人とは否なる者。
彼らはそれでも人の為にその力を振るう。我らの盾だ。
技士に促され私は子供達が乗っている一際ガラスの大きな見晴らしのいい車両に来る。
目的の子供はガラスの柵に足をかけて上部の柵に手をかけ、立って外を見ていた。
かなりわんぱくのようだ。
でももしかしたらこれだって有り余った力を少しでも発散しようとしての行動の可能性もある。
少年の両脇をつかんて窓から降ろす。
子供にしてはガッシリと重い身体をしている。
「お話し、してもいいですか?」
しゃがんで視線を合わせて問えば、素直に頷く。
気が強そうな男の子。
見た目で言えば戦闘なんてさせられない。その位まだ子供だ。
「最近調子が悪いのではない?」
一言いうと、何だろう?と彷徨っていた視線が私とかち合った。
本人も自覚している。これなら話しやすい。
不安がらせないように微笑む。
「体が熱くて、力の加減が上手くできない。胸に何か詰まってるみたいでご飯が喉を通らない。かな?」
男の子は何度も頷いて私を見返してくる。
その期待を裏切らない言葉を私は口する。
「それは、君の中に戦闘員達と同じ力が溜まっているからなの。」
目を見張る様子に少し戸惑うけれど言葉を続ける。
「本当なら子供には溜まらないはずなのだけど、現実には溜まっていて君を苦しめている。このままだと食べられなくて体力が落ちるばかりなの」
一度言葉を切り、深呼吸すると男の子を見ると、困った顔をしていた。
「君本人の事だから委ねるわ。このままでいるか、戦闘に参加するか選んで」
そう告げると物陰から「うえ~ん」と泣き声が聞こえて来て、二人一緒に振り向くと泣いてる女の子を筆頭に沢山の子供達が隠れていたらしく出て来た。
「兄ちゃん死んじゃヤダ!」
その言葉はどちらを選んでも男の子が遠くなると理解している事を示していた。
「選ぶのは君だよ。私は手伝うだけ」
困った顔の子供の頭を撫でる。
「どっちの道も苦しい。でも、私は死んでほしくはない。だから話した」
男の子は頷いて私を見返してくる。
彼の道は彼の物。
選択は委ねる。
後悔はしてほしくないから。
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