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TOHO FANTASY Ⅰ  作者: PHIOW BJIJ LHJIJ LJIJ
東方近未来 ~Aliquando mundi~ -いつかの世界- 
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1章 異変

パチュリーッ!ウッ!

早速ですが、いきなり外界行きまーす(デデドン)

ホモはせっかち、はっきりわかんだね


幻想郷は平和であった。


が、最近になって人間の里の人間が沢山行方不明になっていると巷では噂になっている。


そんな嘘かもしれない噂に乗ったのが何処かの神社に住む、巫女である。


この異変を解決すれば、人間の里の人間たちから感謝されて賽銭が増えるに違いない・・・。



・・・そして巫女は人間の里へ旅立った。



雪が幻想的に降る、真冬の出来事であった。



霊夢が1人、雪の中を搔い潜って人間の里に飛び立つが、里の賑わいは何処かに消え、あたりは沈黙に包まれていた。


家々には雪が積もり、霊夢の体は凍えていた。



「・・・いつもの賑わいは何処へ行っちゃったのかしら?」



不思議に思いつつも、期待を寄せてまずは周りの散策を始める。


再び飛び立ち、空から幻想郷を見渡す。


すると凍っている湖の畔に1人、誰かが一生懸命に雪だるまを作っていた。


その人物を見つけた霊夢は一体誰なのか、目を凝らすが雪によって阻まれて見えない。



「・・・何か知ってるかもしれないわ」



謎の期待を背負って、霊夢は凍った湖へと身を向かわせた。



湖の畔に降り立った霊夢はその人物に話しかけた。


青いリボンを雪だらけにして、彼女は1人で一生懸命に雪だるまを作っていた。



「・・・チルノ、いつも一緒にいるバカルテットたちはどうしたのよ?」


「あ、霊夢」


雪だるまを作るのを止め、背が自らより大きな彼女の元に寄る。



大きな雪玉の上に少し小さめな雪玉が乗っている。



「いつもはあんなに4人ではしゃいでるのに・・・あんたが1人なんて珍しいわね」


「湖の畔があたいたちの集合場所だから待ってるの。


・・・でも何日も来なくて・・・。・・・あたいも心配・・・」


「あんた、寺子屋は大丈夫なの?」


「慧音先生もみんなもいなかった・・・。・・・何か怖いよ。


・・・でも霊夢に会えてホッとしたよ」



服についた雪を手で払い、青いリボンをつけた彼女は頬を赤くする。



「・・・で、霊夢は何しにここに来たの?」


「人間の里のいつもの賑わいが消えて、人の気配すらしないのよ。


ここ最近、魔理沙たちやレミリアたちとも会ってないし・・・おかしいと思うのよ。


・・・で、誰かを探したらあんたがここにいたから来てみた訳」



霊夢はこの異変を重大そうに扱うが、チルノにとってはどうでもよさそうであった。


いつかみんなが姿を現すに決まっている。


そう信じていた彼女は再び雪だるま作成に取り掛かる。


木の枝を2本拾い、土台となっている大きな雪玉の両脇に木の枝をそれぞれ刺す。


そして近くに落ちていた石を幾つか拾い、上に乗っかっている小さ目の雪玉に差し込む。



「見てみて霊夢~!凄いでしょ~!」



チルノは一生懸命作った雪だるまを霊夢に見せる。


が、巫女はチルノが想像した態度を取らなかった。



「ふ~ん、それはよかったわね。それで、あんたは何か知ってる?」



この異変に夢中であった霊夢はそんなチルノに問う。



「え?あ・・・あたいは何も知らないよ・・・」



チルノは霊夢が一生懸命作った雪だるまの感想を一蹴し、異変に夢中であったことに寂しさを覚えた。



「・・・そうね、困ったわ・・・。・・・他に誰かいるかしら・・・?」



