読めました 手書き処方の 珍処方
今回は笑える珍処方を思い出してみました。
商品名をかかないようにするのは手間がかかります。
今度思い出したのは、困ったけど、何となく苦笑いしてしまった手書き処方です。
そのいち。
ある時の入院処方で「フベン 1錠 痛い時 3回分」と言うものが来ました。
その病院では「フベン」なる錠剤は採用されていませんでした。
疑義照会をかけたら、もう1文字足らなかったことが判明。
「フ」と「ベ」の間の文字が抜けていたのです。
まあ、あの病院は300床規模でそこそこの大きさでしたが、離島の病院。
多少の不便はあったとは思うのですけど、処方に「フベン」はないやろ!
・・・、どうやら、前任者が残したカルテの文字が読み取りづらくて、2文字目が「・」か「○」に見えたのが原因だったようです。
そのに。
また離島の病院での入院処方。
「乳頭 1g 不眠時 7回分」と言う処方せんを見て反射的に乳糖を量ったのですが、量り終えた直後に違和感を感じて処方せんを見直すと・・・、「糖じゃなくて頭!」。
もう1人の副長格の大先輩に「これ、疑義照会した方が良いですか?」と確認したら
「そんなのしなくていいから、控えにもわかるように修正しておいて。」とのこと。
「頭」に大きく×を付けて「糖」と書き込み、複写の病棟控えは赤でなぞりました。
まあ、発音は同じですけど、書き間違えますかねぇ・・・。
そのさん。
外来処方にて。
お年寄りの処方せんの中で、寝る前に利尿剤が処方されていました。
ある程度若い人なら仕事で夜勤が主なのでその時間に合わせて「寝る前」とすることもありますが、これは変。
と言うことで疑義照会をかけたら、H2ブロッカー(胃酸分泌抑制剤)を処方していたつもりだったようです。
まぁ、頭3文字は一応合ってましたけどねぇ。
ただし3文字目は、利尿剤に濁点が付いていましたが。
コンピューター入力になったあとからは、この手の処方ミスが問題になりましたが、この時はまごう事なき手書き処方。
単なる勘違い?
そのよん。
クロルプロマジンとかレボメプロマジンと言った初期の統合失調症治療薬は、患者さんによって処方量が下手をすると3桁近く差があります。
ある時、処方せんに記載された量に間違いなく調剤して調剤監査もOKで、患者さんを呼んで渡しました。
しばらくして患者さんから「いつもと量が違う!」との申し出。
前回の診察日の処方せんの束をめくって前回処方を探し出してみると、今回の処方とは1桁違う。
早速疑義照会をかけたら、ドクターがゼロの数を書き間違えていました。
今なら調剤用のコンピューターで前回処方を呼び出して比較できますが、当時はコンピューター自体が高嶺の花でそんなところにまで使われていないため、前回処方との比較は、基本的に調剤する薬剤師の記憶力頼み。
便利になりました。
そのご。
離島の病院を退職して現在の県職員となり、呼吸器科と認知症病棟がメインの県立病院に勤務していた時のこと。
処方変更で2つ処方されていた血圧の薬が2つとも変更になった処方が来ました。
が、新しい降圧剤は、どちらもACE阻害薬に分類される代物。
まあ、それはそれで悪くはないのですが、念のため「両方ともACE阻害剤に変えてありますけど、間違いないですか?」と疑義照会。
「えっ、片方はカルシウムブロッカーじゃないの?」と。
と言うことで、片方はカルシウムブロッカーに処方変更。
見やすい院内採用医薬品集を編集しようと言う事になりました。
そのろく。
6-MPと言う略号で表記される粉の抗がん剤。
添付文書には「アロプリノール(尿酸合成酵素阻害剤、いわゆる痛風の薬)と併用すると、代謝が阻害されて血中濃度が3倍になる。」とありました。
そこでとある内科のドクターが「ならばアロプリノールと併用して、6-MPの処方量を1/3に減らせば、効果は同じで副作用を減らせるのではないか?」と言う事で、アロプリノールと通常量の1/3に減らした6-MPを併用。
しばらくその処方は続きましたが、その後普及しなかったので、効果がなかったか、その内科医が論文を書かなかったのか。
そのなな。
独立行政法人となった県立歯科大学付属病院の「名前だけ」薬剤部長をしていた時のこと。
外来処方はレセプトコンピューターと連動したプリンターからの打ち出しでしたが、入院処方は手書き。
口周りの手術後の患者さんのために、歯科医の研修医が処方して粉砕指示をしてくるのですが・・・。
おまへら、「粉砕」くらい漢字で書け!
「ふんさい」と平仮名で書いてくるのはまだ良い方で「分砕」「粉細」「分細」と。
まあ、読めるし意味は解るから良いけど、研修が終わって他所の大学に行ったり、実家の歯科医院の若先生になった時にそう言う事を書いていると、大恥かくぞ。
次も思い出せたら、なるだけ早めに。