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TOHO FANTASY Ⅰ  作者: PHIOW BJIJ LHJIJ LJIJ
東方近未来 ~Aliquando mundi~ -いつかの世界- 
14/40

14章 異端児

神綺はショットガンの銃口を5人に向けて、そこに立っていた。


「あんたも諦めが悪いわね」


霊夢はそんな神綺に言うと、神綺は笑みを浮かべた。


「諦め?何を諦めるんです?」

「私たちに歯向かうことよ」

「それはこの国家に背くということ。そんな裏切り出来る訳がないですから」

「・・・だからこういう状況になってるのね」


5人も戦う構えをとった。


「いずれ、こういう状況になってしまうと分かり切っていたではないですか!お互い!」


神綺はそう言い放つと同時にショットガンで5人を穿つ。

不意打ちにフランの腹部、レミリアの左肩、妖夢の腹部が銃弾の犠牲となる。


「うっ・・・」


小さな声と同時に倒れこんだ3人。


「フランっ!レミリアっ!妖夢っ!」


霊夢は咄嗟に叫ぶが、彼女はショットガンで雨を作っていたため、それを必死に避ける。

道の真ん中で銃撃戦が行われていたのだ。

それも、国営放送局長が自らの手で。


「ふざけた真似を・・・霊符、夢想封印っ!」


霊夢は3人を撃った神綺に対し、夢想封印で対抗する。

虹色の光弾がショットガンを構える彼女の元へ飛んで行く。


「何っ!?」


神綺はショットガンを撃つのを止めると、逃げに専念する。

回転回避でかわす彼女の元に光弾が炸裂し、道路のコンクリートに罅が入って爆発する。


「構わずどっかーん!」


その間にお空はバズーカを構え、避け続ける神綺に向けて巨大バズーカを撃ち放つ。

炎の弧を描いたバズーカはそのまま彼女に炸裂する。


「へ・・・へ・・・!?」


バズーカの大爆発と共に、彼女は身を投げ出された。


「ぎゃあああああああ!!!」


彼女の断末魔の叫び声が響き渡る。


「お空、ナイスよ。これで神綺は何とかなったわ」

「・・・でもバイクが壊れてるし・・・3人が・・・」


霊夢は今の状況を見渡した。

バイクは神綺によってパンクさせられ、動かない。

それに何よりも、3人が負傷しているということだ。


「・・・まだ希望はあるわ」

「3人を治療してくれる場所があるんですか?」


お空はそう聞くと、霊夢は頷いた。


「初期にお世話になった、C区の奴隷のスラム街よ。・・・あそこなら信頼出来るわ」


彼女はそこに希望を託していた。


「うにゅ・・・でもどうやって行くんですか?」


お空は最もな質問を口にした。

確かにここはB区であり、C区まで歩くとなれば遠いに間違いない。

そこで彼女の耳の中に、高架橋の上を走る電車の走行音が響く。


「・・・悪いけど、電車の無賃乗車でもさせてもらおうかしら。・・・フラン、レミリア、妖夢」


霊夢は3人に呼び掛ける。


「・・・はい・・・」


3人は辛うじて返事をする。


「今から電車に乗るわよ、出来る?」

「フラン、それくらいなら・・・」

「当たり前じゃない、私だって・・・」

「霊夢さんについていきます・・・」


3人は立ち上がると、何とか持ちこたえていた。


「あんたたちを匿ってくれる場所を他に知ってるわ。今からそこへ行くのよ。電車で」

「でもお金は・・・」

「馬鹿ね、ある訳ないじゃない。無賃で行くのよ、ほら!」


霊夢はB区駅に向かって歩こうとするが、そこで邪魔するのが意気揚々とした民衆である。

衰弱した3人を捕まえんとする為に周りを囲んで襲い掛かろうとする。


「・・・敵はまだいましたか・・・!」

「めんどくさいわね・・・!霊符・夢想封印っ!」


霊夢は夢想封印で一気に周りの民衆を吹っ飛ばす。

民衆の不揃いな叫び声が上がる。


「急ぐわよ!また周りを囲まれるわ!」

「はい!」


霊夢たちは急いでB区駅へと向かった。


              δ


民衆に襲われそうになりながらも、彼女たちはバズーカや夢想封印で対処していった。

商業施設が建ち並ぶ道の一角で連続爆発が発生しつつも、彼女たちは駅へと向かっていた。

やがて「B区駅」と書かれた看板が提げられた建物を発見すると、霊夢たちは急いで入っていった。

