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薬剤師の四方山話  作者: 座久間 真眼
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調剤ミス

人の振り見て我が振り直せ

 医師のことをあげつらっていましたが、薬剤師もポカをやります。

 私が薬学部に入学する前のこと、母校の近くにある大きな病院で、名前が似ている別の薬と間違えて血糖降下剤を患者さんに渡してしまい、その患者さんは植物人間になってしまいました。

 その薬剤師さんは気を病んで精神科に入院してしまったそうですが、その人の出身校はわが母校。

 その病院では、最近まで母校出身の薬剤師の採用がありませんでした。


 その一件があったため、薬剤師の世界では、調剤した薬を別の薬剤師がもう一度点検してから薬を患者さんに渡すようになりました。

 この点検作業を「調剤監査」といいます。

 調剤監査を行うことで、名前の似た薬、隣の棚に入れてある薬、複数の規格の薬を採用しているところでの規格間違い、粉薬の秤間違い、などが患者さんに渡らないようにします。

 私も、しこたまこう言うポカをやりまくって監査をやっている人から叱られまくりました。

 ある先輩薬剤師は、精神科の粉薬の色が全部白なので、舐めて味を覚えて処方の薬と間違いなく量っていることを確かめていました。

 とうてい真似は出来ません。

 まあ、複数の薬剤師が勤務しているところなら監査もしてもらえますが、1人しかいないと大変です。

 お役人薬剤師なので異動があるのですけど、ある年の異動で行った先が薬剤師定員2名。 3年在籍したのですが、2年目から断続的に1名欠員状態。

 何人分か取りそろえたあと、もう一度点検して、患者さんへ渡すときに説明しながら確認していました。

 それでもまあ抜けるときは抜けるもので、患者さんからの電話を受けて速達で郵送したり、終業時間後に自分で持っていったり。

 大きな問題にならなかったから良かったようなものの、今思い出しても冷や汗ものです。


 で、保健所へと異動となり、保健所3年目の業務が薬務。

 薬務というのは、旧称薬事法の管轄下にある薬局・薬店などの許可・監視・指導を行うのですが、ある時、「薬局で調剤された薬を子供に飲ませたら、子供が興奮して眠らない、医者に診せたら2回分を1回分として指示が書かれていた。」と言う苦情が飛び込んできました。

 苦情のあった薬局へと行ってみると、そちらにも申し立てが行われており、原因も調べ済であったため、状況がすぐに判明しました。

 1日2回で14日分のシロップが処方されていて、シロップの容器に付いている目盛のどの目盛で量るようにマジックで線を入れていおくのです。

 本来28本の線を入れねばならないところを14本だけしか入れていなかったため、2回分を1回で飲ませてしまっていたという次第。

 まあ、あの処方内容で14日分というのも長過ぎると思うのですが、興奮して眠らなかった原因は、どうやら処方に含まれていた気管支拡張剤に興奮作用があるためだったようです。

 免許取り立ての薬剤師が調剤してオーナーの薬剤師が監査をしていたのですけど、見落としたらしい。

 幸い、治療域と中毒域が近いテオフィリンは含まれていない処方だったため、事なきを得ていたので、口頭注意で終わらせました。

 営業停止は、こちらも手続きが面倒なのと、上の決裁がまずおりないので出来ません。

 因みにこの気管支拡張剤は、スポーツの公式大会では競技会期間中は興奮剤として使用禁止となっていて、競技会中のドーピング検査で検出されると違反となります。

 ドーピング防止についてはまた別の機会に。

次の更新・・・、頑張ります。

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