Agent i「タイトルなし」
Yahoo(LINE)のAgeit iに出力させました。
人が死ぬと、まず白い広間に呼ばれる。
そこには転生を司る神様がいて、たいそう厳かな顔でこう言うのが常だった。
「では、次の人生について説明しよう」
昔はよかった。魂を洗って、記憶を薄めて、運命の糸を結び直して、ぽんと次の世界へ送れば済んだ。
だが近ごろは異世界の数も増え、転生希望者も増え、なにより「前世知識あり」「人格連続性あり」「現地社会への適応性重視」など、妙に細かい要望が増えた。
そこで天界技術局が、新しい仕組みを作った。
死の間際の人間から、動態記憶を取得する。
思考の癖、反応速度、感情の揺れ方、経験の積み重なり。
そういったものを丸ごと写し取り、異世界の新しい器へ安全にすり込む。
実に画期的で、実にややこしい技術であった。
神様は会議で説明を受けた。
技術担当の若い神官が、水晶板を指しながら言う。
「今回からは、従来の魂転写方式ではなく、クラッシュダンプ方式を採用します」
神様は眉をひそめた。
「くらっしゅ、だんぷ」
「はい。人格情報を死の直前に採取し、破損領域を補正してから、新しい肉体へデプロイします」
神様はさらに眉をひそめた。
「ほう」
「要するに、壊れる瞬間の記録を取るんです」
「なるほど」
「その記録を異世界の受け皿に流し込んで」
「うむ」
「再起動します」
「ふむ」
ここで神様は、全部わかった顔をした。
そして厳かにうなずいた。
「つまり、ダンプに轢かれた者を送るのだな」
技術担当は固まった。
「……はい?」
「クラッシュダンプであろう。大きな荷車のようなものにぶつかって死ぬ。その衝撃で魂の記録がよく採れる。実に合理的だ」
「いえ、そういう意味では」
「して、その“だんぷ”とは地上ではどのような姿を」
「いえ、乗り物ではなく記録方式の名称でして」
「隠すでない。わしももう古い神ではない。技術用語くらい学ぶ」
神様は得意げに言った。
「大型の車輪付き運搬具であろう」
「違います」
「積載量が大きいほど記録もよく載る」
「違います」
「では牛車か」
「違います」
結局、その日の会議は三時間延びた。
だが神様は最後まで、半分しか理解しなかった。
理解した半分というのも、
人は何かにぶつかって死ぬと記録が取りやすい
という、たいへん雑な部分だけであった。
その後、転生を待つ魂たちに神様は親しみをこめて語るようになった。
「心配せずともよい。そなたの記録はきちんと取れておる」
「は、はあ」
「トラック転生はもう標準化されておるでな」
「えっ」
「次は剣と魔法の世界じゃ。達者で暮らせ」
魂たちはわけもわからぬまま送られていった。
やがて下界では、妙な噂が広まる。
異世界へ行く者は、なぜかやたらとトラックに轢かれる。
あれは天の定めだ。
トラックには転生の加護がある。
運転手は実は神の使いだ。
などと、尾ひれまでついた。
もちろん真相は違う。
単に転生を司る神様が、
クラッシュダンプ
という言葉を、
クラッシュしたダンプ車
のことだと思い込んだだけである。
のちに天界技術局は、用語集の整備を最優先事項にしたという。
ただし、すでに遅かった。
神様自身が公文書に
トラック転生方式
と書いて承認印を押してしまったからである。
以来、その名は正式名称となった。
天界の制度とは、だいたいそういうものらしい。
以下の追加コメントあり
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もっと会話多めにして、神様を少しお茶目に寄せると、さらに小咄感が強くなります。
この設定のまま、もう少し長めの短編に整えたいので、神様をどれくらいコミカルにしたいか教えてもらえますか。
1.かなりギャグ寄り
2.ほどよくギャグ寄り
3.少ししんみり混ぜる