後ろからは捕まえようとするあきらめの悪い民衆と警察が追ってくる。


「指名手配犯!今すぐ止まりなさい!」


スピーカーから放たれる警察の怒号に気にもせず、彼女たちは人ごみの中改札を見つける。


「あれを力押しでそのまま無理やり通り抜けるのよ!」

「はい!」

「分かったわ!」


4人はそんな霊夢に了承した。

そして先頭の霊夢は改札をそのまま力押しで潜り抜けた。

違法で潜り抜けられた改札から音が鳴り響く。

続いて4人も霊夢同様に改札を通り抜け、そのままコンコースを疾走する。


「違法だっ!」


改札内には入れない民衆は困惑したが、警察はそのまま改札を無視して彼女たちを追いかける。

彼女たちは階段を駆け上がっていた。

そしてそこで貨物列車が通過するとの旨のアナウンスがホームに入る。

彼女は「これしかない」と思った。


「今から貨物列車に乗り込むわよ!」

「ほ、本気で言ってるの!?」

「そうでもしないと後ろに追い付かれるわ!あんたたちを一刻も早く届けるためには仕方ないわよ!」


B区駅のホームに着いた5人。階段を急いで警察たちが上っている。

やがてB区駅に貨物列車が入線し、通過していく。

コンテナや貨物を積んだ列車。


「・・・行くわよ!」


霊夢は4人に有無も言わさず、そのまま列車に乗り込んだ。


「も、もうどうにでもなれーっ!」


4人もやけくそでそれぞれ飛び乗っていく。


「なっ・・・!?」


警察たちはまさかの行動をとった彼女たちに驚かざるを得なかった。

そして貨物列車はホームで佇む警察たちを嘲笑うかの如く、B区駅を完全に通過した。


               δ


「ふぅ・・・何とか助かったわ・・・」


コンテナの上に乗っていた霊夢は4人に言った。


「・・・こんな危ないことを負傷者にさせるなんてね・・・」

「仕方ないじゃない、もう少しの辛抱よ」


すると反対車線を走る旅客鉄道の上から霊夢たちの乗る貨物列車にジャンプで素早く乗り換える人がいた。

黄金の鞘から剣を差しぬいて構える。


「・・・パンクさせただけで勝ったとは思わないでくださいね」


そう、霊夢たちの前にやってきたのは神子であったのだ。


「あんた・・・どんだけしぶといのよ」

「私はしぶとさだけには自信がありますから」

「お空、3人を避難させて!」

「うにゅ!」


お空は霊夢に言われた通り、3人をコンテナの陰に避難させる。

霊夢はお祓い棒を構え、神子とコンテナの上で対峙していた。

風が突っ切る。


「・・・まさか電車の上で戦うことになるなんてね・・・!」

「貴方たちが逃走を繰り返すからですよ・・・!」


神子は早速剣で霊夢に斬りかかる。

剣で振りかぶるが、霊夢は体を反らして避ける。


「あんたも何も分かっちゃいないわね!霊符、夢想封印っ!」


霊夢はカードを掲げると、虹色の光弾が神子に向かって飛んで行く。


「そんなの甘いッ!」


神子は剣を構えると、飛んでくる光弾を剣で斬っていく。

斬られた光弾は空中に溶けていく。


「ねえお姉さま・・・あの上の線みたいなものは何?」


フランはレミリアに真上に張っている線のことを聞いた。


「あれはねフラン、電車に大きな電気を送るための「架線」というものなの」

「わ、分かった!」


その直後、フランは飛び出したかの勢いでコンテナから行ってしまった。


「ちょ、フラン何処へ行くの!?」


そんな姉の叫びも空しく、彼女は霊夢の元にやってきた。


「フラン!?あんた怪我は・・・」

「余計な手駒が1つ増えようと変わりはありませんよ・・・」

「それはどうかな?えいっ!」


フランは架線にぶらさがり、架線を神子に接触させたのだ。

彼女は吸血鬼であったが為に平気であったが、神子には大量の電圧が流れる。


「ぎゃあああああああ!!!」


神子は感電した衝撃でコンテナから落ちていったのだ。

貨物列車は町の上を走る高架橋を渡っていた。

神子はその町の中に落ちていったのだ。


「ふ、フランっ!?」


お空たちもフランを追いかけに来たが、そこには宿敵である神子はいなかった。


「おっ!お姉さま!今私がやっつけたんだよ!」


霊夢は何が起きたのかサッパリ分からなかった。


