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薬剤師の四方山話  作者: 座久間 真眼
5/13

時間外対応

ちょっと間が空きすぎました。

 延べ6つ、実質5個の病院を異動しましたが、幸か不幸か薬剤師の当直業務がある病院は1つもありませんでした。

 売り飛ばされた6個の県立病院の内2つでは薬剤師の当直業務があったのですが、そこへの異動はないままだったので、当直経験は無し。

 その2つの病院では、当直の間にIVH(高カロリー輸液)の混合調製をやっていたとか。

 あるいは、日中に書き忘れた定時処方を出してきて「できあがったら病棟まで持ってきて!」と甘えたことをぬかす看護職も居たそうです。

 その薬剤師は断ったそうですが、翌日総看護長の所まで呼び出されて断ったことを叱られたとか。


 いやま、持っていっても良いけど、夜間1人しかいない薬剤師が薬局と病棟を往復している間にもっと緊急性の高い患者の薬を用意しなければならない事態が生じていて、

間に合わなかったらどうするつもりだったんだろう?

 最初の離島の病院で、夜間受付兼時間外呼び出しの警備員さんから聞いた話ですが、

夜間に来た患者さんの搬入を手伝って2人とも警備室から離れている間に、

緊急呼び出しを要請する電話が病棟からあったそうで、

搬入を手伝って離れていたためドクターの呼び出しが数分遅れ、

患者さんの処置がその分遅くなって悪化したため、

患者さんの家族が警備員さんを訴えて警備員さんが負けたと。

 それ以来、警備室を空けないようにしたそうです。

 そういう事態が起きた時、病棟への配達を依頼してましたから、

と総看護長は責任をとるつもりだったのかな?


 それはさておき、県職員となってからは、電話呼び出しが基本でした。

 県に入って最初に配属された精神科のD病院は、昭和の頃までは薬剤師当直も行われていて当直室だった和室も残されていました。

 もっとも、薬剤師当直がなくなっていたので、事務職員の休憩室に変わっていましたけど。

 そこでは、時間外に使いそうな薬は救急セットにして配備してあったので、休日夜間の薬剤師呼び出しはなかったです。


 次に配属された老人病棟と呼吸器科が専門の県立O病院では、必要があれば上から順番に電話をかけていく方式。

 ある時薬局長が1週間ほど出張し、副長格の人も人間ドックで水曜から休み、と言う予定が確定したので、初めてウィルコムのPHSを購入。

 幸いその時には緊急電話はかかってきませんでしたが、その後2回ほど。

 採用枠から削除された薬のありかを問い合わせる電話とか、見つけにくい場所に置いている薬のありかの確認とか。


 立て替えが終わったD病院を経て、県立K病院に配属された時は、薬局長がK病院の主みたいな人だったので、何かあればそちらへ電話がかかっていたそうです。

 なんと、2年ほどO病院に異動していた時にも、K病院から問い合わせの電話がかかってきたとか。


 そして「名ばかり薬剤部長」の歯科大学付属病院では、とにかく必要になりそうな薬は平日の内に処方させておきました。

 緊急に使いそうなものは救急カートに入れて2~3日凌いで貰う体制で。

 ゴールデンウイークや年末年始は、追加の救急セットを用意して。

 おかげで休日の呼び出しは3年間一度もありませんでした。

 夜間は・・・、ちょくちょく21時くらいまで残業していましたけど、一度もその時間帯に来たことがなかったです。


 そして最初に勤務した離島の病院では、今となっては懐かしのポケットベルを毎日交代で持っていました。

 最初はそんなに苦にもならなかったのですが、夜中にポケベルが鳴って薬局まで駆けつけて散剤を量っているところでふっと目が覚めたりとかを何度も。

 慌てて警備室に呼び出しがなかったかを確認して安堵してましたねぇ。

 今でもポケベルが鳴った夢を見て飛び起きています。

 22時近くになって呼び出されたら、薬がなくなっているのに気づいて大慌てでやって来ましたとか言う人に28日分処方とか。

 丁度その処方の中の薬の1つが、残量が少ない上に問屋も持ち合わせがなくて本土から入荷したら直接持ってきます、と言うことになっていた薬だったので、冷や汗ものだったりとか。

 日曜日のポケベル当番の日に夕食の買い物をしていた時、丁度レジで支払いのために財布を出した瞬間ポケベルが鳴り出したことがあったので、それ以来、前日の内に買い物を済ませるようになったり。

 ハンバーグをこねている最中になり出したので慌ててミンチだらけの手を洗って飛び出したことがあったので、当番の日のおかずはレトルトものに統一したり。

 呼び出されて病棟からの注射指示せんを受け取ったものの、書かれていたのは採用品ではない。

 で、病棟に問い合わせの電話を入れたら・・・、「すいません、もう要らなくなりました。」、翌日、病棟からその患者さんの薬の返品がどっさり。

 ポケベル当番だったある日、レンタルビデオから借りてきた「吸血姫・美夕」を見ていました。

 4話とも見終わって就寝。

 そして午前2時過ぎに内科病棟からのポケベルの呼び出しで、薬局へ。

 受け入れ準備できたことを病棟に連絡したのに、5分待っても10分待っても降りてこない。

 15分経った頃、そろそろ催促の電話をかけようとした時、バタン、と大きな音を立ててドアが開き、白い服を着た女性が入ってきて一言。

 「血を、ちょうだい。」

 ・・・、まあ、ストックしていた凍結血漿を取りに来た看護師さんです。

 処置に手間取っていたのか、当直医がなかなか血液伝票を書かなかったのか。


 時間外対応の思いでは、こんな感じです。

 これから先、在宅対応とかも拡大していくはずなのに、薬剤師の求人広告を見ると、「18時まで、残業はありません。」と言うものばかり。

 在宅対応と言う事は、毎日24時間いかなる時にでも対応しなければならない。

 しかるにこの求人要項は・・・、在宅対応をやる気あるのかね?


ストック無しでやっているので、次のネタが・・・。

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