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TOHO FANTASY Ⅰ  作者: PHIOW BJIJ LHJIJ LJIJ
東方近未来 ~Aliquando mundi~ -いつかの世界- 
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6章 偶像

ちくわが食べたいなぁ・・・

彼女はバイクを再び走らせていた。


毎度のことながら、メーターは120を示し、高速で風を切る。

信号無視で車と衝突しそうになるが、彼女の運転技術でそのまま突っ切る。


「・・・霊夢・・・運転が派手すぎるよ・・・」

「こういう間にも急いでおかないと、後で大変な騒ぎに発展したりするのよ」


彼女はトンネルや陸橋をいくつも潜っては渡り、かつて行ったC区駅を目指す。


交差点にある青い案内板に「C区駅」と矢印が真上に書かれている。


「・・・これは私たちの戦いなのよ。一刻も早くGENESIS:IDOLAを破壊しないと・・・!」


彼女は非常に焦っていた。


              δ


―――やがてバイクはB区を通り過ぎて、そのままC区駅に到着する。

道行く人々には変な視線を浴びたが、別にどうでもよかった。

貰った服が完全に迷彩効果を示し、彼女たちの存在を農民に書き替えていた。


2人は路地裏に入ってバイクを止め、降りると何の変哲もなくC区駅に入っていく。


霊夢は貰ったフロアマップを参考にした。


「ここの1Fと地下1、2Fは普通のデパートだけど、IDOLAはどうやら地下3Fにあるみたいね」

「でも暗証番号とかは大丈夫なの?」


フランは心配そうに聞くと、霊夢は地図の片隅に何か書いてあるのが分かった。


それは紛れもない暗証番号そのものであった。


「・・・あの研究者、なかなかやるわね。・・・そうと決まれば」


霊夢は早速、地下2Fへエスカレーターで下る。

電車が停車する音や発車する音が響き渡る。


一般客に紛れて地下2Fに降り立つ2人。食料品売り場に彼女たちはいた。


「・・・問題はここからよ。・・・何処かに作業員用のドアがあるみたいね」


彼女は地図を元にそこへ歩く。フランもその後ろをぺったりとくっついたかの如く歩いている。

霊夢たちはその扉の前に到着する。

「STAFF ONLY」と警告が書いてある簡素な扉。


「・・・ここに行くわ。・・・フラン、ここからは本来立ち入ってはいけない場所だから、なるべく速足でいくわよ」

「うん」


2人は一気に突入し、中で商品の準備などをしていた従業員たちは目を丸くしながら、彼女たちの後を目で追っていた。

霊夢は赤ペンで書きくわえられた、「極秘の階段」を見つける。


従業員も降りるのは避けたくなると思われる、不気味さを漂わせる階段。

明るいフロアと対照的に描かれる階段は恐怖そのものである。


「・・・行くわよ!」


急な階段を急いで降り、その後をしっかりとフランがついていった。


              δ


「・・・にとり、さっきからコールセンターにC区駅の商業施設で働く従業員たちから通報が相次いでいるのよ。

・・・巫女に似た顔をした女性と不思議な羽を生やした少女が本来の立ち入り禁止区域を破って入ったらしいのよ」


「・・・流石は巫女、情報が早い」


にとりは巫女の情報収集能力を褒めた。


「・・・あそこの地下にはGENESIS:IDOLAがある。・・・それを破壊するつもろだろう」

「結構余裕そうね」

「そりゃあそうさ。・・・PYT兵を配置しておいたからな」


にとりは鼻を高くした。


テレビの中では霊夢の行方を必死に追っていたが、C区駅での騒動で何かに気付いたようであった。


              δ


真っ暗な空間で暗証番号入力の装置だけがブルーライトを光らせていた。


「・・・確かこうね」


暗い中では見えないが、事前に覚えていた彼女はらくらく突破し、中へと入る。

入った瞬間、電源装置にスイッチが入り、幻のC区駅地下の広い空間に足を踏み入れる。


そこには赤と白がCONCORDIAのように混ざった、変な色で染色されたGENESISがいた。

タワーのような形から一本の巨大な手が生えており、ケーブルの根を生やしている。

手の5本の指は相変わらずうねうねさせており、気持ち悪さを連想させる。


「・・・霊夢・・・これが・・・」

「そう、これがGENESIS:IDOLA・・・私たちが倒すべき相手よ!」


すると2人の前に何処からか姿を現した少女がいた。

制御棒をつけ、緑色のリボンは少し黒みがかっていた。

通常とは尋常ではないくらい、彼女の右目は真っ赤に染まっていた。


「・・・お空・・・どうしてここに・・・!?」

「お空さん・・・」


2人はかつての仲間の登場に驚きを隠せない。


「・・・お前らがこのGENESISを倒そうとする敵だな。・・・なら容赦はしておけない」


お空は制御棒の口を2人に向ける。

後ろのIDOLAも2人の姿を察知し、戦う構えをとっていた。