霊夢は他の人を探そうと思ったその時、背中から声が掛かる。



「博麗の巫女、氷の妖精を発見~!」



霊夢とチルノはその声のした方を振り向くと、そこには紫と薄紫が入り交わった服を着て、被っている帽子に三日月の飾りをつけている魔法使いが笑いながら立っていた。


右耳にはイヤホンをつけていた。



「ぱ、パチュリー!?」


「あんた、何処から来たのよ!?」


「何処から?ここから~!」



パチュリーは懐からボタン形式のスイッチを取り出し、押すとパチュリーの真後ろに紫の隙間のような時空の歪みが出来上がる。


歪みは渦を巻いていて、パチュリーを飲みこみそうな勢いであった。



「わ、訳わからないわよ!?それにあんたが持っているソレは何!?」


「これ?これは私とにとりが共同で作った、外界と幻想郷を繋ぐ歪みをいつでも作れる装置よ。凄いでしょ?」


「パチュリー・・・何か・・・変だよ・・・」



チルノはそう呟いた。パチュリーは何処からどう見ても、いつもより様子が悪い方向におかしくなっていた。



「外界と幻想郷を!?・・・あんたたち、一体何を企んでるのよ!?」


「何を、って・・・これを見れば分かるかな?」



パチュリーは時空の歪みの中から、吸血鬼の翼が生えた「友人」の背中を右手で持って現れた。


友人は背中に握り拳程度の大きさの何かの機械を装着されており、パチュリーに何も抵抗しなかった。



「れ、レミリア!?」


「パチュリー・・・レミリアに何をしたの!?」



チルノは完全に元気がないレミリアの様子を見て異常だと思い、ニタニタ笑うパチュリーに問う。



「ああ、レミリア?この背中についてる機械のお陰で「力を吸収された」のよ」


「・・・逃げ・・・て・・・」



右手で掴まれているレミリアは必死に霊夢たちに逃げるよう伝えるが、声の小さいことが原因で彼女たちの耳に入らない。



「・・・あんた、自分が仕えているお嬢様に何をやってるのよ!?紅魔館に住んでるんでしょ!?


・・・なら、自分がやってる「とんでもない間違い」に気づきなさいよ!」


「間違い?・・・幻想郷に住んでいた時にやっていたらとんでもないことかもしれないわね・・・。


・・・でも私はここを捨てた。これからは外界で暮らすのよ」


「外界!?」



霊夢はパチュリーの驚きの告白に驚きを隠せない。



「・・・パチュリー・・・やっぱりおかしいよ・・・」



様子が以前と比べて豹変している彼女にチルノは恐怖を覚えていた。



「・・・私たちは外界でビジネスを始めたの。・・・それは「奴隷取引」。


・・・楽しいでしょ?それにあまり手間暇かからないのよ」


「あんた・・・まさか、私たちにレミリアがつけている機械をつけて・・・奴隷にするつもり!?」


霊夢の名推理にパチュリーは「だいせいか~い!」と褒めたたえた。


「あんたたちを奴隷にして商売道具にしないと、こっちも運営が大変なのよ。


・・・それに、あんたたち幻想郷出身は結構高値で取り扱われるから、殆ど取り尽くしちゃったのよ」



彼女は当たり前のように言って欠伸をするが、2人は気が気ではなかった。



「取り尽くした、って・・・」


「だーかーらー、コイツと同じように背中にこれをつければ力を吸収して終わり、の簡単なビジネスだから殆ど取り尽くしちゃったの。


どんな凄い力を持ってても、これをつけられれば忽ち自分の能力は消える、というよりも本部に力が送られるの。


・・・これで普通の奴隷が出来上がり。


・・・ってことで、霊夢とチルノ・・・あんたたちも「奴隷」にさせてもらうわね!」



パチュリーは自身の能力を利用し、魔法の剣を作りだす。


右手で握って持っていたレミリアは地面に落とされ、2人に助けを求めていた。



「こんな分かりやすい異変、他にあるのかしら・・・!?


