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TOHO FANTASY Ⅰ  作者: PHIOW BJIJ LHJIJ LJIJ
東方近未来 ~Aliquando mundi~ -いつかの世界- 
7/40

7章 GENESIS:PROJECT

こういう近未来的な世界観好きなんだよね~


だからFFⅦは尊敬してます

神子はまだ入院していた。


神子は暇そうにテレビを観ていると、画面の中に見覚えのある顔が映っていた。

―――社長だった。


「今日の昼間、首相邸でPYT研究者の最高責任取締役と蓮子首相が会談しました。

蓮子首相は人民の為の奴隷政策に賛同を示し、政策を進めるPYT研究所に補助金を送ることを決定しました。

また、国会でもこの案を持って行き、議決を問うとも約束しました」


神子は自分の言ったことを社長がやってくれて感謝で一杯であった。

それに対し、奴隷政策に真向から反対し、国家を敵に回す「巫女」が許せなかった。


するとニュースに速報が入る。


「只今、C区駅で逃走犯とその仲間2人と思われる3人が姿を現したとのことです!」


テレビの中では、人々が逃げ惑う混乱の中、3人が外へ向かっている一場面であった。


「・・・まさかあの人が近くにいたなんて・・・。・・・恐怖が心底から湧きました」


近くにいた人に状況を聞くリポーター。

平和に暮らす全員に恐怖を与える彼女は奴隷たちの味方でありながら、目的の為なら殺人も容赦しない凶悪犯であった。


「・・・早く怪我を治さないと・・・」


神子は暴れている巫女を何とかして止めたかった。

―――これ以上、パチュリーとにとりに迷惑をかけていては、自分の心が痛む。


・・・彼女は怒りを覚えた。

―――殺人と破壊を繰り返す、恐怖の紅き巫女に。


               δ


霊夢たち3人はすぐに路地裏に止めてあったバイクに跨り、巫女が運転する。

追いかけてくる警備員たちから高速で逃げ、バイクで拠点へと向かった。


「お空をひとまずあそこに置いていくわ。・・・3人もいたら逆に狙われやすいわ」

「うにゅ・・・」


何も分からないお空は顔で浴びる風の重みに必死で耐えていた。

すると位置情報を察知したPYT研究所製のヘリコプター3台が空中から3人に向かって機関銃で射撃を始めた。

雨あられの如く降る銃弾に霊夢はスロットルを握り、最高速を出す。

バイクのメーターは既に130であった。

横のビル群や人々がすぐに視界から消える。

風の重みが3人にのしかかる。


「・・・2人とも、ちゃんと掴まっていなさい!」


霊夢はバイクを巧みに操作し、飛んでくる銃弾を華麗に避けながら高速で走る。

PYT研究所のヘリコプターを操縦している社員たちも高速で走り抜ける3人に機関銃の狙いを定めようとするが、彼女たちは速かった。


「このまま行くわよ!」

「うん!」

「うにゅ?」


3人は銃弾をかわしながらC区とB区を超え、ヘリコプターを撒いて、そのままB区を超えた先の農村部に行った。

同じトンネルや陸橋を通り、フランがもともといたあの村に着いた。

そこには街にはない「安心感」が存在していた。



着いたや否や、霊夢はバイクを止めて降りると、老婆が帰ってきた3人を迎える。


「おお・・・また汗だくになって・・・のう・・・。

・・・少し休憩していきなされ。・・・それに、新しい仲間がいるのう」

「うにゅ?私?」


お空は不思議そうな顔を浮かべていた。


「彼女も奴隷だったけど、奴らの実験を受けて洗脳されていたわ。

・・・今は平気だけど、他にも洗脳された仲間がいることに違いはなさそうね」


巫女は状況を淡々と説明した。


「・・・そうかい・・・。・・・他にもまだ・・・」


老婆はやはり悲しそうであった。


「・・・どうしてこんなことを出来るのか、のう・・・。

・・・人権、というものは何処へ行ってしまったのかい・・・」

「・・・大丈夫よ、その「人権」を取り戻してみせるわ」


霊夢は自信満々で伝えると、老婆はそんな彼女の右手を両手で握った。


「あなたは仏さまのようなお方じゃ・・・。

・・・酷い扱いを受けている可哀想な奴隷たちを救おうとしておられる・・・」

「仏さま、だなんて・・・凄い例えね」


彼女は少し嬉しかったらしく、頬を照らす。


「でも霊夢はホントに凄いよ!運転が凄く上手いんだもん!」

「そ、そう・・・?」


フランにも褒められ、気分が舞っていた彼女。


「・・・うにゅにゅ・・・私はどうすれば・・・」


お空は暇そうであった。すると巫女は口を開ける。


「そうよ、お空はここにいるのよ。ここなら誰にも狙われないわ」


霊夢はお空にそう伝えると、老婆も頷いた。


「疲れたならここでゆっくりしておいき。・・・お菓子もあるからね」

「わ~い!私お腹減ったんだ~!」


無邪気な笑みを浮かべて彼女は老婆の後ろをついていき、そのまま家に入っていった。

するとそんな2人を見つけた、かつての研究者が姿を現す。


「・・・どうやらIDOLAを破壊したようだな・・・。・・・流石だ」


研究者は霊夢とフランを褒めた。


「・・・あんた、元々製作に携わった研究者でしょ?・・・前から思ってたんだけどさ」


霊夢は疑問を投げかけた。