「・・・フラン・・・今あんた、何したのよ?」

「フランはこの架線ってやつを神子に当ててやったの!あ、これ大きな電気が流れてるから危ないよ」

「そういやあんた吸血鬼だったわね・・・すっかり忘れてたわ・・・。

・・・ていうかあんた、太陽は大丈夫なの?」

「その心配は無いわ」


自慢げに顔を見せたのはレミリアであった。


「常に日焼け止めを塗ってるわ」

「弱点克服方法も道具が頼りになってるのね」


そうこうしているうちに電車はC区駅に入線する。


「来たわ!あんたたちも降りるのよ!もうすぐで平和が訪れるわ!」

「そ、そうですか・・・」


妖夢はホッとしていた。

巨大なターミナル駅であるC区駅のホームには大量に客がいたが、貨物列車の上に人が乗っていることに腰を抜かしていた。


「行くわよっ!」


霊夢は早速コンテナの上からホームに飛び降りる。


「私たちも行きましょう!」


続いて4人も霊夢同様に飛び降り、ホームに着地する。

何人かの客がそんな彼女たちについて通報していた。警察もその通報は何せ喜ばしいだろう。

相手は指名手配犯なのだから。


「行くわよ!外にあるバイクを2台見つけるのよ!」

「はい!」


霊夢たちは人ごみの中を潜り抜け、早速巡回していた警察たちに見つかってしまう。


「いたぞ!」


改札を強行突破した5人の前に立ちはだかる警察。


「邪魔なのよ!どきなさい!」


霊夢はお祓い棒で警察を叩くと、警察は負傷して狼狽える。


「一気に行くんですね!」


他の客の視線を大量に浴びながら、彼女たちは交番前に止まっている白バイ2台を発見する。


「あったわ!」


霊夢は早速交番に赴き、滞在していた警察官を脅す。


「あんた、警察よね?そこの白バイのキーを渡しなさい」


若手新人であろう警察はそんな霊夢に屈しせず、必死に応戦する。


「何を!指名手配犯にそんなことするわけないだろう!今すぐ逮捕してやる!」


すると大きな声が交番内で上がる。


「あったわ!」


4人は2人の揉め事の最中にキーを探していたのだ。幸いにも、レミリアが発見した。


「ナイスよ!」


最初からこれが目的であった霊夢は手錠を構える若手新人をお祓い棒で殴り、机に落とすと急いで外に出る。

外はそんな5人を探していた警察たちが一斉に見つけ、5人を捕まえようとする。

彼らにはPDMがあった。


「バイクに乗るわよ!運転は私と誰?」

「私が行きます!」


再び運転することを口頭で述べたお空は白バイに早速跨る。そんなお空の後ろにフランとレミリアが座る。

霊夢の後ろには妖夢が乗った。


「私が案内するわ!お空はついてきなさい!」

「うにゅ!」


キーを差し込み、エンジンをかけて指名手配犯を乗せた白バイは運転を開始する。


「邪魔は消毒よ!」


レミリアは拳銃で運転の際に邪魔となる警官を何人か撃ち倒し、悲鳴が上がる。

白バイはそのままC区の奥へと進んでいく。

高速で疾走していくうちに人も疎らになり、やがて周りの建物が貧相になっていく。


―――スラム街へ到着したのだ。


「おお!来た!救世主がきたぞ!」


白バイを止めると、霊夢たちの元にあの女性がやってくる。


「またやってきたんですね・・・。・・・今はもう貴方たちのことで一杯ですよ」

「ちょっと今日はお願いがあって来たのよ・・・。・・・フラン、レミリア、妖夢・・・ここで休めるわ」


すると3人は降りる。


「ここで私たちを匿ってくれるのかしら?」


怪我をしていた3人に女性と周りの奴隷たちは驚く。


「い、今すぐ処置をしますね!」

「3人をここに置いて行ってもいいかしら?白バイはお空、あんたのをここに置いて行きなさい。

私の後ろに乗ればいいわ。いざとなればこの3人も使うかもしれないわ」

「うにゅ!」


お空は承諾して自分の乗っていた白バイを道に止め、霊夢の後ろに跨る。


「暫くここでお世話になってもいいんですか・・・?」

「構いませんよ!同じ仲間ではありませんか!」

「フランたちも・・・助かるよ・・・ありがとう・・・」


怪我の処置を施す仲間たちに感謝していた3人。


「派手な動きをさせて悪かったわね、でも私は今からでも行かないといけない場所があるのよ。

・・・だから行かせてもらうわ」