・・・とにかく、今はパチュリー・・・あんたをやっつけるわよ!」


「・・・みんなを返して!」



巫女は持っていたお祓い棒を、氷の妖精は自身の能力で氷の剣を作りだしては構える。


雪がしんしんと降る中、3人は戦おうとしていた。



「・・・少し弱らせてからこれを付けさせてもらうわ!」


                    δ


パチュリーは早速、剣で2人に斬りかかるがチルノが氷の剣で受け止める。



「あたいたちが・・・止める!・・・霊夢、今のうちに・・・」


「分かったわ!」



霊夢は一枚のカードを右手で空に掲げ、宣言する。



「霊符!夢想封印っ!」



すると霊夢から色彩豊かな光弾が次々と飛び出しては「敵」であるパチュリー目がけて飛んでいく。



「おっと、あなたたちの自由にはさせないわよ」



パチュリーはチルノから離れ、霊夢の夢想封印を華麗に避ける。


連続した光弾は地面に炸裂していく。



「隙あり!」



チルノは夢想封印を避け切ったパチュリーに斬りにいくが、目の前にレミリアの顔が差しだされる。


すぐにチルノは足を止め、動きを止めた。


パチュリーは近くにいたレミリアを身代わりにしたのだ。



「斬れば?斬ればいいじゃない」



笑うパチュリーに対し、レミリアは泣きそうな眼でチルノを見つめる。



「ひ、卑怯者!」


「隙あり!」



パチュリーは動きを止めたチルノの背中に一瞬で機械を取りつける。


するとチルノは機械に力を奪われ、ガクッと体を冷たい地面に落とす。



「力が・・・出ない・・・」


「ち、チルノッ!」



霊夢は機械を取りつけられたチルノを助けようと近寄るが、パチュリーはそんなチルノをレミリアを持っている右手とは反対の手で背中を掴み、持ち上げる。



「この中に放り込むだけ~!」



パチュリーは自分が作りだした、外界と繋がっている歪みに2人を投げ込んだ。


彼女たちはそのまま歪みの中に姿を消した。


力を奪われた2人に、抗う方法は無かった。



「レミリアっ!チルノっ!」



彼女は仲間を失った悲しみを込めた眼で犯人であるパチュリーを睨みつける。



「・・・あんた、最低ね・・・」


「仕方ないじゃない。ビジネスだもの。じゃああなたは他人の仕事に口出し出来る?」


「普通はしないわ。・・・でもあんたがやってることはビジネスじゃない、捕縛よ!」


「そうね。その通りだわ。だけどこれが私たちのビジネスなの。・・・邪魔しないでくれる?」



パチュリーは再び魔法の剣を構え、霊夢に高速で斬りかかった。


咄嗟に霊夢は持っていたお祓い棒で攻撃を受け止める。



「・・・あんたの邪魔をしないと・・・この異変を止められないじゃない・・・!」


「異変は既に終盤に向かってるのをご存知?」



霊夢は何とかパチュリーを薙ぎ払うと、再び彼女はお祓い棒を構える。


するとパチュリーがつけていたイヤホンから何かの指令が彼女に言い渡されると、魔法の剣をかき消した。



「・・・今、指令が入ったわ。


・・・霊夢、あんたは別に奴隷にならなくてもいいわ。・・・その代わり、私たちと同じ会社に採用したいのよ。


別に変な提案じゃないわ。しかもこれは社長からの命令。・・・社長があなたに慈悲を払ってくれるらしいわ。


・・・霊夢、あなたはどうしたい?」



霊夢の気持ちは1つであった。



「入る訳ないじゃない!奴隷ビジネス!?私はそんなあんたたちから奴隷を解放して見せるわ!」


「・・・最初はそう言うかもしれないわね。・・・でもこっちへ来たら心情が変わるかもしれないわ。


・・・来る決心をしたら、ここから私たちの世界に来なさい。私たちはいつでも待ってるわ」



そう言い残すと、彼女は歪みの中に入っては姿を消した。


                    δ


「会社には入らないわ。・・・でも行くに決まってるじゃない・・・!・・・全員を助けてやるわ!


・・・待ってなさい!チルノ!レミリア!」



もはや彼女に賽銭の気持ちなど全く無かった。


そして自らの身を歪みの中に入れると、彼女は吸い込まれるように幻想郷から姿を消した。

          

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