第八話 最初の料理、スキルについて
フライパンの横には、すでに皿に盛られたご飯がある。
キノコ、野菜、そして赤い実を混ぜて炒めたごはん。
湯気と一緒に、甘くて香ばしいにおいがふわりと広がっていた。
「よし......あとは卵だな」
卵を手に取る。
(それにしても、殻が柔らかいよな)
「破いたらいけるかな.......お!いけそう」
殻を破いて、中身をボウルに落とす。
しっかりと白身と黄身が一つになるまでかき混ぜる。
温めておいたフライパンの上に落とすと
じゅわっ、と小さな音。
木べらで軽く混ぜると、卵はすぐにとろりとした。
火を弱める。
ふわりとした半熟の状態になったところで、その上にさっきのご飯をそっと乗せる。
「崩れるなよ.......」
フライパンをそっと傾けながら、卵でご飯を包むように形を整える。
くるり。
皿の上に滑らせるように乗せると、きれいな卵の包みが出来上がった。
「.......できた」
黄金色の卵に包まれたオムライス。
ほんのり甘い香りが部屋に広がる。
最後にさっきの赤い実をかけて....
「できた!」
その瞬間――
頭の中に、文字が浮かび上がった。
【料理スキル 経験値獲得】
【料理スキルがレベル2になりました】
「料理で......スキルが?」
驚きながらも、目の前のオムライスを見る。
そのとき。
『クルッ!』
待っていたソラが、嬉しそうに鳴いた。
どうやらもう限界らしい。
「はいはい、今持っていくよ」
出来上がったばかりのオムライスを皿ごと持ち上げる。
ソラは目を輝かせながらこちらを見ていた。
テーブルの上にそっと置く。
『クルル!』
待っていたソラが、すぐに身を乗り出した。
小さな鼻をひくひくさせて、オムライスの匂いを嗅ぐ。
「熱いから、ゆっくりな」
そう言う間もなく、ソラは小さく一口。
もぐもぐ。
『....!クルルルル!』
次の瞬間、パッと目を輝かせた。
どうやら気に入ったらしい。
もぐ、もぐ。
さっきまで様子を見ていたのに、今度は夢中で食べ始めた。
「そんなに美味しいのか?」
思わず笑ってしまう。
そのとき――
頭の中に、また文字が浮かび上がった。
【料理スキル 効果発動】
「え?」
思わず固まる。
目の前では、ソラが嬉しそうにオムライスを食べている。
すると今度は別の文字。
【対象:ソラ】
【満腹度:回復】
【体力:微回復】
「......料理に効果があるのか」
ただの料理だと思っていた。
けれど、この世界では――
”料理そのものが力を持つらしい”
ソラは最後の一口を食べ終わると、
『クゥ~』
満足そうに小さく鳴いて、その場にちょこんと座った。
「……気に入ったならよかった」
そう言いながら、もう一度さっきのことを思い出す。
料理スキル。経験値。そして、料理の効果。
「もしかして......」
(このスキル、思ってるより凄いものかもしれない)