「霊夢さん・・・お空さん・・・達者で・・・」

「フランたちも応援してるから・・・」

「何かあったらすぐに向かうわ!」

「それは有難いわね、ではすぐに行かせてもらうわ」


霊夢は3人の前で白バイのエンジン音を響かせると、一気にスラム街を疾走した。


               δ


「うにゅ・・・今度は何処へ向かってるんですか・・・」

「あんたね・・・次は最後のGENESIS、GENESIS:INSANIAを破壊するためにD区のヘリポートの真下に行くのよ」


C区とD区は隣り合っている。


「最後のGENESIS・・・」

「そうよ。だから私たちも心して行かないといけないのよ」


道路を疾走する1台の白バイは閑散としたD区に到着する。

如何にも厳重で守られている大きなヘリポートが2人の目の前に現れたのだ。

周りには頑丈な柵が張られており、入り口には警備員が警戒している。

普通のヘリポートならここまで頑丈に警備はしない。地下にINSANIAがあるせいなのだ。


「・・・悪いけど正面突破しちゃうわよ」

「そこは任せます」


霊夢は白バイで一気に入口まで堂々とやってきて、早速警備員のお咎めを受ける。


「誰だ貴様ら!ここは警官でも立ち入ってはいけない領地だ!」

「そうね・・・なら強行突破するまでよ!霊符・夢想封印っ!」


彼女はカードを掲げると、その周りから発せられた光弾が無慈悲にも警備員の方へ飛んで行く。


「なっ・・・!?・・・ぎゃあああああああ!!!」


警備員たちに炸裂した光弾は飛び火して門も破壊し、霊夢はスロットルを回す。


「悪かったわね!」


敷地内に侵入し、地下へと続く階段のようなものを見つけた霊夢は白バイを止めて入っていく。

続いてお空も降りて行く。


「ま、待てっ!」


後ろから追手が来るが、有無を言わさずお空はバズーカを構えて撃ち放つ。


「うぎゃあああああ!!!」


哀れな断末魔の声が上がり、2人はそのまま階段を降りて行った。

行った先にはロックされた扉が立ち塞がっていたが、お空はバズーカの砲頭を扉に向ける。


「霊夢さん・・・後ろへ下がってて下さいね」

「あんたに任せるわよ」


そのままお空はバズーカで扉を撃つと、扉はそのまま崩壊し、センサー電灯が反応して明るくなり、中のGENESISが2人の前に露見する。

相変わらず気持ち悪い形をしているGENESIS。

紅白が入り混じった一本の木から大量の枝が生えている。

コードの根を張り巡らせ、彼女たちの前で聳え立っていた。


「ウイイイイイイイン」


モーター音を響かせるINSANIA。


「最後のGENESIS・・・後は中央のだけになるわ!」

「うにゅ!」


2人は戦闘の構えをとったが、INSANIAの前に何人かが現れ、2人からINSANIAを守るかのように立ち塞がったのだ。


「あんたたちは・・・豊姫、依姫、サグメ・・・!」


月の民である3人がそこで立ち塞がっていたのだ。

豊姫は扇子ではなくガンブレードを、依姫は剣を、サグメは拳銃を構えていたのだ。


「偉大なるINSANIA様に歯向かうとは・・・これほど愚かなことがあるのか」

「世界は腐ってしまった・・・。・・・このような者を排出してしまったのだから」

「INSANIA様は我らが守りし存在。貴様らに渡しはせん!」


3人は強く彼女たちを否定した。

そんな存在に霊夢も困惑する。


「こちらは2人に対して向こうは3人と1台・・・困ったわ」

「うにゅ!こういう時は強行突破で・・・」

「何でも強行突破で、という訳にもいかないのよ・・・」


霊夢は頭を悩ませた。


「まあいいだろう、好きなだけ悩むがよい。

・・・ここに足を踏み入れたということは、既に死は免れないがな!」


依姫の大きな声が空間に響く。


「・・・そうね、でも私がその根本を変えて見せるわ・・・!」


霊夢は戦うことを決意し、お祓い棒を構える。


「行くなら私も戦います!うにゅ!」


お空もバズーカを構えて応戦する。


「・・・そうか、哀れな者達よ・・・。・・・我らが処刑してやろう!」


サグメの大きな声が響き渡った。


―――今、戦いの狼煙が上がったのだ。


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