「GENESISって一体何物よ?力を保存するコンピュータにしても、あんた異形なの見たことないわ」

「・・・フランもそう思う。・・・あれ、何か生きてるような感じがした・・・」


研究者は唸ると、喋りだした。


「・・・そうか、やはりあの真実を語らないといけないか」


                δ


研究者はゆっくりと話し出した。


―――GENESISは千年後の世界から何かしらのタイムトラベルミスでこの世界に落ちてきた、1000年後から来たと推測される人間だ。

計5人がPYT研究所管轄内の森・・・研究用施設で発見された。

勿論タイムトラベルなどこの世界では発達してないが、鑑定しても皮膚年齢があり得なかった。組織が変わっていたからだ。

だから第一に研究に携わった河城博士が命名したものだ。

―――GENESIS、新たなるこの世界の「創世」に役立つとして信じられてつけられた名前だ。

その時、奴隷貿易で盛んだったPYT研究所に対して多くのデモが発生していた。

デモで襲われた時の対策を取るため、とある計画が始動した。

―――河城博士を中心に、私たちは未来生物「GENESIS」を基に集めた力を分散させ、保存させるスーパーコンピュータを作る計画だ。

GENESISは外見では死んでいたが、心臓は止まっていなかった。

河城博士は5人の生命を機械に移植させることで計画を成功させ、無事に役割を果たすことになった。

その結果、GENESISは自らあのような形に変形を遂げ、自ら動くようになった。

・・・これを『GENESIS・PROJECT』〈ジェネシス・プロジェクト〉と言うが、極秘内容であり、GENESISの存在を知っているのも上層部の僅かだ。


「・・・これで分かったか?」

「・・・そういうことね。要するに別次元から来た来客を計画で使った、ということでしょ?」

「そうだ。何にしても未来生物「GENESIS」だ。発展した細胞組織や体の作りを私たちに教えてくれた」


研究者はしみじみと語った。


「・・・でも情報が漏えいされると分かっていてあんたを解雇するなんて・・・馬鹿ね」

「いや・・・ホントは解雇なんてされてない。逃げてきたんだ」


研究者は驚きのカミングアウトをした。


「・・・ど、どういうこと!?・・・フラン、そんなの知らなかったよ!?」

「・・・あんた、逃げてきたのね!?」


2人は驚愕していた。


「・・・何故逃げ出したのよ?」

「・・・奴らの本当の計画を知っているか」


「・・・計画?」

「そうだ。GENESIS・PROJECTとは異なる、もう1つの実験だ」


                δ


「・・・あんた、それ知ってるの?」

「知った、だからこそ逃げてきたんだ・・・。・・・河城博士は平装なんてしていない、奴は狂っている・・・」

「フラン、全く分からないよ~!」


話についていけないフランが頭を抱えた。


「・・・フラン、あんたは分からなくてもいいわ。・・・私が聞くわ。

・・・それでどういう実験よ?」

「・・・そうだな」


―――未来生物「GENESIS」の細胞は私たち人間の現在の細胞よりも発達している、との見解で実験を始めた。

・・・我々人間への細胞移植だ。

同胞の研究者に細胞を植え付けさせ、経過を見た。

体が新たな細胞に拒絶反応を起こし、皮膚はただれ、全身火傷のような痛みに苦しめられて死んでいった。

・・・今この実験を知っているのはPDM担当課のパチュリー、神子、そして元凶にこの私だ。


奴隷に移植を行うと暴れて経過が取れない、それだけの理由で同胞を実験材料にしたのだ・・・。


「・・・にとり・・・アイツも頭が狂ってるわね」

「・・・河城博士は今誰に細胞移植を行ってるかは知らないが、社長でも騙して奴隷にでもやってるだろう。

・・・社長に細胞結果を偽ってまで、奴はGENESIS細胞を研究している。きっと「PDMの代わりになる」とでも嘘をついているだろう」


「・・・きっとPYT研究所でも乗っ取るつもりじゃないかしら?」

「・・・2人とも、何の話をしてるの・・・?」


フランは何も理解していなかった。2人の高度な会話が続く。


「そういやテレビで内閣とPYT研究所が手を結んでいたな。

・・・PDMにかける補助金要請をして、内閣側から通ったみたいだが・・・」

「・・・補助金要請!?・・・内閣が補助金を送るの!?」

「国家もグルだ。・・・現在の首相、蓮子内閣総理大臣が奴隷制に賛成しててな。

・・・奴は国会で予算案を議決させ、PYT研究所に資金でも送るだろう。

・・・そうすれば・・・後は分かるだろう」


「資金面での敵もいた訳ね・・・!・・・国会はいつ行われるかしら?」

「今日の今から2時間後、国会議事堂だ。場所はA区、案内標識を見れば分かる。

・・・蓮子首相を倒せば、資金面での補助は無くなる。

・・・だから彼女も倒してきてくれ!」

「言われなくても分かってるわ!このまま乗り込んでやるわよ!」


彼女はバイクに跨ると、フランにも勧めた。


「行くわよ、今度の目的は蓮子首相を倒すこと、ね」

「・・・う、うん!霊夢に任せるよ!」


フランも拳銃を構え、霊夢の後ろに跨った。


「・・・じゃあ、行って来るわね!」


霊夢はいきなりスピードを上げて、国会議事堂へ向かった。


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