「スマホで読まれる文章」ならではの要点
文章を読みやすくする、もっとも単純な方法は、一つのセンテンスを短くすることだ。悪文というのは、必ず一文が長い。しかも、その中に主語と述語がいくつも出てくるので、何がどうなったのか、パッと分かりにくい。
また、形容をこねくり回すことによっても、文章は読みにくくなる。
例えば、こういう文。
「その刹那、世界中の光を集め尽くしたかのようなまばゆい光が鬱々とした洞窟内に満ち、竜夫は暗い穴から抜け出したばかりの鉱夫のように目が眩んだ」
出版社に小説を持ち込むプロ志望の人が、こういう文章を書きがちだ。
この一文だけなら良いとしても、こういう表現がずっと続くから、何がどうなったのか分からなくなる。「その瞬間、まばゆい光が洞窟に満ち、竜夫の目を眩ませた」と簡潔に表現する方が、ずっと良い。文章は伝わりやすいことが第一。その上で、印象に残る表現が所々にあるくらいがちょうどいい。
さらに、スマホで読まれることがメインの文章ならではのポイントがある。「一画面に収まるくらいのブロックをつくっていく」ということだ。
改行がなさすぎ、画面が文字で真っ黒になっているのは論外だけれど、本の感覚で改行していくと、横幅が短いスマホの画面ではガタガタになってしまって、読みにくい。ある程度の文章がひとまとまり(ブロック)になっていて、その都度1ライン空きがある、という方が、目の移動が少なくて済む。
ここで受けている作品の多くは、そういう配慮がなされている。「プロ並みに上手いけれど、ここでは受けない」作品の多くは、それをしていない。
逆に、ここで受けている作品を本として出版する場合には、そのまま書籍化すると、たぶん読みにくい。本のスタイルに応じて直してあげるべきだ。
たかだか50作品を読んだくらいで、偉そうなことを言うな、というご意見があるのはごもっとも。けれど、本を扱っている編集者から見れば、すぐに分かることもあるので、参考までに、自分の勉強を兼ねて書いてみた。
もちろん、自分で書いてみろ、と言われたら、ここの誰よりも下手だろう。
小説というのは、難しいものだ……。