「・・・フラン、いくわよ。・・・確かに怖いかもしれないけど、これを乗り越えないと更なる恐怖が待ち受けているのよ」


―――少女は怖かった。


―――が、心の隅の勇気を引っ張りだして、彼女から事前に受け取った拳銃を構える。


「・・・フランも・・・戦う!」

「その意気よ!」


霊夢はお祓い棒を構え、3人と1個体は対峙していた。


「・・・私たちは・・・どんな困難も壊してみせるわ!」


そして・・・戦いの狼煙が今、上がった。


              δ


お空はすぐにスペルカードを宣言する。


「核熱・・・ニュークリアフュージョン」


その時、彼女の制御棒で核融合が発生し、その力を抽出して霊夢たちに解き放つ。

赤い龍が霊夢たちに牙を剥いて襲い掛かってくるが如く、彼女の攻撃は強かった。


「ふん!だから何よ!夢符、二重結界!」


彼女もスペルカードを掲げると、目の前に現れた結界が赤い龍を打ち消した。


するとIDOLAは結界を張った直後の霊夢に向けてEXGENESIS.exeで変換された力を込めた抹殺光線を放つ。

反動で動けない彼女の目の前に迫る白き蟒蛇。


「危ないよっ!」


フランはすぐに彼女を自分と共に押し倒し、攻撃を回避させる。


「・・・あれに当たっていたら今頃・・・」

「ほう・・・随分と余裕だな!‷侵入者‴ども!」


お空は倒れている2人に向かって制御棒を向けなおし、再びカードを掲げる。


「爆符、ペタフレアっ!」


お空はその瞬間、とてつもない核エネルギーを制御棒に溜め始める。


「・・・そうはさせないよ!」


フランはすかさず拳銃を構え、銃口をお空に向けて引き金を引く。


一発の銃声と共に銃弾は攻撃を溜めていたお空の右腕を射貫き、一気に力が抜けたお空はそのまま冷たいコンクリートに跪く。


「くっ・・・!」


お空は右腕を射抜かれ、少し辛そうな表情をしていた。


するとフランはお空の背中に何かがつけられていることに気づいた。


―――今までとは形が違ったPDMであった。


「・・・もしかしたらあれがお空さんを洗脳しているのかも・・・!}


フランはそう予測を立てたが、黙っていないのがIDOLAであった。

大事な門番を倒されたスーパーコンピュータはフランに向かって大きな手で叩き潰そうとする。


「う、うわあああ・・・・!」


逃げようとするが体が硬直して動かない少女は怯えていた。


「そうはさせないわ!」


巫女はすぐにカードを掲げて宣言する。


「霊符、夢想封印っ!」


彼女の体から放たれた色彩豊かな光弾はフランを叩き潰そうとしたIDOLAの手に直撃し、IDOLAも攻撃の影響で動けなかった。


「・・・図体は大きい癖して弱いのね!・・・これで終わりにしてあげるわ!」


巫女は最後の仕上げに取りかかる。


「座布団でも食らってなさい!博麗アミュレットっ!」


彼女から放たれた、座布団のような御札をIDOLAに向かって放つ。


「ギュウイイイイイイイイイイイイイン!!!」


体の中心を射貫かれたIDOLAはそのまま唸り声のようなエンジン音を上げて、爆発した。

中は黒煙で包まれたが、フランはすぐにお空の背中の特殊なPDMを撃つと壊れ、彼女は意識を取り戻した。

彼女のPDMに込められていたerasure.exeファイルがPDMごと破損したのだ。

彼女の目は元に戻っていた。


「・・・ゲホンゲホン、うにゅ・・・ここは・・・ゲホンゲホン、何処ですか?」


お空は真っ暗な部屋の中で近くにいたフランに聞く。


「いいからここを出るわよ!」


霊夢の声が響くと、フランもお空の手を引っ張る。


「今は早くここを脱出しましょう!」

「・・・うにゅ?」


何も分からなかった彼女を引っ張って、霊夢を追いかけたフラン。


―――これで2台目のGENESISも爆破完了だ。


               δ


「・・・突破された。・・・最悪だ」


にとりは状況報告をパチュリーに伝える。


「・・・段々笑えなくなってきたわね。・・・でも空の力データは再回収したんでしょう?」

「当たり前だ。あれは壊れたら洗脳も解けるが、力も再回収して無くなる。・・・置き土産だ」


にとりは困った顔をしていた。


「あの吸血鬼までもいたとは・・・。

・・・こうなったらマスコミに頼むしかない。・・・国営放送局に私が赴いて、細かい情報を拡散させよう。

・・・これは一種の「緊急事態」だ」

「でもフランは力を吸収しているんでしょう?・・・私が痛めつけたのに、まだ殴られたいのかしら」

「霊夢よりかは戦えないが、彼女の銃捌きはとてつもなく精度が高い。

・・・あとパチュリー、奴隷は「商品」だ。・・・あまりそういうことはよせ」


そうにとりはパチュリーに言ったが、彼女は頭を悩ませていた。


「・・・ここまで追い詰めるとはな、霊夢。・・・私も脳味噌をフル活用させないと駄目みたいだ」


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