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薬剤師の四方山話  作者: 座久間 真眼
6/13

問屋さん

ふと思い出したので、一気に仕上げました。

 いわゆる医薬品卸売業の方々。

 同じエリアで何軒もあるようですが、病院向け、開業医向け、薬局向けと棲み分けが出来ているようです。


 それはさておき、離島の病院に居た頃は、薬剤部として問屋さんに、かなりムチャぶりをしていました。

 なにせ一番遠い場所にある問屋さんですら徒歩20分。

 「あれが足りなくなったから急いで持ってきて!」

と言う電話を契約していた5軒の問屋さんへちょくちょく掛けていたのです。

 一番近いところだと、まずウチの病院担当が持ってきて、その間に足りなくなった薬の追加を他所を担当している人が持ってきて、更なる追加を所長さんが持ってきて、トドメの追加を電話番をしている人が持ってきた、なんて酷いことをしたことも。

 いや、毎日大量の定時納品をお願いしてたんですが、それでも何かしらの見落としがあったり、滅多に処方されない薬が突発的に処方されたりで。

 1日400枚以上の外来処方せんがあると、普段動いている薬はともかく、動きの少ない薬は発注のチェックから漏れてしまいがち。

 あちらも心得たもので、納品の時に棚を見て、こちらの発注漏れをチェックして「これが少なそうですけど、明日の午前中に持ってきましょうか?」とか。

 問屋さんにも在庫がない時には、本土からジェットフォイルに本土の職員さんが手荷物として持ち込み、港で受け渡しをして本土の職員さんはとんぼ返り。

 ジェットフォイルが就航した時、輸血用血液製剤の貨物輸送を依頼したら、貨物だけは受け付けられません、と言うことで、急ぐ時は日赤職員が手荷物として持ち込んで島の血液を請け負っている問屋さんの職員に手渡してリレー輸送も。

 年1回の棚卸しの時には、問屋の人たちにも手伝って貰ったりとか。

 今は少し離れたところへ移転して問屋さんも遠くなったことと、外来処方は院外に出しているので、あの頃のようなムチャぶりはなくなっている・・・、ハズ。


 で、今の県職員として県立D病院に赴任して戸惑ったのは、問屋さんがどこも遠い。

 大抵の問屋さんが車で30分以上。

 当然急配も、担当があちこち走り回っているため、早くて2時間。

 自然と在庫を多めに置く傾向が。

 県に入って最初の病院は精神科単科だったので、いくらか薬の流れが読みやすかったのですけど、それでも不足が生じることがありました。

 急配を頼んでも、島の時のようにすぐには来ないのに凄い違和感が・・・。


 そして県立O病院へと移動。

 小恋も・・・、もとい、ここも問屋さんまでの距離は離れていたのですが、D病院で鍛えられたので、まあなんとか。

 でも、全国大手の問屋と地元問屋の力の差を感じました。

 急配への対応が若干ながら全国大手の方が良かったです。

 ただまあ・・・、その全国大手へ定時発注に加えて「今日中で。」と追加発注した時、待っても待っても来ない。

 17時を過ぎ、18時過ぎて「今日中と言う事でしたから、間に合いましたよね。」と。

 フ・ザ・ケ・ル・ナ!

 以後、どこの問屋への急配要請でも、はっきりと時間指定をするように。

 まあ、急がない追加発注の時には時計を見て17時までの時間を計算して「何時間以内に。」とお茶目なことを言ったりもしましたが。

 (例えば14時前後だったら「3時間以内に。」とか。)

 社員に夏場にドリンク剤、冬場にケーキなどを売らせている問屋さんもあって、売れなければ自腹。

 あまりにも、と思ったので毎年夏場に何ケースかドリンクを買っていました。

 その担当者が、ある時プライベートで車を走らせていてスピード違反で免停となり、2ヶ月ほど別の担当者の車に便乗して薬の配送に来ていたりとか。

 彼に関しては、これ以上は書けない楽しい思い出が・・・。


 再びD病院に戻ると、前任の薬剤科長に担当が気に入られた問屋が納入額の大部分を占めるようになっていました。

 当時もまだインターネットが普及しきっていなかったため、メーカーの担当に依頼するよりも問屋の担当に頼んだ方が医薬品の情報の入手が早く、特にそこの問屋の担当者は素早い対応をしてくれたため、前任の薬剤科長から気に入ってもらえたようです。

 金額ベースでも、当時出たばかりの非定型抗精神病薬1000錠入り納入価格60万弱を落札していたので当然と言えば当然ですが。

 月に2本か3本、使っていました。

 ここに来ていたドリンク剤の自腹営業をさせていた問屋の担当は、前に居た時の人から変わっていませんでしたが、何となく無愛想なため、ドリンク剤は買わずじまい。

 

 そしてK病院へと移動。

 ここも来ていた問屋さんはO病院と同じ。

 もちろん担当は違いますが。

 中には関連会社が海産物を取り扱っているので買いませんか、と旬の秋刀魚の営業を。

 数が増えると1匹あたりの単価が安くなるため、薬剤科長が院内にアナウンスをして100匹入りを2ケース。

 K病院に在籍したのは2年間だけでしたが、1年目も2年目も脂ののった秋刀魚を買わせていただきました。

 ドリンク剤の自腹営業をさせていた問屋も取引先にあったので、ここでは買いました。


 歯科大付属病院に行くと、これまでとは問屋さんの構成が変わっていたり、歯科材料専門の問屋さんが居たりで、最初は戸惑いました。

 K病院で秋刀魚を扱っていた問屋さんは取引先に入っていませんでした。

 私の所へ過去に知り合いになった担当者が営業に来ていたので、翌年度の入札に参加するように言ったのですけど、どうやら1つも落札できなかったようです。

 やっぱりここにもドリンク剤の自腹営業の問屋さんが入っており、対応も良かったので在籍していた間の夏場は買わせていただきました。


 保健所3年目に薬務になると、届出の書類を持って来る中に問屋さんもあるわけで。

 まあ、直接見知った担当の人は来ませんでしたが、問屋さんでまとめた新薬などの情報冊子を持ってきてくれたのは嬉しかったです。

 取引先へのサービス品なので通常は手に入りませんし。

 私の時はありませんでしたが、問屋さんの麻薬廃棄の時は、数が多いので保健所へ持ち込ませるよりも保健所から出向いて立ち会いの下廃棄処理を。

 麻薬に関する書類のあれこれを書き始めると長くなるので、また別の機会に。


ともあれ、対人スキルは重要です。

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